“三浦孝文” の検索結果 – FUJIROCK EXPRESS '24 | フジロック会場から最新レポートをお届け https://fujirockexpress.net/24 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)を開催地苗場からリアルタイムでライブレポート・会場レポートをお届け! Tue, 13 Aug 2024 04:03:22 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.6 あれもない、これもないフジロック https://fujirockexpress.net/24/p_7583.html Fri, 09 Aug 2024 07:18:03 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=7583 「おかえり!」と声をかけると「ただいま!」と応えてくれる……。前夜祭のレッド・マーキーにやって来てくれたみなさんと、そんな挨拶を交わして集合写真を撮影し始めたのは、2007年ではなかったか。初めてやったときには、オーディエンスがどう応えてくれるか、全くわからなくて、はらはら、ドキドキだったんだが、ものの見事にほぼ全員から「ただいま!」と返ってきたときにはめちゃくちゃ嬉しかった。フジロックが、あるいは、苗場が、年に一度、帰省するふるさとのようになっているのを実感したのは、この頃からだったかもしれない。

あれからすでに17年、相も変わらずそんなことを続けている。なにはともあれ、みんなの幸せな顔を見るのが嬉しいからだ。苗場音頭での盆踊りが一段落して、花火が上がったあと、レッド・マーキーの入口のテープがカットされると、この1年間、フジロックを待ちわびていた人達が、文字通り、堰を切ったように雪崩れ込んでくる。そして、DJ MAMEZUKAの絶妙な選曲で回されるレコードからあふれ出る音の洪水をかぶる彼らの幸せな表情ったら……ありゃあしない。それに魅入られた関係者や噂を聞きつけた出演者までもが、ステージからその光景を記録しようとカメラを構えている。どうやら、運営本部でもその様子が映像で確認されているようなのだが、ちっぽけなモニターで見るのと、現場にいるのとでは大違い。実際にそれを目の当たりにしてほしいと呼び出したのが、昨年までグリーン・ステージを担当していた、主催者スマッシュの新社長、佐潟氏。それに応えてわざわざやって来てくれた彼が「確かに、そうだね。実際に見ると……」と、口にしてくれたのが嬉しかった。

加えて、今年はステージ袖に腰をかけて、最初のバンド、USを待ちわびていたのが、フジロックを生み出した日高大将。言うまでもなく、彼の写真をフィーチャーして2021年に制作した「Wanted(指名手配)」Tシャツには「彼が最前線に戻ってほしい」という願いが込められていた。かつてfujirockers.orgが作ったTシャツで、これが桁違いのセールスを記録したのはなぜか? 多くのフジロッカーがそんな思いを共有していたからに違いない。嬉しいことに、昨年はクリスタル・パレスやどん吉パークに彼が出没。体調がすぐれないと耳にしていたにもかかわらず、今年はレッド・マーキーからグリーン・ステージにも姿を見せている。しかも、彼が惚れ込んだというUSのライヴを楽しんでいる姿を目撃したのは少なくとも2回。ひょっとしたら、それ以上足を運んでいたのかもしれない。

コロナ禍以降、なかなか本来のフジロックが戻ってこないことに苛立っているフジロッカーが多いことは百も承知だ。それでも、ここにいるだけで幸せを感じていた。奥地のカフェ・ドゥ・パリもストーンド・サークルもない。ジム・ウェストを中心に集まってきたDJたちがお気に入りの音楽を楽しむブルー・ギャラクシーは復活したものの、あの周りにあったワールド・レストランは見る影もない。昔からのフジロックを知っている人間にとってみると、かなり寂しい景色にも映る。それでも、「なにやら幸せ」な自分がいるのだ。どこかで読んだ記事に「フジロックで飲むビールがめちゃ旨い」というのがあったんだが、実にその通り。なにを食っても、なにを飲んでも、ここにいることでその全てが格別なものになっているのに気付くのだ。

何度もやってきている常連にとって、フジロックは盆と正月が一緒になった、里帰りのようなもの。懐かしい友や仲間に再会できる場所でもある。年に一度、ここでしか再会しない友人だって珍しくもない。それでも、どこかで同じような世界を引きずりながら生きていることを互いに確認したり、旧交を温めることになる。しかも、初めて出会っても、どこかで繋がっているような感覚に陥ることも珍しくはない。そして、この1年を振り返りながら、あ〜でもない、こ〜でもないと会話が続いていくのだ。

この1年でフジロックに馴染みのある人たちもこの世を去っている。そんな仲間やアーティストのことが頭をかすめるのも仕方がないだろう。そんなひとりがチバユウスケ。今年、1998年の「地面が揺れた」伝説のフジロックから、スタッフが記録し続けた彼の写真をフジロッカーズ・ラウンジで展示したのは、そんな勇姿が我々に焼き付いていたからだろう。土曜日にクラフトワークが、昨年亡くなった坂本龍一への敬意を示すように「戦場のメリー・クリスマス」を奏でて、「Radioactivity」への導入部のように使ったのが話題になっているが、彼も苗場に姿を見せたアーティストのひとりだった。

Photo by MITCH IKEDA

フジロック・エキスプレスの更新作業に使う本部テントの準備と取材活動のために、精鋭スタッフと共に苗場入りした火曜日、新たな訃報が飛び込んでいた。作業を終えた夕方、UKロックの源流と言っていいだろう、ジョン・メイオールが亡くなったことを知る。ご存知の方も多いだろう。彼の次男が、フジロックの第1回目から最重要スタッフとして行動を共にしてきたスマッシュUKのジェイソンであり、幾度となくDJとして、あるいは、ザ・トロージャンズというバンドを率いて出演してきたギャズは長男。いわば、ふたりともフジロックを語るときに欠かすことができない人物となっている。彼らにどんな言葉をかければいいのか……、かなり戸惑っていた。実の父親が他界したのだ。彼らが現場を離れても誰も文句は言えないだろう。が、ジェイソンは黙々とフェスティヴァルの準備に奔走し、少し遅れてやって来たギャズには予定通りにツアー続行することを告げられる。

規模で言えば、比較の対象にはならないことは百も承知なのだが、フジロックを触発することになった英国のグラストンバリー・フェスティヴァルに繋がる不思議な縁がメイオール親子かもしれない。後者の主催者で会場となる農場の主、マイケル・イーヴィスが大きな影響を受けたのは1969年に開催されたバース・ブルース・フェスティヴァル。そこで演奏したジョン・メイオールとブルース・ブレイカーズを見て、「自分もフェスティヴァルをやりたい」と思うに至ったと。今ではその中心人物として全てを仕切っている末娘、エミリーが口にしている。しかも、そのライヴのステージ裏にいたのが、まだまだガキンチョだったギャズとジェイソン。ずいぶんと大人になった彼らがフジロックで最もフェスティヴァル的要素を凝縮したパレス・オヴ・ワンダーからブルー・ギャラクシーの顔のような存在となっている。

1970年に始まったグラストンバリーは今年で54年目となり、1997年に始まったフジロックは、ちょうどその半分の27年目。苗場での開催が始まった1999年から25年の節目となることが今年は話題になっているのだが、フジロックのルーツと言ってもいい、アトミック・カフェ・ミュージック・フェスティヴァルが産声を上げたのは1984年と、40年前にさかのぼる。というので、あの時、スタッフとして関わった身として、今年はジプシー・アヴァロンで続けられているアトミック・カフェのステージに立って、当時の話をしている。

あれから、とてつもない時間が過ぎ去ったように思う。その間に多くの友達や仲間に関係者がこの世を去り、フジロックが始まった頃にはまだ40代そこそこだった筆者も、すでに高齢者となっている。今年、グラストンバリーの主催者、マイケルが車いすに乗ってザ・パークと呼ばれるステージに姿を見せている一方で、フジロック生みの親、日高大将は杖を片手に前夜祭のレッド・マーキーやグリーン・ステージに立っている。かつてのようにジープで会場内を走って、動き回っていた彼らを見られないのは残念だが、世界の西と東で目撃したこの光景は彼らの想いがそのままフェスティヴァルとなっているんだろうと思わせていた。

なにやら表向きには順調に復活しているように見えるかもしれないフジロックだが、さて、どうなんだろう。確かに、主催者からは「来年はあります」と耳にしているし、今年も会場を離れるときに見たゲートには、その日程が発表されていた。しかし、その言葉の裏に「再来年はわからない」というニュアンスを感じていた。なにせ、異常とも思える円安のピークが開催期間中。ギャラの支払いはドル建てが原則なので、おそらく、海外からやって来た出演者に支払われる金額が想定よりも遙かに膨らんでいるはずだ。加えて、チケットのセールスも全盛期から比較したら、貧しかったと聞いている。チケットが値上げされているといっても、利益が出ているとは考えられない。

だからなんだろう、どこかで唐突にフジロックがなくなってしまうのではないかという危惧感は拭えない。なんの前触れもなく、消え去ってしまうような怖さも感じているのが正直なところ。でも、もちろん、そうなって欲しくない。なぜなら、想像できないのだ。年に一度帰る故郷がなくなることは。フジロックのおかげで知り合ったり、仲良くなった友人たちと再会できる機会が失われるのには耐えられないように思う。

初めてここに来た人達はどうだった? 同じように感じる? また、来年もやってきたいと思った? もし、そうでなかったら、フジロックの魅力が失せているってことなんだろう。もし、そうだったら、フジロックがこれでも他に類を見ない野外コンサートではなく、フェスティヴァルと呼ぶにふさわしい存在だということを証明してくれているようにも思う。でも、かつてのフジロックを取り戻したいという想いは変わらない。

今回、嬉しかったことのひとつは、会場で、かつてワールド・レストランと呼ばれる場所で中心となって動いてくれていたエチオピア人の仲間、ソロモンを見かけたこと。なんと7年ぶりに来た彼がなにを思ったか? ひょっとして、また、彼を核にワールド・レストランのような趣を復活させてくれないだろうかと期待してしまうのだ。そして、もうひとつ嬉しかったのが、何年ぶりだろう、戻ってきてくれたジーンズのリーバイス(Levi’s)。初期のフジロックでコンスタントにサポートしてくれていた彼らが戻ってきてくれた背景に、昔のスタッフが関わっていることに驚かされていた。

さて、そんな今年の会場内外での顛末を伝えてくれたのは以下のスタッフの数々。会場で一生懸命動いてくれた彼らに感謝して、そして、また、ここに集まってきたみなさんと再会できることを祈って、〆の文章を終えようと思う。ありがとうございました。

■日本語版
森リョータ、阿部光平、丸山亮平、あたそ、阿部仁知、イケダノブユキ、石角友香、梶原綾乃、三浦孝文、若林修平、Asakawa Maho、東いずみ、越川由夏、泉みや、Eriko Kondo、YAMAZAKI YUIKA、渡辺紗礼、こっこ、ヌー子、浅野凜太郎、井上勝也、エモトココロ、堅田ひとみ、粂井健太、古川喜隆、小林弘輔、佐藤哲郎、白井絢香、suguta、髙津大地、HARA MASAMI(HAMA)、平川啓子、前田 俊太郎、松藤 万里子、ミッチ イケダ、宮田遼、安江正実、リン(YLC Photography)

■E-Team
Nina Cataldo、Jonathan Cooper、Park Baker、Sean Scanlan

■フジロッカーズラウンジ
mimi、obacchi、SEKI、yamato

■ウェブサイト制作&更新
平沼寛生(プログラム開発)、迫勇一、坂上大介

■スペシャルサンクス
三ツ石哲也

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DJ KRUSH https://fujirockexpress.net/24/p_906.html Tue, 30 Jul 2024 04:18:42 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=906 フジロック最終日、0時を回ってもOASIS周辺には音が鳴り響き、人でごった返している。眠そうにしている人もいるし、椅子でうなだれている人もいる。疲れていても帰りたくないんだ、ただここにいたいんだ。帰るとフジロックが終わっちゃうから。ぶっ倒れるほど遊び、みんなで朝日を迎えるのだ。

レッドマーキーでは『SUNDAY SESSION』と銘打たれた深夜のダンスパーティーが繰り広げられている。韓国からやってきたプロデューサーでDJの250(イオゴン)によるキャッチーなメロディ満載のビートに
フロアは踊りまくりだ。

私は、次に登場するアクトを観にやってきた。今年でソロ活動32周年を迎える生ける伝説、DJ KRUSH(以下クラッシュ)が2012年来、12年ぶりの苗場に帰還。2022年12月に独立し、今年新譜『再生-Saisei-』をリリースした絶妙なタイミングでのフジロックだ。気合の入ったものになるに違いない。刮目して見ておかなければならない。

深夜2時、深海のような青の照明が灯りクラッシュの「K」の文字が浮かぶ。ウェザー・リポートの“The Well”のテナーサックスが鳴り響く中、クラッシュがこれしかないところでスクラッチやビート、リバーブを入れ異世界へと我々を誘う。バックの映像がフラッシュし、スポットライトが眩しく光ると、どこまでもディープで地響きのようなビートが襲いかかってきた。Low PolyやFloret Loretなどのアメリカ気鋭アーティストのベースミュージックを駆使しクラッシュ唯一無二の世界観を描いていく。ダークで危ない鳴りのビートがもの凄い音圧で次々と繰り出され、フロアにいる全員を圧倒していくのだ。

目を刺激する照明とバックに流れるサイケデリックな映像と焚かれたスモークの中で、クラッシュがただ一人黙々とセットを進行している。その様は孤高の侍のよう。スクラッチやディレイを入れる所作のひとつひとつが美しく、そしてたまらなくかっこいいのだ。

蛇がとぐろを巻くかのようにベース音が唸りを上げ、後半に向けてビートのピッチも上がっていき、ハードコアな勢いまで加味されフロアをアゲにかかる。クラッシュでしか創り得ない「KING OF DOPE」たる音像と世界観。悶絶ものだ。

Baird Hersey & Prana“Asteya”お経のような声が入り、バック映像に赤いクラッシュマークが浮かび上がってきた。更に加熱したかのようなビートを叩き込み、場を灼熱のダンスフロアに染め上げ1時間10分のセットを締める。クラッシュは去り際、バックの自らのロゴを不敵に指差しステージを後にした。圧倒的な音世界の余韻にただ立ち尽くすしかない。

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WEEKEND LOVERS 2024 “with You” LOSALIOS / The Birthday (クハラカズユキ・ヒライハルキ・フジイケンジ) https://fujirockexpress.net/24/p_891.html Mon, 29 Jul 2024 10:09:20 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=891 フジロック’24最終日、ここレッドマーキーはUSのロックンロールショウ後、まだ30分前にもかかわらず、次のステージに向け前へ前へと押し寄せる人たちであふれ返っている。

The Birthdayや「Thanks!」Tシャツをまとった人たち。「Rock n’ Roll Will Last Forever」と描かれ、真ん中には昨年惜しくもこの世を去ったあの男の写真がプリントされたTシャツを着ている者も散見される。そう、この後に控えるのは、11年ぶりに復活を遂げるロックンロールパーティー『Weekend Lovers』。ここに集まったファンたちにとっても、出演陣たちにとっても、彼が愛したこのフジロックという場所で追悼する大切な機会であるに違いない。

サウンドチェックに中村達也(以下達也)とクハラカズユキ(以下キュウ)が姿を見せるだけでフロアから「達也ー!」や「キュウちゃん!」といった大歓声が飛ぶ。TOKIEなど参加メンバーが続々と現れ入念に音合わせをしていく。いきなり達也が「1234!」とパンキッシュなブラストビートをかますもんだから場はライヴ本番さながらの熱に包まれた。

開演3分前。「千秋楽!」ステージからあの男の声が!『WEEKEND LOVERS 2013』の時に1ヶ月弱の間に作られたという未発表曲、『WEEKEND LOVERS』のテーマ曲だ。会場にバンドクラップが鳴り響く。「週末の恋人よ 爆音のチークタイム 愛ならここにある 踊ろよ踊ろよ」目頭が熱くなってくる。バックに「Weekend Lovers」の文字が映し出されると、LOSALIOSが登場。割れんばかりの大歓声だ。達也がドラムを叩き出し、怪しいフレーズが鳴り響くとバンドが一斉に音を出力し“HAE”からキックオフ。ずっしりと刻まれるTOKIEのベース、ワイゼンボーンのスライドの鳴りが耳をつんざく。達也のシャウトも完璧なタイミングで入ってくる。のっけから大爆音でぶっ放してロックンロールパーティーの開会を告げた。シンバルをクラッシュして“Hit Man”が軽快にスタート。3つのギターから出力される重量級で硬派な音は悶絶ものだ。“SICK”から“IQ69”へ鼓膜を打ちまくる大音量と大音圧まみれのパーティーが続く。2002年に、ROSSO & LOSALIOS presentsとして始まったジョイントライヴが 『WEEKEND LOVERS』のはじまり。当初のジョイントライヴ形態で進行していく様が何とも粋だ。

ここであの男に捧げる必殺の1曲“CISCO”が投下された。フロア前方にクラウドが押し寄せモッシュの嵐が吹き荒れる。当然だ!ここでThe Birthdayが登場し、LOSALIOSとともにあらん限りに音を叩きつける。フロアから飛ぶ「CISCO!」の怒号の様な咆哮。あの男が「死ぬなよ!」と叫んだ1998年のフジロックの熱気と興奮が今ここに渦巻いているのだ。

LOSALIOSがステージを後にし、The Birthdayの時間へ。キュウがビートを刻み、ベースのヒライハルキ(以下ハルキ)がステージ前方に出てくるとフロアが沸騰した。フジイケンジ(以下フジケン)が“月光”のフレーズを奏でる。「お前らの想像力が現実をひっくり返すんだ!」と繰り返すフジケン。常々、想像力の大切さを語っていたあの男を代弁する敬意に満ちた表現だ。フジケンがジャカジャカとギターをかき鳴らし“I Saw the Light”へなだれ込む。「I Saw the Light 光を見つけた」とここに居合わせた全員で大合唱。まずい…涙で視界がぼやけてきた。続けて披露されたのは“サイダー”。“I Saw the Light”も“サイダー”もあの男の遺志を受けてここにいるメンバー3名が完成させた曲。ライヴではあの男が歌うことはなかった曲だ。まずハルキが自分らしく爽やかに歌う。次はキュウ。ここ苗場であの男と過ごした日々の思い出、想いが込められてるような歌声だ。

ここで、ハルキは「割と皆さんの表情よく見えるんですよ、ここ。一人一人ね。俺の視界からだと、ね。ちらほら涙している人とかも見えて。泣きたきゃ泣いてもいいと思うんだけど。俺もさんざん泣いたし、やっぱりいまだに毎日思い出すしね。でも、せっかく年に一度のフジロックに来たわけでしょ?もうちょっと演奏していくかな。来ている人たちに一瞬でも笑顔になって帰ってくれたらいいなって俺は思う!」

“ハレルヤ”の優しいギターフレーズが鳴り響く。ここで登場したのはTHA BLUE HERBのBOSS。あの男が残した作品をまだどこかで生きているかのようにまだ暖かいと称える。そして「Happy birthday to you! Happy birthday today! ハレルヤ!」と誰も彼も1回きりの人生、なら愛し愛され、語りかけ、確かめ合って行こうとたった今、生きていることを祝福し、生きていくことの希望を真っ直ぐにここにいるあの男を愛するファンたちに語りかけた。バンドのBOSSの優しさと真摯な敬意の念に涙腺が崩壊してしまったのは私だけではないだろう。

達也を筆頭にLOSALIOSの面々が再登場。2人目のスペシャルゲストとして、YONCEを呼び込んだ。手を叩きながら登場したYONCEとロッキンナンバー“ローリン”を出演陣全員でプレイ。しゃがみ込んで頭を振りまくり、何度も「IT’S ALRIGHT」(それでいいんだ)と届けるYONCE。バンドがもの凄い音を爆発させ1時間のロックンロールパーティーを締めくくった。

フジロックを愛したあの男を、ここで我々に追悼する機会を与えてくれたこと、本日の出演陣のみならず、この機会に関わる人たちすべてに感謝しかない。今日の『WEEKEND LOVERS』には“with you”とついている。きっとあの男が天国からこの苗場の地に降りてきて、愛する仲間たちとのロックンロールパーティーを一緒に楽しんでくれたことだろう。

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CELEBRATION OF THE METERS FEATURING GEORGE PORTER JR., IVAN NEVILLE, TONY HALL, IAN NEVILLE & DEVEN TRUSCLAIR https://fujirockexpress.net/24/p_921.html Sun, 28 Jul 2024 18:04:16 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=921 フジロック最終日の19時前。例年最終日のこの時間帯は終わりの足音が聞こえてきて寂しくてしょうがないのだが、今はワクワクでいっぱいだ。ジョージ・ポーターJr.が2019年の出演以来5年ぶりに苗場に、同じフィールド・オブ・ヘブンに帰還するのだから。「CELEBRATION OF THE METERS」と銘打たれ、メンバーはお馴染みのダンプスタファンク(Dumpstaphunk)の面々もとくれば、かのニューオーリンズ産グルーヴをこれでもかと堪能できるってわけだ。

ジョージを最後に観たのは、2020年2月12日に行われたVoodoo Dead( https://smash-jpn.com/live/?id=3290 )の大阪公演。そのライブでジョージが「もうすぐニューオーリンズでマルディグラがあるんだ。みんな遊びに来ないかい?」なんて言っていたのだが…その後の事態はご承知の通りだ。あのコロナ禍の辛い数年を経て、今この苗場の地で再会できたこと、音楽を愛する者たちとまた自由に楽しい時間を共有できることに感謝だし、開演前にもかかわらず感動で目頭が熱くなってしまう。

雨足が強くなってきた。そういえば2019年も酷い雨だったな。アート・ネヴィルがフジロック開催の直前に亡くなってしまって感傷的なムードが漂っていたなとか思い出しているうちに開演時刻となった。

ヘブン担当MCのジョージ・ウィリアムズが登場しバンドを呼び込む。照明が落ち暗闇の中、総勢6名のメンバーが次々に登場。ステージに向かって左からトランペッターのアシュリン・パーカー、トロンボニストのアレックス・ワシリー、亡きアート・ネヴィルの息子でギタリストのイアン・ネヴィル、ドラマーのデヴェン・トラスクレア、ギタリストのトニー・ホール、そして、ネヴィル・ブラザーズのアーロン・ネヴィルの息子にして、ハモンドB3オルガン奏者でダンプスタファンクのリーダー、アイヴァン・ネヴィルという布陣だ。

アレックスがステージ前方に出て来て手を挙げフロアに向かって盛り上がれと煽ると、ドラムビートがドカドカ入り、シンバルのクラッシュ音が軽快に鳴ればメンバー全員が音を一斉に出力。のっけからホーン隊が唸りを上げ、アイヴァンが「ニューオーリンズ!YO!」と開演を高らかに宣言するのだ。

バンドがセッションを繰り広げる中、ジョージが満を持して登場。以前と何も変わらぬデッドなケミカルウォッシュTを着ている姿を見ただけで涙もんだ。アイヴァンがあのいなたいイントロを奏でる。“Hey Pocky A-Way”と分かると大歓声が飛び、ジョージがずっしりと刻むベースのザ・ニューオーリンズなグルーヴに誰もが身を任せ、サビを合唱している。

すぐさまあのギターフレーズが刻み込まれ、オルガンの跳ねたタッチが入り“People Say”へ突入。トニーのギターがエディ・ヘイゼル顔負けの流麗さで迫ってくる。アイヴァンはブルーズっぷりがたまらないソロパートを披露し、ジョージがトランペットのソロを促すなら、アシュリンは表現を爆発させるしかないのだ。怒涛のセッションタイムは次の“Funky Miracle”でも続く。ジョージが「やれ!アレックス!」とトロンボーンが火を噴くよう仕向け、お次は自らベースをまるでギターのごとく百戦錬磨のブルージーなフレーズをブンブン繰り出すのだ。音楽で会話をする人たちのグルーヴは説得力が半端ない。問答無用に踊らされてしまう。

ご機嫌な“No More Okey Doke”ではトニーがベースに持ち替え、2ベース体制でグルーヴに輪をかけてくる。トニーがワウペダルを踏みながらギターを刻み“A Message from the Meters”がスタート。アシュリンのブロウが炸裂した締めのロングトーンにフロアは大歓声で応えた。“Just Kissed My Baby”の中盤のジョージのソロは凄かった。ジャジーなタッチで優しく奏でたり、弦を乱暴に引っ張ったりしてベースのサウンドを知り尽くした巧みなプレイに悶絶した人続出だったことだろう。

イアンが流れるようなギターソロをかましてはじまった“It Ain’t No Use”。トニーとイアンが交互に繰り出すソロ合戦、デヴェンとジョージによる極上ビートの上を泳ぐアイヴァンのオルガンの鳴りもたまらない。終盤はオルガンとギターを中心に浮遊感漂うスペイシーな音が飛び交うジャムセッションへ。音量と場の熱量がピークに達し完了した。

「サンキュー!フジロック!」とジョージが叫ぶとステージの照明が明るくなったので終わりかと思いきや、すかさず「もう1曲ほしいか?」とジョージから問いかけが。割れんばかりの「ワンモアソング!」コールが飛ぶ。最後はジョージが歌い手としての健在っぷりを見せつけた“Fire on the Bayou”にて締めくくり。本曲のフックをフロアのみんなが盛大に合唱したのを見て、ジョージがご満悦といった表情で微笑んでいる。

ジョージとバンドがステージを後にしても、鳴り止まない歓声と熱狂の余韻がいつまでもそこにあった。

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THE JESUS AND MARY CHAIN https://fujirockexpress.net/24/p_6954.html Sun, 28 Jul 2024 14:45:04 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=6954 ジーザス&メリー・チェイン(以下メリチェン)が初めて苗場の地を踏みしめる。今年でデビュー40周年を迎え、新譜『Glasgow Eyes』を今年リリースしたばかりという絶妙なタイミングだ。言わずと知れた、シューゲイザーやオルタナティヴ系の後進アーティストたちの大きな影響源で、広く愛される数々のカタログを持つバンド。しかも出演するステージがホワイトステージときた。今に伝わる1999年のアンダーワールドをはじめ、極上のサウンドを創ってきたあそこでメリチェンがどう響くのか、観ないわけにはいかない。

早くも最終日を迎えたフジロック、16時過ぎ。曇り空に覆われ、雨がぱらついている。メリチェンは晴天よりは曇天で正解だろう。“Happy When It Rains”とか歌っているわけだし。お馴染みの「JESUS」と描かれたアンプが立ち並んでいる。開演前から多くの人が集結している。なかなかステージ前方の方へ行けないほど。さすがはUKロックの重鎮といったところか。メリチェンTをまとっている気合の入ったファンたちから、勝手な印象だがメリチェンを聴いたこともなかろうと思われるようなラッパー風の一団まで。様々な世代、性別、国の人たちがその登場を待ちわびている雰囲気だ。

無機質な電子ビートが鳴り響きバックにサイケデリックで雑なノイズ映像が流れる。これだけでメリチェンと一発で分かるのだから、やはり凄い。音だけではなくヴィジュアルやイメージにおいても、唯一無二の世界観を創り上げている。上下黒のシックな装いで統一したジムとウィリアムのリード兄弟とバンドがステージに登場。ベーシストは、プライマル・スクリームのシモーヌ・バトラーだ。最新作『Glasgow Eyes』からの最初のシングルとして先行リリースされた“Jamcod”から開演。倦怠感の漂うサウンドの上を気だるく歌うジム。フジロックだから、苗場の環境だからといって彼らの表現は何ひとつ変わらない。

「フジロック、良いヴァイブスだな」とジムが語りかけ“Happy When It Rains”と“Head On”を立て続けに披露。スモークがステージを覆い、霧の中にいる雰囲気の中でキャッチーなメロディが疾走感をもって駆け抜けていく。 バックの映像にメリチェンのアルバムやシングルなど過去カタログのジャケットが次々と映し出される中“All Things Pass”が披露された。40年間色んなところを通ってきて、今ここに立っている。淡々と演奏している中に、矜持が込められているように感じたのは私だけだろうか。

プリズムのような帯状の線が上から下へ流れていく映像が流れ、再び『Glasgow Eyes』からのシングル曲“Chemical Animal”へ。ギターの音が控えめなミニマルな音構成の本曲ではベースとドラムのビートが際立っている。ここホワイトステージならではの素晴らしい音響だ。続く“Some Candy Talking”のフック部で大歓声でに包まれ、疾走する佳曲“Far Gone and Out”の間奏部におけるベースとドラムが生み出すグルーヴの影響でオーディエンスも熱が入ってきたようだ。クラウドが波打っているのが見える。これに応えるかのように“Blues From a Gun”と名曲を連打してくるのだ。

ノイズまみれでひた走る初期のパンクチューン“In a Hole”。大ベテランにもかかわらず、いい意味でアマチュア感が抜けないメリチェンを体現するような曲だ。ウィリアムが十八番のフィードバックノイズを放出する怒涛のセッションで初期衝動感伴う締めくくりを披露。

続く2曲は女性ボーカルを迎えて歌う曲だ。まずはシモーヌが歌う“Something Always”。どこかアメリカ往年のルーツミュージックへの憧憬を感じるメロディと展開がとても心地よい。“Girl 71”ではゲストのレイチェル(Rachel Conti)が登場。終始ジムと手を握り恋人同士のような掛け合いをしたわけで、「誰!?」という感じだったと思うが、この記事によるとどうやらジムのパートナーのようだ。本曲の音源に吹き込まれているのも彼女の声とのこと。

続く“Darklands” から”Just Like Honey”の流れ。苗場の美しい木々に囲まれたこの環境で、誰もが親しめるメロディを堪能し歌う。極上の体験だ。

「立って観てくれてありがとう」とジムが感謝を伝える。淡々としていて愛想がないので、誤解されがちなリード兄弟だが、そんなことはない。真摯で真面目な人間性がジムの言葉や態度から伝わってくる。メリチェンのライヴでは定番の締め曲であり、理想の死に方願望ソング“Reverence”がはじまった。バックに過去作のジャケット、やメンバーの写真、スター、カセットテープにネオンサイン、ロバート・ジョンソンの写真やザ・クラッシュの『White Riot』のジャケットなどの画像が次々と差し込まれ、ギラギラと目を刺激する。何ともザ・メリチェンな世界観だ。冒頭の長いセッションでウィリアムがギターでノイズをまき散らし、フロアをガンガンに揺らせる。予定時刻を過ぎるまで音を出力し、ギターの残響を残してステージを後にした。ウィリアムが去り際、にこやかにフロアに向かってピースサインとそれを裏返したサイン(UK流のアレ)を繰り返し、投げキッスを飛ばした。

いつもと何も変わらぬあり方で、ただメリチェンでしかあり得ない世界観を苗場の地で描き切ってくれた。やっぱりメリチェンはめちゃめちゃかっこいいのである。

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THE ALLMAN BETTS BAND https://fujirockexpress.net/24/p_920.html Sun, 28 Jul 2024 13:53:05 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=920 今年のフジロックも終わりを告げようとしている。フィールド・オブ・ヘブンの最後を飾るのは、オールマン・ベッツ・バンド。ザザン・ロックの伝説としてロック史に燦然と輝くオールマン・ブラザーズ・バンド(以下オールマンズ)の子供たち、デヴォン・オールマン(父はグレッグ・オールマン)とデュアン・ベッツ(父はディッキー・ベッツ)が中心となり、その遺産と伝統を引き継ぐとともに、独自のアメリカンルーツミュージックを創り上げてきた。これからここヘブン、彼らが持ち込んだ米国南部産の温暖で土っぽい風に包まれることになる。

今年4月18日にオールマンズのオリジナルメンバーで偉大なギタリストのディッキー・ベッツが亡くなった。オールマン・ベッツ・ファミリー・リバイバルとしてデヴォンとデュアンがディッキー80歳の誕生日を祝うコンサートをフロリダ州サラソータで開いたことや、療養中であることを耳にしていたものの、オールマン・ベッツ・バンドのフジロック出演が決定した後の訃報ということもあって、多くのオールマンズファンが動揺し悲しみに暮れたことだろう。期せずして彼らにとって記念すべき初の来日公演となる本ステージは、日本のファンと一緒にディッキーを追悼するまたとない機会になったのだ。

開演時刻数分前、ほぼ同じ時間帯に演奏するノエル・ギャラガーを観に行っているからか、まだステージ前方もかなり空いている。MCのジョージ・ウィリアムズが再び登場し「行きますか!3日目の大トリ!」とバンドを呼び込んだ。デヴォンは、長髪で恰幅のいい体型にデニムシャツにハットといういかにもな出で立ち。そのたくわえた髭、醸し出す雰囲気が父ディッキーの生き写しのようなデュアン。バックに2人のドラムスに、パーカッション、ベース、スライドギター。そして、置かれたハモンドB3オルガンに見覚えがあるなと思っていたら、何とダンプスタファンクのアイヴァン・ネヴィルが登場。直前のミーターズ祭り(CELEBRATION OF THE METERS)から続けてあのグルーヴを堪能できるなんて何て贅沢なんだろう。

“Magnolia Road”から開演し、ジョニー・スタチェラが奏でるいなたいスライドギターが入ると一気に米国南部へと我々を誘う。デヴォンとデュアンが交互に歌い上げ、2ドラムとパーカッションによる厚みあるビートを伴いバンドのアンサンブルも熱を帯びて来た。お次はハートランドロックど真ん中を撃ち抜く“King Crowler”へ。この高鳴るサックスの鳴りはどうよ。たまらん!続くグッドオールドデイズなロックンロールナンバー“Airboats & Cocaine”ではアイヴァンのオルガンが跳ねまくり、ジョニーのスライドギターが唸りを上げまくる。完璧としか言いようがない出だしだ。

「皆さんと一緒にここにいられて光栄です。古い曲を!」とデヴォンが挨拶しお待ちかねのオールマンズタイムに突中。“Blue Sky”の米国南部産の暖かい音色が鳴り、この場、この時間を祝福するかのように心地よい風が吹く。デヴォンとデュアンが向かい合って微笑み合いながら楽しそうに演奏している。3人のギターの名手が次々と往年のオールマンズ顔負けの演奏を繰り出すのだ。デヴォンがアコギを手にフレーズを奏ではじまった“Midnight Rider”。出だしのデヴォンとデュアンの美しいハモリに感無量だ。単なるカバーと受け取ってはいけない。オールマンズのレガシーとルーツに敬意を払い、ブルーズ、アメリカーナ、サザンソウルなど米国の芳醇な音楽を彼ら自身の血肉を通して時代を超越したロックンロールを奏でているのだ。“Pale Horse Rider”ではデヴォンの息子が登場し、オルガンをアイヴァンとともに演奏。絆は先の未来にまで確かに引き継がれている。

最後は“Dreams”でジャムセッションタイムへ。各メンバーがアメリカンロックのいいとこどりのような極上の演奏を自由に繰り広げていく。音をあらん限りに出し尽くした後は、全員がステージ前に集結。みんな爽やかないい笑顔を浮かべている。「Peace & Love Fuji Rock!!」と感謝の叫びを届け、ステージを後にした。

過去の遺産を称えるとともに、今できる表現を懸命にする。そして、大切に未来へと繋いでいく。まさに人の個の人生そのものを感じさせてくれる想像を遥かに超えたライヴだった。

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US https://fujirockexpress.net/24/p_892.html Sun, 28 Jul 2024 07:50:57 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=892 フジロックもあっという間に最終日。ほんと毎年寂しくなるよね。朝起きた瞬間からあぁもう最終日かぁって。グリーンステージではじまりを告げるキヨシローの“田舎へ行こう”すら悲しく聞こえるんだから重症だな。まだ時間はお昼の12時過ぎじゃないか!最後の最後まで楽しもう!

さて皆さん、フィンランドからやってきた新星、USはもう観たよね?前夜祭のスペシャルギグを皮切りに、初日はパレス、昨日は岩盤でアコースティックセットとどん吉パークで突如のスペシャルギグと、既に4回(初日のルート出演も入れるなら計5回だ)もプレイしているんだから。フジロックで最後のステージとなるここレッドマーキーは既に目撃してファンになったであろう人や噂を聞きつけて来た人でパンパンだ。今年はUSのフジロックだったって言われることにきっとなる。さぁロックンロールショウのはじまりだ!

開演時刻にフジロックの創始者の大将こと日高正博がステージに登場。「いよいよ最後のフジロックね。今回の。面白かった?俺のお気に入りのバンドを紹介します。知ってると思うけど。だからこれだけのお客さんが集まってくれてるんだよね。フィンランドからやってきたやべぇロックンロールバンド!(ここは英語ね。fxxkin’と言っとりました)」とバンドを呼び込んだ。大将はステージのすぐ真横に座って観ている。これは緊張するよねぇ…。

“Black Sheep”からキックオフ。テオ・ヒルヴォネンとマックス・ソメルヨキが交互に叫びフロアに熱を投下していく。テオは連日のステージで喉を潰したのか声の出が少し気になる。そして、テオの兄貴のパン。やっぱりこの人はただ者じゃないね。ブルースハープの演奏が最高なのは勿論のこと、ビートに合わせて首を右へ振り、足を交差し、横跳びステップを繰り出して盛り上げる。もう覚えちゃったよそのムーブ。パンはハッピー・マンデーズのベズだ。バンドのグルーヴの要ってこと。そのまま“Citroen Blues”へなだれ込んで疾走だ。

テオが「今のフジの天気には合わないけど…」と“Snowball Season”を披露。テオのギターソロがいい!弦をギャンギャンこすりまくってクラウドの歓声を促していく。“Just My Situation”でテオはかすれた声を張り上げる。これがロックンロールのヴァイブスに輪をかけるのだよ。間奏部のロッケンローパートがあるでしょ、あそこ大好物。あのパートだけで白飯何杯でもいける。最高!

最後に揃ってのバシッとキメキメのお辞儀をして、テオは両手を広げて「どうもありがとうございます!」。連日のステージの甲斐ありもう日本語での挨拶も堪能になったものだ。

“Got to Know”で我らをブルーズ天国へ叩き込む。マックスが往年のブルーズマンよろしくラフに歌い上げるのがたまらない。US、こういういなたいのもいけるのね。最高ですな。“In & Out My Head”では冒頭のギターフレーズでバンドクラップが巻き起こした後は疾走しまくりのロックチューン“I Wanna Be Your Lover”をぶちかます。ベースの唸りも、間奏部に入るギターのジャカジャカも、吹き荒れるパンのブルースもたまらん!

落ち着いた“Carry Your Bag”で小休止タイムを作ってくれた後は、リードトラックの“Night Time”を投下。会場全体が地響きのような盛り上がりに。“I Ain’t Got Nobody”はブルージーかつガレージパンクな荒々しさで迫り来る。腹にズシズシくるベースのぶっとい鳴り、叩き込むドカドカドラムも前夜祭の時よりも何とも粋。バンドアンサンブルは経験値を積むほどによくなっていく。

“Hop on a Cloud”と“Help Me with My Broken Heart”の立て続けのパワーポップチューンではパンが十八番の踏みしめるステップがとにかく最高で、ロックンロールがいかに楽しいかっていう感じがあふれ出ているのだ。

テオによるメンバー紹介タイムで最後に「We are US!」。これ、チバが1998年のフジロックで「俺たちが日本のミッシェル・ガン・エレファントだ!」と叫んだあれを思い出さないかい?そのまま“While You Danced”へ。フロアには自然と出来上がる大量のウェーブ。バンドとオーディエンスはもう一体だ。そのままラスト“Say Mama”になだれ込み、あらん限りに出し尽くすバンド。天は与えたもうた。ギターを、ベースを、ドラムにブルースハープを、そしてロックンロールを!今年、苗場で5回に渡って極上のロックンロールショウを届けてくれたUSに幸あれ!

“FUJI ROCK SPECIAL” US
2024/07/30 (Tue) @ WWW X
OPEN 18:30 START 19:30
スタンディング 前売り:¥6,500(ドリンク代別)
More info.

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BETH GIBBONS https://fujirockexpress.net/24/p_846.html Sun, 28 Jul 2024 04:43:04 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=846 いよいよ念願のこの時間がやってきた。フジロック2日目、19時のグリーンステージ。陽も落ちはじめ、気持ちよい風が吹いている。雨も降る気配はない。夜へと移行していくこの瞬間に、見渡す限りの山々に囲まれたこの場にいると神秘的な気持ちにさせられる。こんな完璧な環境のもと、これから登場するのはベス・ギボンズ。マッシヴ・アタックと並び立つ、ブリストル・サウンドの立役者、ポーティスヘッドの歌姫だ。1998年にポーティスヘッドとして初来日をするはずのところ、ベスの疲労困憊により成田に到着したものの残念ながらキャンセルに。これから繰り広げられる初来日にして初演となるステージは、待ち望んだ奇跡の瞬間なのだ。

開演時刻を若干回った頃、暗闇のステージの中、ベスと総勢7名のバンドが登場。一瞬の静寂に包まれた後、“Tell Me Who You Are Today”から開演した。ヴァイオリンとヴィオラ、ベースでは珍しいボウイング奏法で出力された音が幻想的な鳴りを伴ってダークな世界観を描き出していく。そして、あのかすれた幽玄なベスの声が響き渡ると会場一帯が大歓声に包まれるのだ。両手でマイクにしがみつき、祈るかのように、ただ歌を宙に向けて送り出している。照明が深紅から徐々に上から黒へと変化。まるで鎮火していくような表現で唯一無二の音世界を彩っている。続く“Burden of Life”では青白くミニマルに光り、終盤に披露された“Whispering Love”では、スモークでステージが煙る中、紫と緑の照明が差し込み、儚く立ち尽くすベスの陰がぼんやりと浮かぶ。自分が今どこにいるのか分からなくなってしまうような迷い込んだ感覚に陥る。本セットの照明は筆舌に尽くしがたいほど神秘的だった。

ベスを引き立て、その世界観を支える凄腕のバンドメンバーたち。終始ドラムで本ステージの土台を創り続けたジェームス・フォード。彼は今年リリースされた『Lives Outgrown』の共同プロデューサーでもあり、ベスが今最も信頼を寄せ、この世界観を共に創り上げた人物と言えるだろう。“Beyond the Sun”で叩き出した激しいドラムビートはひと際華を添えていた。そして、浴衣に身を包み、侍のような出で立ちで数々の楽器を駆使して色付けをしたハワード・ジェイコブス。フルート、バリトンサックス、リコーダーといった管楽器からヴィブラフォン、ティンパニ、銅鑼といった打楽器まで何でもござれ。更にはノコギリの様な金属まで使っている。音源を聴いた段階では何をどう演奏しているのかまったく分からなかった“Rewind”や“Lost Changes”での摩訶不思議な音像は、彼の貢献によるものだと判明。そして、キーボードのジェイソン・ヘイズリーを除くメンバーの全員がバッキングボーカルで、ゴスペルのようなコーラスをもってベスの歌声に深みを加えていた。このバンドメンバーたちのお陰で、ベスはその歌もスタイルも何も変えることなく、何も付け足す必要もなく表現できる。ここにいる全員でまさにこれしかない音を奏でているのだ。我々は苗場の地でもの凄いものを目撃している。

終盤にベスがメモを見つつ日本語で「皆さんは優しい!」とはにかみながら、たどたどしいながらも感謝を伝えた。「ここに来れて本当に良かった。可愛らしい木々にあなたたち、普段はあまりしゃべらないんだけど…ありがとう!」と。目頭が熱くなったのは言うまでもない。

そしてはじまったのは“Roads”。あのディープな音色が残響音とともに繰り出されるだけで割れんばかりの拍手と歓声が送られる。ベスとバンドによるあまりに儚く美しいアンサンブルにグリーンステージ一帯が酔いしれた。

ラストは疾走感を伴い前のめりに走った“Reaching Out”で1時間の魅惑のステージを幕引き。ベスとバンドメンバーが前に出て来て、ベスは「あなたは優しい!」と再度感謝を伝える。泣きそうな素敵な笑顔を浮かべながら何度も手を合わせお辞儀をし、ステージを後にするまでフロアに向かってずっと手を振っていた。ここで私は涙腺崩壊である。

こうして苗場の山で、奇跡の瞬間は訪れた。様々な感情を伴う感動とともに、多くの大切なことを教えててくれたベスとバンドメンバーたち、そしてこの人生で一度きりの軌跡の瞬間に立ち会えたことに感謝以外の言葉が見つからない。ありがとう。

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GLASS BEAMS https://fujirockexpress.net/24/p_884.html Sun, 28 Jul 2024 01:10:16 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=884 お昼14時のレッドマーキー。外は今年初と思われる本格的な雨が降りしきる中、本ステージに登場するのは、今回の出演陣の中でも随一の謎の覆面集団、グラス・ビームスだ。インドからオーストラリアにやってきた移民である父を持つラジャン・シルヴァが、メルボルンで結成。異国情緒あふれる衣装に身を包み、奇怪なマスクをかぶっているビジュアルが、表現される音世界と相まって摩訶不思議さに輪をかけている。果たしてそのライヴがいかなるものになるのか?話題のアクトを目撃すべく会場は前方から後方まで人でぎっしりだ。

満を持して3人組がステージに姿を見せた。本当に、文字通りの覆面。控えめ、かつ後ろから光がさす照明がバンドのミステリアスさを強めている。一体どのメンバーがラジャンなのだろう(ギターの人か?)。初っ端の“Mahal”から催眠術をかけられたような怪しい音色が鳴り響き、ドラムとシンプルなビートと歪んだギターでエキゾチックなグルーヴを生み出していく。音のひとつひとつを聞くと、耳馴染みのあるギターとベースとドラムの音なのだが、インド音楽のギターフレーズとクラウトロックやサイケデリックなビートが溶け合い、極上のダンスミュージックとなって我々をのっけからガンガンに踊らせるのだ。

西洋と東洋フジロック出演歴を持つアメリカはテキサスのクルアンビンとよく比較される。クルアンビンのように東洋風の様々な音を持ち込むのではなく、グラス・ビームスはラジャンのルーツでもあるインド音楽との融合がメインテーマのようだ。そして、バックはクラウドを踊らせることに特化したビートを繰り出す、たまに刻まれるギターのカッティングが絶妙なスパイスとなり、グルーヴに緩急をつける。“Kong”ではバーチャイムの金属音を随所で入れ、宇宙的なサイケデリアを醸成していく。締めパートでは音を一斉に出力し、ものすごい音量と音圧でフロアに熱風を送り込んでくる。

もう会場は完全にクラブ状態。誰もが、頭を振り乱し、ここにあるグルーヴに身を任せている。大歓声に割れんばかりのハンドクラップが飛び交う。フジロック創始者の大将こと日高正博がかつて言っていた通りの光景がここにある。「よく知らないけど、かっこいいバンド」が奏でる音をみんなで楽しみまくっているのだ。

クラウドは踊り倒して完全燃焼。バンドが残した残響音と、大歓声がいつまでも鳴り響いていた。

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TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA https://fujirockexpress.net/24/p_850.html Sat, 27 Jul 2024 08:54:27 +0000 https://fujirockexpress.net/24/?p=850 フジロック2日目のグリーンステージ1発目。空は晴れ渡っている。忌野清志郎の“田舎へ行こう~Going Up The Country~”が会場に鳴り響き、開演MCが「25年前から出演している男たち!」と紹介すると真っ白なスーツに身を包んだスカパラのメンバーたちが一斉にステージにイン!ドラムとベースでスカビートを繰り出すと「午前中からアゲていくぜー!」と“火の玉ジャイヴ”のロックンロールなフレーズを吹き上げ、ハンドクラップをオーディエンスに促し、左へ右へと縦横無尽に動き回るのだ。「みんな起きてるかー?アー・ユー・レディ!?」と立て続けにアッパーチューンばかり飛ばしていく。“ルパン三世のテーマ’78”に“BEAT DOWN STOMP”が投下された。炎天下の下、みんなで暑苦しくスカダンスだ。腕を振り上げ、フロアで踊っていない人はもう皆無。完全に目が覚めた!

谷中敦がスカパラにとって今年が35周年であること、そして苗場の地でフジロックがはじまった25年前もこの時間にここにいたと伝え、恒例の「戦うように楽しんでくれよー!」とその後も“スキャラバン”、“5 days of TEQUILA”、“SKA ME CRAZY”と落ち着こうなんて気配は一切ない。飛ばしっぱなしだ。グリーンステージ一帯は踊る聴衆で埋め尽くされている。

ここでスカパラ恒例のスペシャルゲストが呼び込まれる。BRAHMANのTOSHI-LOWの登場だ。自前と思われる上下グレーのスーツできめ、不敵な面持ちで姿を見せる。披露したのは“野望なき野郎どもへ”。粋でパンクな歌声を届けるのだ。ビートに合わせて「暑い?眠い?早い?寝ぼけたこと言ってんじゃねぇよ。ここに来れてない奴らだっているんだ。そいつらに伝えてくれよ。今年もフジロックとスカパラは最高だったってさ!」と届けられるメッセージに目頭が熱くなる。

沖祐市による“水琴窟”の美しい調べで場を感動で包み込んだ後は2人目のスペシャルゲストが登場。この後グリーンステージに登場予定の10-FEETのTAKUMAだ。スカパラに合わせて白スーツの出で立ち。歌は…“カナリア鳴く空”。そう、昨年惜しくもこの世を去ったチバユウスケをフィーチャーしていた歌だ。チバを心より敬愛していたTAKUMAだ。追悼の意図もあったのだろう。渾身の歌声を響かせる。歌詞の一部を「フジロック」や「苗場」に変えて場を盛り上げるのだ。

結成35周年のお祝いに創った“風に戦ぐブルーズ”を続けてTAKUMAと披露。同じ時代を生きるバンドマンに捧げた曲とのことだ。曲間で当たり前なんてないんだ、今日が最後の気持ちでお前らと楽しみたいんだ!との言葉に目頭がまたも熱くなってしまう。フロアからは「ありがとー!」と感謝の叫びでTAKUMAに応えていた。

ラストは“Paradise Has No Border”。「今日はどこが一番盛り上がってるんだ!?」、「そっちはどうだ!?」と盛り上げ番長のGAMOが呼びかけるおなじみのパフォーマンスでフロアを沸かしに沸かす。「一つになろうぜ!」と立てた人差し指に絶妙なタイミングでトンボが留まるという奇跡まで起こり、バンドの結成35周年を祝し、25年前の苗場でのステージに想いを馳せる特別なステージを晴れやかに完了した。

そこに居合わせた人誰しもを楽しませ、笑顔にする。それをひたすらにやり続けて35年だ。本当に頭が下がるし、感謝しかない。ありがとう!

さぁ、フジロックの2日目がはじまった!今日というまたとない日を楽しみ尽くそうぜ!

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