LIVE REPORT - FIELD OF HEAVEN 7/25 FRI
PARLOR GREENS
初日のヘブンに相応しい、粒揃いのセッション
日も落ち着いてきて、サングラスなしでも快適に過ごせる昼過ぎのフィールドオブヘブン。登場したのは、昨日の前夜祭にも登場したオルガン・インストゥルメンタル・バンドParlor Greensだ。昨日はとても盛り上がっていたようだが、タイミングが合わず筆者はあまり見られていない。今日ここヘブンで見るのが楽しみだったので、とっておいたということにする。
会場のセットは、下手からアダム・スコーン(org)、ジミー・ジェイムス(g)、ティム・カーマン(ds)と並び、ジミー以外は横向きに楽器がセッティングされている。私達は彼らのセッションを覗き見ているような気分だ。昨日のジミーは赤い衣装だったようだが、今日は緑色の民族風衣装で、胸に大きなハートが描かれているのが印象的だ。
”In Green We Dream”では、丸っこく人懐っこいオルガンの音色が炸裂し、ギターの尖ったカッティングが心地良い。ちょうどいいタイミングで会場には風が吹いてきたりして、毎年のヘヴンのいい空気がさっそく蘇る。
”Driptorch”は、アダムが入れるブレイク音が気持ちよくて、ジミーの渋いリフが痛快。顔を歪ませながら気持ちよさそうに演奏するジミーをついつい見てしまう。曲中に時折挟み込まれる、ニルヴァーナやホワイト・ストライプスなどのリスペクトを込めたギターソロを次々と披露する機会もあり、観客はどっと盛り上がる。さらに歯で弾いたりもして、全身でパフォーマンスをしていたのが印象的だった。
盛り上がりのあとは、メロウな“Flowers For Sharon”で小休憩。ギターのアルペジオと、高音のオルガンが囁く甘い空間。ティムの抜け感ある打音も素晴らしい。
“Parlor Strut”はジングルベル、Rock Scissors Paper(グーチョキパーでなにつくろう?の曲)を挟むなど、ジャズセッションの合間に見え隠れするお馴染みのフレーズに耳が離せない。終盤まで続くロングなドラム・ソロで我々を圧倒した。ロカビリー色の強い“The Ripper”では、会場は大いに揺れ、アダムとジミーが見つめ合いながら、「これはどう?」と目配せしてセッションを楽しむ様子に、なんだかこちらも嬉しくなった。
情熱的で時にお茶目なジミーのギター、冷静でポーカーフェイスなアダムの、サングラスの奥に秘めたパッション。ティムの真っ直ぐで飾らないドラミング。それぞれのタイプは違って見えるが、だからこそそれぞれの個性が光って見える。音源では少し単調な印象も受けたが、彼らの本質はライヴで見て理解できる。
夕焼けの光がほのかに入るヘブンに、オルガンの音が輝き素敵な光景となっていた。初日のヘブンに相応しいセッション、大いに満足だ。
[写真:全10枚]