FUJIROCK EXPRESS '25

LIVE REPORT - ORANGE ECHO 7/26 SAT

すずめのティアーズ

  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
  • すずめのティアーズ
PHOTO BYおみそ
TEXT BY梶原綾乃

Posted on 2025.7.26 22:06

国境も土地も自然もフラットになる

カンカン照りから一転、土砂降り。あれだけ砂埃の舞っていたオレンジエコーの足元は、あっという間にドロドロになってしまった。しばらく振らない予報だからと油断していたが、雨雲はいつの間にかそこにいるもの。雨装備を怠っていた自分が情けない。久々にフジロックの雨の洗礼を浴びた!

すずめのティアーズは、その名のとおりよく雨に当たるタイプのアーティストらしい。本人たちがそう言っていた。雀の涙どころか大号泣レベルなのだが、そんな日もあっていいだろう。

滋賀県を起源とする江州音頭とバルカン地方。まったく違う地域の民謡が重なり合うのに、妙にぴったりとハマる不思議。2年前の民謡クルセイダーズは民謡とクンビアだったけど、こういうパターンもあるのかと感動した。

どしゃ降りの中、佐藤みゆき(vocal, kaval)の高音と、あがさ(vocal, guitar)の低音が結びつく。オレンジエコーからさらに奥地に広がる山々にこだまするその響きは、神々しくてありがたさがある。歌声のゆらぎに浸かって、ぷかぷかと浮いている気分になる。不感の湯みたいに。

横浜港で歌われた洗濯歌“ザラ板節”にブルガリアの洗濯の歌を組み合わせたり、奄美島唄の”糸繰り節”にバルカン民謡を合わせていったり、マッシュアップは自由自在。バルカン半島などで知られる民族楽器「カヴァル」の高貴な響きとギターの色鮮やかな世界が、私達をすっかり虜にさせる。

“ポリフォニー江州音頭”は、代表曲であり、結成のきっかけでもあるだろう。盆踊りの会場では誰かが師匠になって踊りだして輪ができそうだけれど、ここでは皆がゆらゆらと揺れ、自分の好きな動きでそれを楽しんでいる様子だった。もっと晴れたらみんな踊ったのかと思うと、ちょっともったいない!

民謡は死んだかと聞かれると、めちゃくちゃ生きてる!と思うような動きがここ数年で拡大している。その象徴が今年のオレンジエコーであるのは確かで、すずめのティアーズは、フジロッカーに民謡という道を教えてくれる案内人のような気がしている。これからも苗場食堂とか、いろんなステージに出て、その奥ゆかしい世界に案内してほしい。

[写真:全7枚]

TAGS
7/26 SATORANGE ECHO