FUJIROCK EXPRESS '25

LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/26 SAT

FOUR TET

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Posted on 2025.7.27 12:01

90分一発勝負にフォー・テットの哲学を見た

2011年のレッド・マーキー深夜のステージ以来、なんと14年ぶりのフジロック出演となったフォー・テットことキーラン・ヘブデン。2020年のラインナップにも名を連ねていながら、惜しくも開催延期に。そんな経緯もあり、この日のステージを心待ちにしていた人は多かったはず。

登場したのは、バリー・キャント・スウィムの熱狂もまだ残る、22時のホワイト・ステージ。シンプルなDJセットにもかかわらず、彼はその空間全体をまるでクラブのような情感で包み込んでいく。以前観た、DJ卓を中央に置いて彼の手元以外のライトを消したオリジナル楽曲のセットも、楽曲の魅力が堪能できてとてもよかったが、彼の真価はむしろ今夜のようなプレイにあらわれているような気さえする。

音源に近いかたちでプレイされたのは、冒頭の挨拶がわりに流れた“Thousand and Seventeen”くらい。そこからの90分間は、ほぼ一定のビートが流れ続けていたにもかかわらず、単調さや一本調子といった表現とは無縁。さりげなく素材を差し替えながら、じわじわと、でも確実に景色を変えていく、まさに骨太なDJセットだった。こういうストイックなプレイは深夜のレッド・マーキーやGAN-BAN SQUAREではよく見るけど、ホワイトのヘッドライナーでこれをやってしまうとは…!

ここぞというところでで繰り出された“Into Dust (Still Falling)”や“Baby”、“Daydream Repeat”などの自身の美しい楽曲たちも、ただ音源通りに流すのではなく、ビートに乗せて新たなニュアンスを生み出したり、フェードアウトかと思わせておいて音量がぐんと上がったりと、緩急の効いた細やかなプレイが随所に光る。そして何より、そんなビートをホワイト・ステージの爆音で浴び続けられる贅沢さ。そこにSchumutzの“Crap”、Taravalの“Aardvark”、Fold & cu.rveの“Business”などをミックスしながら展開していき、ビートは途切れることなく、90分間ずっと鳴り響いていた。

照明もまた素晴らしく、無数の白い光がミラーボールを照らしてさながらフィールド・オブ・ヘヴンのような幻想的な空間を作り出したかと思えば、赤や青、緑、ピンク…と色を増やしながら、1〜2色の光がサウンドの変化とリンクするように夜空を舞う。バリー・キャント・スウィムのカラフルな演出とは対照的に、ミニマルだけど感情に訴えかけるライティングが印象的だった。

そんなビートを浴び続けていると、オーディエンスの心も体も自然と解き放たれていく。僕の周りではじっとステージを見つめる人もいれば、入れ替わり立ち替わりで人の流れがあり、時間が進むにつれてどんどん自由でいい表情になっていく人たちが増えていった。まるで、普段通っているクラブのような感覚。それをホワイト・ステージという大きなスケールで実現させるのがフォー・テットであり、彼の哲学が全編にわたって貫かれていた90分間だった。

[写真:全10枚]

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7/26 SATWHITE STAGEXSUMI