LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/26 SAT
BARRY CAN’T SWIM
ホワイト・ステージを掌握した世界初披露のバンドセット
最新作『Loner』を先日リリースしたばかりの、スコットランド・エディンバラ出身のプロデューサー / DJ、バリー・キャント・スウィムことジョシュア・マニー。昨年のGlastonbury FestivalやCoachella Festivalの大盛況も記憶に新しい中で、最新作『Loner』を先日リリースしたばかり。満を持しての初来日。ましてや世界初披露のバンドセットということで、ソワソワしながらホワイト・ステージに向かう。
グリーン・ステージの山下達郎にとんでもない人数が集まったようで、それでホワイト方面に行くのが難しい人も多かったのだろう。定刻10分前でもホワイトはそれほど人は入っていないようで、すんなりと前方に行けた。少し気の毒な状況ではあるが、これもまたフェスティバルということか。せっかくだからこの辺で観ることにしよう。
最初はキム・ゴードンのような不穏でヘヴィなサウンドが光る“The Person You’d Like to Be”から。どうやらギターを構え、3台のシンセに囲まれるジョシュアのほか、ドラムとキーボードを加えたバンド編成のようだ。カラフルな映像はどことなく今年のフジロックのデザインと似たものを感じる。
オーガニックな素材と電子音が心地いいバランスで交錯し、縦横無尽に展開するバリー・キャント・スウィムのサウンド。“Dance of the Crab”や一際大きな歓声があがった“Kimbara”は小気味のいいパーカッションがリズムに彩りを添え、“Blackpool Boulevard”ではエレガントにピアノを弾き倒したりと、バンドセットという新たなスタイルを得て、彼の多面的な魅力がこれでもかと広がっていく。電気グルーヴなどにも近い感触の“Like it’s Part of the Dance”や、この日出演のジェイムス・ブレイクやフォー・テットとの共通項を感じさせる“Can We Still Be Friends?”など、ホワイトのズンズン来る音圧の中でも気持ちよく横揺れしていられるサウンドの配合が絶妙だ。
そして、サウンドとともに驚かされたのは大量のレーザーがホワイト後方に向けて投影されたこと。レーザーといえばグリーンの印象が強かったが、ホワイトでここまで大規模なものを見たのは、もしかしたらはじめてかもしれない。レーザーを真上に見上げる位置で踊るのも興奮したもので、頻繁にフロアを抜くカメラワークによって、そんなみんなの興奮がホワイト・ステージにどんどん伝播していくようだ。
山下達郎終わりの人も合流したであろう中盤以降では、盛り上がりもさらに加速していく。甘美なメロディが陶酔へと誘う“Kimpton”では、ステージに並ぶ2人の横向きのシルエットがよく映えていて、“Still Riding”は、曲の入りで何度かビートをとめてはオーディエンスを煽る演出がなんともたまらなかった。そのたびに湧き上がる歓声。そして凄まじい量の緑のレーザーが夜空に飛び交い、視覚的な刺激も最大限に盛り上げてくる。パッドを叩いてリズムを刻む“Fiorucci Made Me Hardcore”や、ミニマルなアプローチが印象的だった“Different”といった曲では、よりライブ感のあるグルーヴや小気味よくカットアップされたヴォーカルが際立っていた。
終盤には、前夜祭でDJ MAMEZUKAもプレイしていた“Deadbeat Gospel”をドロップ。荘厳な雰囲気の中、キックが止まるタイミングで自然と手をあげるオーディエンス。そしてラストの“Sunsleeper”では、堰を切ったようにリフトをはじめるオーディエンスもちらほらあらわれ、まるで海外フェスのような光景に。観客の熱気に応えるように、ステージ上のジョシュアも奔放に踊っている。その姿はまさに歓喜の中心で、初披露のセットとは思えないほど完全にホワイト・ステージを掌握していた。
[写真:全10枚]