LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/26 SAT
jo0ji
Posted on 2025.7.26 19:28
哀愁とともに爽やかに吹き抜けるjo0jiの夏
先週『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL』に出演したばかりのjo0ji。他にもこの夏は『RISING SUN ROCK FESTIVAL』や『SWEET LOVE SHOWER』に忌野清志郎トリビュートバンドとして出演予定。さらに『ROCK IN JAPAN FES.』など、大型フェスへの出演も多数控える、2025年注目の存在だ。今年の大本命カトリエル&パコ・アモロソの裏ということもあって、人数はほどほどといったところ。だが、jo0jiがギターを持った最初の“眼差し”で、レッド・マーキーは一気に釘付けになった。
ヴォーカルのjo0jiと、ギター、ベース、ドラムの基本型に、パーカッション、ピアノ、バイオリンも加わった7人編成のバンドセット。その優雅さとダイナミックさをあわせ持ったバンドサウンドに乗せて、白いタンクトップでシャツをラフに羽織ったjo0jiが情感豊かに歌い上げる。ハンドマイクでファンキーに歌う“≒”。メロウな哀愁が漂う“条司”。いずれも緩急が際立ったバンドサウンドと、NYブルックリンのクリエイティブユニット・Margtによる映像演出が相まって、お昼前でじんわりと熱気がこもったレッド・マーキーに、強烈な夏の香りが漂う。
「鳥取から来ましたjo0jiです!フジロックはじめまして!熱いから水とかとって良きようにしてねみんな」
良きように。こういう独特の言葉選びも、彼の魅力なんだろうな。不穏なトーンのピアノから、後半にかけてバンドが盛り立てる“BAE”。暖かい光の映像とともに、目を瞑ってゆったりとまどろんでいたい“駄叉”。そんな一曲一曲にも、彼の地元鳥取の空気がふっと香るような歌声が乗っていて、フロアの空気を少しずつ柔らかくしていく。
父親は漁師で、自身もアーティスト活動の傍ら、地元の漁港で働いているというjo0ji。例えば、こういった郷土のニュアンスや洒脱な雰囲気をなぞらえて、彼を「ネクスト藤井風」みたいに捉えるのも、そう間違ってはいないだろう。だが、みずみずしいピアノが映える“不屈に花”で、ラフに力強く歌う姿や、アコギとフロアの手拍子から祝祭的なバンドサウンドが花開いた“謳う”も、彼固有の歌の魅力が詰まっている。他にも下津光史や志磨遼平のようでもあり、遭遇した知り合いの言葉を借りると小林旭のようでもある。だが、そのどれとも違う彼のオリジン。「でも大丈夫、僕らにはうたがある」という言葉に不思議な説得力をもたらしているのは、「jo0ji節」とでも呼びたくなるそういう部分だ。
MCを挟んで最後は「今いるお馴染みを大事にするって曲」という“onajimi”。周りからいなくなった人もいるけど、今周りにいてくれる人を大切にしたい。そんな純朴な感情があらわれた演奏にMargtによるオフショットをたくさん散りばめた夏のイメージがフラッシュし、最後のキメで水の中に浮かぶjo0jiのロゴが大映しにされるスクリーン。なんとも鮮烈な夏の香りが吹き抜けた、お昼のひと時であった。
[写真:全10枚]