LIVE REPORT - FIELD OF HEAVEN 7/25 FRI
ANSWER TO REMEMBER
フジロックらしいサプライズが続出
本当に1時間のセットだったんだろうか。そもそもAnswer to Rememberそのものが卓越したプレイヤー集団なのに、ゲストにアナウンスされていた
ermhoi(Vo)、Jua(MC)、HIMI(Vo)だけでも豪華なのに。なんとサプライズでトモキ・サンダース(カッサ・オーバーオールのバンドメンバーとしても記憶に新しい人も多いのでは)、このひとつ前のKIRINJIのステージに立っていた伊吹文裕と宮川純まで参加したのだ。同世代の重要ミュージシャン揃い踏みである。
おもむろに石若駿のドラムからスタートし、場を取り仕切るマスターズ・オブ・セレモニーばりのMELRAW(As/Gt)の煽りで、イーブルなMarty Holoubek(Ba)が活を入れてくるようなロックな楽曲も。おのおのがアドリブっぽくソロをぶち込んできたかと思えば、早くもラッパーのJua(MC)を呼び込む。フュージョンナンバーの上でラップするようないい意味での器用さが痛快だ。もう1曲Juaとの共演曲があると石若。するとそれだけじゃない。見覚えのあるビジュアルのサックス奏者が加わる。トモキ・サンダースだ。4本になったホーンがラテン調のナンバーを緩急に富むアレンジで彩る。もう何もかもがプレイヤーの音楽的な筋力でその場でどんどん鮮やかになっていく。
「アンリメ、フジロック出たぜ!」ーー珍しく石若が咆哮する。くるりや君島大空などでこの地を踏んでいるだけでなく八面六臂の活躍を見せるドラマーの彼も自分のバンドでの出演は感激もひとしおなんだろう。フジロック愛溢れる石若にありがとう、である。
ヘヴンのバイブスがグッと上昇したところに二人目のゲストermhoi(Vo)。ジャズの高速メロディをホーンとともに駆け抜けるスリルは抜群だ。もう1曲のダブっぽい楽曲ではermboiの空に届くようなハイトーンとホーンのイマジネーションに溢れるプレイにも拍手喝采。彼女に関してはこれまで実験的な作品を耳にすることが多かったのだが、めちゃくちゃ歌える人なのだと意識を新たにした。
そしてHIMI(Vo)の登場とともに、石若が「さっきライブ観てた人じゃん。この曲作った人」という説明で歓待の拍手が起こり、伊吹文裕と宮川純もステージに上り、LAGHEADSのナンバーとして馴染みの“抱きしめたいよ”を演奏。宮川は鍵盤を、伊吹は途中で石若に代わって急遽ドラムを叩くという展開に。もうこうなると誰が主役かわからなくなる。いや、演奏に参加する人は誰でも主役になりえるし、サイドに回るのもまた度量の一つなんだなと思う。
演奏で会話するアンリメのステージはそれそのものがひとつのエコシステムだ。ラストに再びトモキが参加して華々しくフィニッシュを迎えた。
ちなみに石若は明日7月26日、君島大空でGREEN STAGEに、Martyは7月27日、同じくGREEN STAGEで森山直太朗のバンドメンバーとして登場。ほかのメンバーもどこかのステージで出会う可能性大。プレイヤーとしてさまざまな演奏が楽しめるのもフジロックの醍醐味である。
Answer to Rememberメンバー
石若駿(Dr)、 MELRAW(As/Gt)、佐瀬悠輔(Tp)、中島朱葉(As)、馬場智章(Ts)、海堀弘太(Key)、若井優也(Pf/Key)、Marty Holoubek(Ba)、Taikimen(Perc)
[写真:全10枚]