FUJIROCK EXPRESS '26

LIVE REPORT - FIELD OF HEAVEN 7/24 FRI

ANTIBALAS

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Posted on 2026.7.24 21:57

バラバラのまま調和する感覚

フィールド・オブ・ヘヴンのPA後ろのピースマークって前からあったっけ?パレス・オブ・ワンダーに高々と掲げられたフラッグしかり、どんどん切迫感を増している世界に呼応するように、今年のフジロックは例年以上に平和を希求する表現をあちこちで見かける気がする。夜へと差しかかるヘヴンに登場した、NY拠点の多国籍ファンクバンド、アンティバラスもそのひとつだ。8人編成の大所帯で奏でる“Hourglass”でひとしきりバンドをイントロデュースしたあとに、「Fight for democracy, fight for peace」と投げかけた。これはきっとこのライブの重要なテーマだ。

フェラ・クティ直系のアフロビートを現代へ鳴らし続けるアンティバラス。反復する長尺のセッションの中で、ごく小さな変化を積み重ねながら、じりじりとグルーヴを育てていく。疲れすらスパイスに変えながら、身体の反応に任せて揺れるヘヴンのオーディエンス。トランペット、フルート、バリトン/テナーサックスが順番に前へ出たかと思えば、ドラムとパーカッションがリズムを押し広げ、その隙間をギターとベースが縫っていく。スペーシーなシンセが全体を貫き、一人ひとりが起点になりながらも、誰も中心にはならない。そんな円環のようなセッションが、ヘヴン全体を包み込んでいった。

そして、その円環の半分は僕らオーディエンスだったのかもしれない。寄せては返すビートとグルーヴにどう反応するかは僕らの自由だ。踊ってもいいし、ハンドクラップしてもいい。座って目を閉じていてもいい。でも、どんな過ごし方をしていても、その場の一部になっている感覚だけはずっと途切れなかった。ステージとフロアの境界線が溶け合っていくような、不思議な時間。「時間をともにしてくれてありがとう」と、初めてのフジロックへの感謝を語っていたが、あの言葉選びは単なる挨拶ではなく、このライブそのものをあらわしていたように思う。

アンティバラスは、近年インストゥルメンタルを中心に活動する理由について、「物事があまりにも速く進んでいるため、時事的な歌詞を書いて録音する頃には、その問題や悲劇はすでに人々の記憶から消え始めている」と語っている。だからこそ彼らは、言葉ではなく身体に働きかける音楽を選ぶのだろう。そのことが、このライブでは妙に腑に落ちた。複層的なグルーヴに身を委ねていると、それぞれ固有の身体のリズムが自然と立ち上がり、そこにいる誰もが互いに影響を与え合う存在であることを実感していく。享楽的に踊ることも、心地よくまどろむことも、その場をかたちづくる大切なコミュニケーションだった。

僕は先週の『PYRAMID GARDEN -Beyond the Festival-』で感じた、「今ここで平和をつくる」という感覚を思い出していた。言葉がなくても感覚で共鳴できること。無理に一つになろうとしなくても、バラバラのまま調和できること。そのことを、アンティバラスは理屈ではなく身体で教えてくれた気がする。終演後、心地よい余韻のまま後方へ歩いていくと、ピースマークの下ではキャンドルが静かに灯っていた。

[写真:全10枚]

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7/24 FRIFIELD OF HEAVEN