THE MUSIC

Green Stage | 2011/08/02 01:32 UP
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マジヤバイ! 苗場で披露した最高のラストダンス
 ついに、この時を迎えた。ザ・ミュージック、日本でのラストダンス。会場でTシャツを買うと、バックプリントには「THE MUSIC THE LAST DANCE」と題され、JULYには最後のフジロックを含む日本での5公演が記載されている。AUGUSTのイギリスは3公演だ。それを見るだけでも彼らにとって日本が、そしてフジロックが特別な存在であることが伝わってくる。

 プライベートでも遊びに来てしまうほどフジロックが大好きな彼らに、解散前の日本最後の舞台として最終日グリーンステージのスペシャルゲストという最高の枠が用意された。ケミカルブラザーズが、グリーンステージを巨大なダンスフロアにした後、ザ・ミュージックが始まるまでの時間、待ち遠しい気持ちと、まだ始まって欲しくない気持ちが錯綜する。これはお客さんだけでなく彼らも同じだったのではないだろうか。

 朝から降っていた雨は止み、苗場の空には星が輝いていた。天気も彼らのラストダンスに向けて準備を整えてくれたのだ。照明が落ち、会場が緊張と興奮で溢れかえる。ロブ(Vo.)はグレーのパーカーといういつも通りラフな普段着で4人が登場。Tシャツのイメージが強いスチュ(Ba.)が鮮やかなブルーのポロシャツを着ていたのは最後のステージを思ってのセレクトなのだろうか。いつも通り過ぎて今日で本当に最後という実感が一切湧いてこないまま演奏が始まった。

 一曲目は、“The Dance”。会場がグルーブ感に包まれ、ロブ(Vo.)の高い声が苗場に響き渡る。キレのあるダンスは、いつもより気合いが入っているかのように感じる。2曲目は彼らのデビュー曲、“Take The Long Road And Walk It The Dance”。3曲目は“The Truth Is No Words”。1曲目は何とか涙をこらえることができたが、へヴィなイントロが始まった途端目頭が熱くなる。ファーストアルバムでハマるきかっけにもなった思い入れのある曲だ。あと何曲聞けるのだろう、何曲一緒に踊れるのだろう、そんなことが頭をよぎる中、この10年間を振り返るかのようにアルバムのファースト、セカンド、サードと曲が進んでいった。

 MCでロブ(Vo.)が「アリガトウゴザイマス」という度に、こちらこそ、と胸が熱くなる。今回新たに「マジヤバイ」も連発となり、少し笑いも起きて切ない気持ちが緩和された。全11曲のうち、ほぼ半分がファーストアルバムのものだった。それが、ザ・ミュージックとしての答えであるかのように。そして、“Bleed From Within”が始まった。これは日本でのラストダンスが終盤に差し掛かかったことを意味する。この曲は、恒例のメンバー全員によるパーカッションが見ものだが、今回はそれに加えサプライズがあった。ロブ(Vo.)がステージから降りてきて、フォトピットでダンスを披露してくれたのだ。それはまるで、「ありがとう」という今までの感謝の意を、得意のダンスで表現したかのようだった。

 そしてついに、一番聞きたくて、でも一番聞きたくない曲が始まった。嫌だ! まだまだ一緒に踊り続けたい! イントロのギターが鳴った途端、涙があふれ出して止まらない。この曲をやるということは、おそらく最後の1曲になると確信していたから。泣いても笑っても最後の“The People”。フジロックでこんなにも泣いたのは初めてだ。でも、悲しい気持ちで踊るなんてまっぴら。楽しさ>寂しさ、でありたい。最終日の24時半過ぎ、疲れ果てた身体も痛めた足も今だけ忘れて、とにかく悔いのないように、二度と来ないこの瞬間を、今、一緒に踊るだけ。全身全霊を尽くしたためよく覚えてないけど、とにかくみんなが大合唱してラストダンスを全力で踊りきったことだけは心と身体でしっかりと感じ取った。

 熱気に包まれたグリーンステージから4人が去った後、当たり前のようにアンコールが期待されたが、彼らが再び姿を見せることはなかった。もちろんそれは寂しいことだが、“The People”で彼らもお客さんも、いろんな思いやエネルギーを出し切っていたはず。それに、“The People”を超えるこの場面にふさわしい曲はないだろう。納得できないお客さんの前に、フジロックのオーガナイザーである日高さんが登場。「彼らは、フジロックで散りたいと言っている。アンコールはありません。」と伝えた。

 後から知ったのだが、グリーンステージでのライブが終わった後、彼らはステージ裏で号泣していたそうだ。それを知って、また号泣…。

 今年でフジロックへの参加が11回目となるが、2002年~2011年の10年間で6回(2003年は2回)も出演を果たしたザ・ミュージックは自分のフジロックの歴史そのものだ。2002年のレッドマーキー出演時、入場規制で見ることができなかったのは今でも悔やまれる。しかし、2011年7月31日の夜、日本最後の舞台に立ち会えたことは本当に最高の思い出となった。

 ロブ(Vo.)、アダム(Gt.)、スチュ(Ba.)、フィル(Dr.)、最高のラストダンスでした。今までたくさんの楽しい時間をありがとう! 私たちは、忘れない。フジロックを愛した“マジヤバイ”4人組、ザ・ミュージックを。


文:近藤英梨子
写真:佐俣美幸
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