GREEN STAGE, | 2012/07/29 11:30 UP

cero

21世紀の日照りの苗場に雨が降る

キーボードを担当する荒内はこんなことを言っている「(以前辞めてしまったドラマーに)毎年エイプリルフールにルーキー決まったよって嘘をついていたら、去年本当になってしまった!」

昨年、ルーキー・ア・ゴー・ゴーで初めてフジロックのステージを踏んだシティ・ポップバンド、ceroは、それから2回の投票と審査によって見事メインステージの出演に選出された。場所は、ピースフルな雰囲気が人気のフィールド・オブ・ヘブンだ。

普段のライブでは、カジュアルな服装がほとんどだが、今日は白いハチマキと黄色のカフェエプロン(?)を腰にまとい不思議な格好で登場した。これは、バリ島の正装らしく、所属するレーベル、カクバリズムの「バリ」にちなんでフロントマン高城晶平が考案したものと後のMCで発覚する。ユーモアのある発想で会場を和ませていた。

初日から晴れ続きだった苗場には、心地よいくらいの小雨がパラついていた。始まりは「クラウドナイン」。雨を歌うこの曲で、高城の透き通った声が、まるで恵みの雨のように、ヘブンの会場の隅々まで浸透する。後方まで、びっしりと人で埋め尽くされた景色を、ギター橋本は見渡している。ceroは天気を味方につけた。

雨の歌は続く。一昨年、カクバリズムより1stリリースをした10インチアナログ”21世紀の日照りの都に雨が降る”は、デビュー直後にも関わらず、完売を記録している。ceroの代表曲とも言えるこの曲は、サポートMC.シラフのスティールパンによるエキゾチックな音と童謡『雨ふり』をモチーフにした楽しくて、どことなく懐かしさを覚える。誰もが知る「あめあめふれふれ母さんが〜」というフレーズを、楽しそうに口ずさむお客さんの様子が印象的だった。

力強いボーカルに自信が感じられ、ceroは大舞台での安定的な演奏をみせつけた。演奏後のメンバーからは満面の笑みがこぼれている。MCでの夏の話題から”武蔵野クルーズエキゾチカ”へ。先ほどまでベースを持っていた高城はギターに、キーボードを弾いていた荒内はベースに持ち替える。このバンドは、1ステージで1人が2つ以上のパートを担当する、多才な集団だ。作風も新旧に捕われず、ハンドマイクでラップをしたり、”マウンテンマウンテン”の曲中のある咳払いだったり、映像作品を見ているかのようで、1曲1曲の展開に目が離せなくなる。

ラストは、「コンテンポラリートウキョークルーズ」。彼らの曲のほとんどに、メンバー全員がコーラスをする場面があるが、この曲は彼らの特徴であるハモリのコーラスを最大限に生かされた作品だ。10曲にも満たない曲数であったが、見逃せる場面はひとつたりともなく、あっという間の時間が過ぎた。先ほどまでの小雨は、いつのまにかなくなり、演奏の余韻だけが会場を包んでいた。

ライブ中、新曲”マイ・ロスト・シティ”が披露された。ポップなテイストとはひと味違った彼らのアグレッシブな一面が見られた。次にフジロックでceroを見るとしたら、オレンジコートだろうか。秋に発表されるという2作目のアルバムにも期待したい。

— set —
クラウドナイン / 21世紀の日照りの都に雨が降る / マウンテンマウンテン / 武蔵野クルーズエキゾチカ / マイ・ロスト・シティ / サン / コンテンポラリートウキョークルーズ


写真:加藤智恵子 文:千葉原宏美
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