GOMA
呼吸は歌、呼吸は音楽
“王座“でさかんに檄を飛ばしている(!?)デイヴ・グロールも名残惜しいが、初めてピラミッドガーデンまで足を運んでみた。まぁ半端ない距離ではあるのだが、正直今まで来なかったことを後悔する、誰もがほっといてくれて、しかもアーティな飾り付けや、焚き火など、「庭にしたい!」と思うほどの素敵空間が広がっていた。さすがにここまで辿り着く人たちはキャンパーか、よほどのGOMAさん好きと見た。
なんといっても本人がステージに登場しても静かに見守るだけ。その「誰かのリビング」のようでもあり、なんらかのセレモニーを執り行う厳粛な場所でもあるような不思議な空間が心地よい。
今回は完全に彼ひとりのアコースティックサウンドなので、一つ一つの呼吸ですべてが変わると言っていいほど、GOMAのリアルタイムでしかない演奏だし、そのニュアンスは人のしゃべり声、もっと言えば呼吸そのもの。単に声でも音でもない何か、でもまちがいなくGOMAでしかないそれに空間が包まれる。
そして風なのか意識なのか、何かをたぐり寄せるような彼の手振りも美しい。
通奏音の上にリズムや別の音が同時に乗ってくるこの楽器の仕組みは一体どうなっているんだろう?
果てしなく同じ音程で揺らぎしか感じないようでいて、実は通奏音も変化し、上の乗るリズムも変化する。ある瞬間、ランダムに放たれる打音が花火のように聴こえて、昨夜の前夜祭を思い出してしまった。
ディジリドゥという楽器を自分で演奏することは、今後ないかもしれないが、GOMAの演奏を聴いていたら、腹の底からお経を詠みたくなってしまった。変なたとえかもしれないが、今晩の演奏はそんな印象に満ちていたのだ。