大宮エリー&コトリンゴ
大自然の中で聴く、物語の世界
3日目のジプシー・アバロンのトップバッターは、大宮エリー&コトリンゴである。ステージに姿を見せると、「コトリンゴちゃんです、大宮エリーです」と、2人が登場。下手の方のイスに大宮エリーが、上手に置かれたキーボードの前にコトリンゴが座ると、まずは2人によるトーク。朝食を食べる食べない、という話から、大宮エリーによる「日向、日陰」コールが始まる(日向と日陰に観客が分かれて座っていたため)。大宮エリーのイスの隣にある机には、ビール、ワイン、スパークリング・ワインと3種類のコップで、それを飲むながら、まだまだトークが続きそうな勢い…。と思いきや、コトリンゴがおもむろにキーボードを弾き出す。「あ、もうやる感じね」という大宮エリーに、「漫談はやらないっていったのにー!」というコトリンゴ。ちょっとかみ合っていない感じが、朝からゆる〜く笑えてとても心地良い。
そして、この2人で何をするんだろうか?なんて思っていたのだけど、まずはSPITZのカヴァーで“渚”を。ふんわりと柔らかく、優しいコトリンゴの歌に、大宮エリーのヴァイオリンが合わさっていく。その後、大宮エリーの朗読に合わせて、コトリンゴが即興で伴奏を付ける、という試みを。大宮エリーが語る物語と、その主人公の気持ちをなぞっていくように、もしくは物語に寄り添うコトリンゴのサウンドがまたよくジプシー・アバロンの雰囲気が合う。その本の世界にキュッと胸を締め付けられたり、ドキドキさせられたり…ふと涙腺が緩んでしまったり…。あぁ、こうやって大自然の中で、こうやって耳で聴き、1つの物語の中に入り込めるというライヴもいいよね、と、しみじみと思わせられた。うってかわって、MCになると、また2人のかみ合ってなさにクスクスとしてしまうんだけど。そのギャップも良い。
最後には、フリッパーズ・ギターの“恋とマシンガン”など、コトリンゴが奏でる音楽にインスパイアされて、大宮エリーがその場でライヴ・ペインティングをおこなっていく。持ち時間まで残り15分というところだったが、一気に集中力を高めるようにして、まずはステージに置かれた白の紙に青の色から塗り始めていった。いやぁ、まさかの15分で書き切ったそれは、大宮エリーがステージから見たジプシー・アバロンの観客の笑顔の姿。お見事であった!