FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTGREEN STAGE7/26 FRI

ELLEGARDEN

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Photo by Tsukasa Miyoshi (Showcase) Official Photo Text by あたそ

Posted on 2019.7.27 01:09

おかえり!ELLEGARDENの帰還を待ち続けた11年間に祝杯を

この日のグリーンステージ18:50からの1時間は、会場にいた多くの人にとって、特別な時間だったように思う。11年間ずっと待っていた。絶対に戻ってくるのだと、信じていた。また彼ら4人が演奏する姿を見ることのできる日々を、待ちわびていた。
その時が、今日だった。突然の活動休止を発表し、雷雨のなかでのグリーンステージに出演し、大盛況だった2008年。それから11年経った今日、ELLEGARDENがまた同じフジロックのステージに帰ってきたのだ。
きっと同じ気持ちで、わざわざ金曜日の苗場まで足を運んだ人はたくさんいたはずだ。その証拠に、会場ではお揃いのTシャツを着た人を何十人何百人と見たし、物販には専用の待機レーンができあがっていた。

不安定な空の下、直前になると雨が止み、ふっと音楽が止れば大歓声が上がる。言葉に出したわけじゃない。けれど、その声は「待ってたよ!」という意味が込められていたのだと思う。SEとして“Opening”が大音量で流れ、メンバー4人が登場すると、最前列は更に人が押し寄せてくる。

1曲目は“Fire Cracker”。何度も聴き続けてきた厚さのある低音に、軽やかなアルペジオ。観客たちの手は天高く掲げられ、一瞬一瞬を噛みしめるように楽しんでいるように見える。目の前で演奏される曲に、いい意味で当時とまるで同じ盛り上がり方をする観客たち。ライブハウスでワクワクしながらELLEGARDENを見たあの頃から、何も変わらないステージと観客たちとの関係性を見たとき、改めて「ああ、本当にELLEGARDENが帰ってきたんだ」と心から思った。

“Space Sonic”が終わり、“Missing”ではスクリーンの下方からスカルのマークのロゴがゆっくりと登場する。時には腕を大きく広げ、笑顔を見せる細美武士(Vo&G)。今この時を楽しみながらも、ゆっくりと丁寧に歌っているようにも見える。
演奏が始まった瞬間から観客たちの興奮が落ち着くことはない。それぞれが精いっぱいの力を振り絞り、シンガロングをしている。そうだ。私たちは、今まで何回くらいELLEGARDENの曲を聴いてきたんだろう?歌詞カードとにらめっこをして込められた意味を分かろうとしたんだろう?何度救われてきたんだろう?数えきれない。例え、どんな曲が目の前で歌われても、それが英詞だったとしても、空で歌えてしまう。

19時が少し過ぎ、本格的な夜が始まると色鮮やかなライトが光り、「いこうぜ!」という細美。“Supernova”と“Pizza Man”では、生形真一(G)と高田雄一(B)がステージを左右に動き回る。ステージ上での演奏に応えようと、ところどころでモッシュとダイブが起こっていた。定番の「Pepperoni Quattro!」には、思わず笑顔になる。

久しぶりすぎるフジロックのステージということもあり、メンバー全員が一言ずつ話をし、夏ははじまったばかりだけれど、“The Autumn Song”。全曲ずっと聴きたかったのは間違いないけれど、このメロディーを目の前で演奏されるときを待ちわびていた!
そして、少しも休憩する暇もなく高橋宏貴(Dr)のドラムから “Middle Of Nowhere”が続く。ゆっくりと聴かせる各々のサウンドは余裕がありながらも思いを込めて演奏されていることが聴いているこちらにも伝わってくる。生形のアレンジされたギターソロに胸のあたりに響く高橋のバスドラの重音が心地よい。

“Red Hot”、“ジターバグ”、“No.13”と、グリーンステージは更なる盛り上がりを見せる。観客たちはますますもみくちゃになり、声もどんどん枯れていく。時折、左右のスクリーンに映し出された観客たちは寿司詰め状態になりながらも泣いている人、汗まみれになっている人、一生懸命歌っている人、手を挙げている人……楽しみ方はさまざまだったけれど、生き生きとした表情からはELLEGARDENを長い間待ちわび、今日という日を楽しみにしていたことが伝わってくる。MCで、細美が「1秒1秒を噛みしめる気持ちで演奏しています」と言っていたが、それは私たちも同じ思いだ。このときがずっと続けばいい。できることなら、終わって欲しくない。ずっとELLEGARDENの4人の姿を見ていたい。人々の表情からはそんな思いが見て取れるようだった。

誰かを、何かの帰りを待つ時間として11年という年月はあまりにも長い。学校を卒業した人、新しい仕事を始めたり、転職をしたりした人。結婚して、子どもができた人だっているだろう。病気や事故、悲しいこと、辛いことだって、いくらでもあったはずだ。11年という長い年月は環境なんていいようにも悪いようにも変えてしまう。体力だってなくなっている気がするし、もう若くはないかもしれない。
けれど、ELLEGARDENを心から好きな気持ち、これからも見続けていたいという気持ちはずっと変わらない。きっと、これからもずっと変わることはないだろう。私たちは、今日見た光景を見るため、ELLEGARDENにずっと期待をし続けてしまうのかもしれない。
途中のMCで、細美は「ここから先は、子どもの頃には想像できなかったような新しい夢をまた一緒に見ましょう!」と言っていた。これから、私たちにどんな夢を見せてくれるんだろう。

そんなワクワクした気持ちのなか、今まででもっとも大きなシンガロングの起こった“Make A Wish”と“スターフィッシュ”は、まるで今日この日のために作られた歌であるかのようだった。

―Set List―
SE)Opening
1)Fire Cracker
2)Space Sonic
3)Missing
4)高架線
5)Supernova
6)Pizza Man
7)風の日
8)The Autumn Song
9)Middle Of Nowhere
10)金星
11)Red Hot
12)ジターバグ
13)No.13
14)Salamander
15)虹
16)Make A Wish
17)スターフィッシュ

[写真:全3枚]

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7/26 FRIGREEN STAGE