FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTGREEN STAGE7/27 SAT

MARTIN GARRIX

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Photo by Louis van Barr (Official Photo) Text by 阿部仁知

Posted on 2019.7.29 01:21

数万人が集うダンスフロア

世界ナンバーワンDJと名高いマーティン・ギャリックスが、苗場の地に降臨!SIAとともに新時代のフジロックを象徴する存在として、ラインナップの中でも異彩を放っていた彼は、定番となっているベルギーのEDMフェスティバル、トゥモローランドの1週を蹴ってまで、わざわざ苗場を選んでくれた。

注目されていたステージセットはシンプルなものだったが、プレイするマーティンとそれに熱狂するオーディエンスを交互にモニターに映しながら、リアルタイムで様々な映像効果を重ねる、2年前のAphex Twinのステージを彷彿とさせるビジュアルが展開された。これがまた絶妙で、映し出された自分の熱狂が、グリーンステージ全体に伝播していく、なんとも中毒的なものだった。

そして、なんといっても鮮烈だったのが、ステージから後方の森へ投影される数十本のレーザー光線。縦横無尽に動くレーザーが映しだす雨粒の数が増えれば増えるほど、より幻想的な空間がグリーンステージに現出する。これがまた僕らを高揚させるのだ。

しかし、そういったテクノロジーはあくまでおまけのようなもの。王道のEDMマナーにのっとって「1,2,3 Let’s Go!」とドロップされる曲群の中でも、“No Sleep”や先日リリースされた“These Are the Times”が持つメロディアスなフレーズが彼の特徴の一つ。これがまたなんとも感傷的で、あっという間に過ぎ去ってしまうフジロックの刹那的な儚さと実によくマッチしていた。そして、代表曲の“Summer Days”や“Virus”では初日のThe Chemical Brothersのようなディープなエレクトロサウンドも飛び出す。この男、一筋縄ではいかない。

“Scared to Be Lonely”、“In The Name of Love”や、クライマックスの“There for You”、“High on Life”に込められた歌心も彼の真骨頂で、思い思いのシンガロングが巻き起こっていたし、フジロックアンセムのひとつ、The White Stripesの“Seven Nation Army”でもリフの大合唱。EDMにそれほど慣れていない人が多いであろうフジロックでも、ただただ「楽しい」という気持ちを共有していた。

この時間は大雨が降っていたが、マーティンのプレイに没頭しているとほとんどそれが気にならない。むしろ、レーザーが投影された時にこんなに降っていたのかと驚かされたりもした。こうしてマーティンのプレイが、数万人が集ったグリーンステージをダンスフロアに変えたのだった。

[写真:全3枚]

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7/27 SATGREEN STAGE