FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTGREEN STAGE7/27 SAT

ASIAN KUNG-FU GENERATION

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Photo by 白井絢香 Text by 梶原綾乃

Posted on 2019.7.27 20:05

ホームタウン

歳を重ねるといいこともあるんだなと、最近思った。それは昨日、ELLEGARDENで暴れるロックキッズたちと一緒に泣けたからで、今日NUMBER GIRLが復活するからで、アジカンが再びフジロックに出るからだ。

かつてルーキーアゴーゴーに出た彼らが、2006年で初めてステージに立ち、2010年には2度目の登場、そして今日再び苗場へ帰ってくる。「フジで観るアジカンは初めて」という10〜20代の人もいれば、ずっと苗場で観てきた歴の長い人もここにいる。じーちゃん、ばーちゃん的年齢の人も、つい最近ハマった若い子もきっとYouTubeで見てる。お茶の間からグリーンステージまでを埋め尽くす多くの観客たちが、彼らの歩んだこの数年に、想いを寄せているのだろう。ステージに張られた白いカーテンの奥に見え隠れする、「ホームタウン」の文字。それは、最新アルバムのタイトルだが、フジロックのことを指しているんじゃないかとさえ思う。

聴き慣れたあの4つ打ちが軽快に始まると…“君という花”だ。さっきまで降っていた滝のような雨は少し落ち着いてきてはいるが、「青天の霹靂」というフレーズに合わせて、雨粒に向かって手を挙げている私たちがいた。さっきまでの雨は、まさに青天の霹靂…。そんな偶然に笑ってしまった。この楽しい瞬間はこれから先もずっと、忘れないでいる気がする。その後のアウトロでは“大洋航路”のフレーズを引用するアレンジも。これまでの彼らと新しい彼らが同居する、幕開けにふさわしい1曲だった。

続いて“リライト”ではみな手を突き揚げ、それはグーだったり、パーだったり、人差し指だったりと、思い思いのエモーショナルを前方へ炸裂させる。ステージ前方のスクリーンに映った外国人も、口パクで楽しそうにして歌っている。“君の街まで”は、観客の手拍子で溢れたグリーンステージに、ゴッチの歌声がダイヴし、揺らいでいくのを静かに見守った。

“UCLA”では、Homecomingsの畳野彩加がゲストで登場し、音源の世界がここで再現される。当たり前なのだが、アジカンの音で歌う畳野は、Homecomingsでは聴けない歌い回しを感じて、新鮮そのものだった。音源で聴いていた以上に奥行きと伸びがあって、彼女の声がいつもよりも尊重された1曲となっていた。

数少ないゴッチのMCの中でも特に印象的だったのは、「歳をとることが怖くなくなった」という話だった。歳をとることで見えてくる景色や豊かさがあって、変わっていくのが人間であるということ。だから無理に立ち振る舞おうとせず、ありのままでいいんだ、と彼は言う。これは、さすがにハッとしてしまった。喜びも悲しみもあったけれど、年齢を重ねないと見えてこなかった景色を、私たちはいま目の当たりにしているのだ、と。

そして、彼らは“ボーイズ&ガールズ”でこのステージを締めた。ファースト・アルバムから最新作までをシャッフルしたオールタイム的セットリストであったが、彼らの音楽性の変化も、変わらない部分も両方感じることができる、不思議な時間だった。

きっとまた彼らはここに帰ってくる。そのころまでにまた、音楽シーンには新たな発見や驚きがあって、きっと豊かな景色が目の前に広がっていることだろう。とりあえず今はありのままで、また会おう。

[写真:全10枚]

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