FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTGREEN STAGE7/27 SAT

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Photo by 古川喜隆 Text by 坂本泉

Posted on 2019.7.27 16:23

大人の魅力とグルーヴ感にノック・アウト!

雨が降ったり止んだりを繰り返す変わりやすい天気に、自分は山にいるのだなと改めて実感したお昼過ぎ。多くの人が集まったグリーンステージで、雪を被った山々の画をバックに(どこか外国の風景のようで、とりあえず富士山ではない)、映画『ロッキー4』のテーマでおなじみのヴィンス・ディコラの“戦い”が雄々しく流れ、CAKEが登場する。ジョンが手を上げ挨拶すると、観客は腕を高く上げて大きな声で返した。

前回フジロックに出演したのは2011年のこと。目の前に現れた白髪頭にたっぷりと白髭をたくわえたジョンの姿に時の流れを感じつつも、その色気と歌声は健在。気だるいように歌われるウェッティで色気溢れる歌声が脳髄に心地よく響いてくる。カントリー、ホンキートンク、ブルーグラス、スワンプ・ロック、ラテンといった「ザ・アメリカン」なルーツ音楽のサウンドが、CAKEによってオールディながらスタイリッシュなオルタナティブ・ロックに姿を変えて苗場に響いた。あぁ、ブランデーやウィスキーなんかが欲しくなってくる。

“シープ・ゴー・トゥ・ヘブン”では、オーディエンスとコール&レスポンスを交わす。会場の「美しい声」にジョンは目をつぶって酔いしれている様子。だんだんと速まっていくスピードに、気持ちもより高まっていく。「シンガロングするのはむずかしいと思うけど」と前置きして演奏したのは、昨年5月にリリースした新曲の“シンキング・シップ”。6年ぶりの新曲発表に歓喜した当時を思い出す。

「みんなはどんな曲を聴きたいと思っているんだろうかって、いつも考えているんだ。それがプロってものだからね。ねえ、みんなは何が聴きたい?」とオーディエンスに問いかけたり、「雨が強くなってきたね。それじゃあ、雨の歌を演奏しよう」など、セットリストを用意せずに、その場の状況に合わせて演奏する曲を決めていく。オーディエンスと対話しながら一緒に作り上げる、サービス精神に溢れたステージだ。ステージの端から端まで走り回ってハンドパーカッションを鳴らしてまわったり、指揮者のように手振りで盛り上げたりと、オーディエンスを巻き込んでいく。

ジョンはしきりに雨を気にしている様子で、「美しい声に、きれいな空気。それに今は雨も降っていないね」と満足げに話したかと思えば、「このギターは乾燥したところから持ってきたものなんだ。湿気はよくないんだけどね」と心配そうにする場面も。トランペットのひと吹きで歓声が上がった“ショート・スカート、ロング・ジャケット”では、オーディエンスは頭の上で手を左右に動かしながら「ナーナーナナー」と合唱。勢いを増す雨にも負けず、熱気はさらに上昇していく。“ラヴ・ユー・マッドリー”や“ネバー・ゼア”を始めとした止まない名曲たちでの応酬、そして“ザ・ディスタンス”にとどめを刺されて、CAKEの発する大人の魅力とグルーヴ感に、完全にノック・アウトされてしまった。

[写真:全10枚]

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7/27 SATGREEN STAGE