FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTGREEN STAGE7/27 SAT

銀杏BOYZ

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Photo by 古川喜隆 Text by あたそ

Posted on 2019.7.27 14:39

ラブソングが世界を救う!銀杏峯田の魂の雄叫びを聞け!

パラつく雨の落ち着いた音の何も鳴らないグリーンステージに気だるそうに峯田和伸(Vo/Gt)が現れると、自然と拍手と歓声が起こる。

ロンTに短いランニング用パンツにスニーカーという出で立ちの峯田は、しゃがみ込み、ステージ上から見える眺めをじっくりと噛みしめるように見つめているかのようだった。
「銀杏BOYZです。歌います」という峯田の声とともに、キーボードのメンバーと最初に演奏されたのは、“生きたい”。
アコースティックギターとピアノ、そして峯田の歌声というシンプルな構成のなか、ゆっくりと丁寧に歌われていく。かっこつけていない、汚い部分もさらけ出しているこの歌は、きっと峯田自身のことであり、誰かに、周りのすべての人に伝えたかったことなのだと思う。歌が上手い訳でもないし、いい声をしていることもない。けれど、ひとつひとつの言葉に、強い意志や大きな意味が込められているように感じられる。
「幸せになりたいよ。幸せになりたいよ」という歌詞に差し掛かり、サポートメンバーの4人が位置につき、大きな音が鳴らされる。凄まじい音圧のバンドサウンドに負けないようにと、腕を後ろに組み、よだれを垂らしながらがむしゃらになって歌う峯田。時折、空の方を見ている峯田は、今どんなことを考えているのだろう。そんな風に考えながら、峯田の一挙手一投足を見つめてしまう。

峯田がアコースティックギターからリッケンバッカーに持ち替え、“NO FUTURE NO CRY”のイントロが鳴らされると、前に押し寄せる人人人。歌詞がまるで聞き取れない、叫び声にも似た峯田の歌の熱量に圧されながらも、思わず鳥肌が立つ。かき鳴らされるギターに、峯田に負けぬよう必死に食らいついていくメンバーたち。まるで対抗意識を持ち合わせて戦っているような様でもあった。
「愛と御礼を込めて!」といい、演奏のはじまった“SKOOL KILL”。爆発音のようなサウンドを後ろに、峯田がステージを降りて観客たちに向かっていく。たくさんの人の上をクラウドサーフし始める。マイクを持っているにも関わらず、まったく歌えていなかった。しかし、その分は観客たちの大合唱でカバーされている。マイクを頭に打ち付け、左腕からは血を流し、満身創痍そのもの。スタッフ、セキュリティー、カメラマンも含めてもみくちゃ状態になり、関係者全員があたふたしているようにも見え、思わず笑みがこぼれる。

10年前のアルバムレコーディングの際に「バンドを辞めてやる!」とステージを飛び出し、帰りしな捕まえたタクシーの中で聴いたRCサクセションの“スローバラード”に救われて、バンドをもう一度やってみようと思ったとMCで話す峯田。きっと、フジロックにいる人たちは、何度も音楽に救われてきたのだろうと思う。
次に演奏される“恋は永遠”、そして「ラブソングこそがこの世界を救うんだ!何歳になってもラブソングを歌い続けることを誓います!」と言い、新曲“いちごの唄”と続いていく。観客たちはリズムに合わせて身体を揺らしたり、手をたたいたりと各々の楽しみ方をしているようだった。気がつけば峯田は汗びっしょり……いや、あの液体は汗か涙か鼻水か、それともよだれなのかわからない。

最後は、大盛り上がりを見せる“BABY BABY”、そしてゆったりとした雰囲気の“ぽあだむ”でメンバーともどもステージを去っていく峯田。「詐欺をしたっていい!ハッパやっても病み営業やっても、援助交際したっていい!何をしたっていいですから!生き延びていれば!生き延びていればまた会えるから!!!」と叫び、すべてをさらけ出しながらも人々を優しく肯定し、自らの生き様を歌う峯田の声は、あのステージを見た人のもとに強く強く届いたはずだ。

[写真:全10枚]

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7/27 SATGREEN STAGE