LIVE REPORTGREEN STAGE7/28 SUN
Superfly
観客席の後方で起きた、奇跡のような出来事
2007年のデビュー当初から、圧倒的なボーカルとライブパフォーマンス、オリジナリティ溢れる音楽性が大きな注目を集めてきたSuperfly。2010年の初出演から時を経て、今年再びグリーンステージに立つ。
最初の曲『Beautiful』のイントロが始まる。越智はそっと目を閉じ、バンドの音を噛み締めてから、一つひとつの言葉を大切にするように、丁寧に歌い始めた。サビに向かって盛り上げていき、サビの高音を力強い声で響かせる。その歌声に息を飲み、どこからこんなにパワフルな声が出てくるのだろうとただただ驚くばかりだ。その迫力に、身長153センチと小柄な越智がとても大きく見えてくる。サックスにトランペット、トロンボーンやキーボード、ダブルギター、ドラム、ベースという厚みのあるバンドが越智を支える。
「こんにちは、Superflyです。フジロックは9年ぶり、2回目の出演。そびえ立つ山を目の前にして歌うこともないので嬉しいです」と挨拶。9年前のフジロックでのステージを見た人がいるか聞いてみるとちらほらと手が上がり、越智は嬉しそうに「また観に来てくれたんですね。ありがとう」と感謝を述べた。オーディエンスに手拍子を要求して『Alright!!』と『タマシイレボリューション』を熱唱。「フジロック最高ですね。激しめな曲をやって私も疲れたので(笑)、落ち着いた曲をやりましょう」と、中学校の合唱コンクールのために書いた楽曲『Gifts』を届ける。誰かと比べてしまうけど、自分の中にあるものを大切にしたい。それを他の人にも教えてあげられたらという気持ちのこもったやさしい歌だ。優しく深い声で語りかけるように歌う。
前の曲を歌い終え、静かに目を閉じた越智。すると、あのピアノのフレーズが聴こえてきた。代表曲の一つである『愛をこめて花束を』である。ピアノが鳴った瞬間、越智の表情がガラリと変って笑顔がこぼれ落ち、感情たっぷりに歌い上げる。サビではグリーンステージ奥の山の方まで観客みんなが手を左右に振っている。観客だけでのシンガロングに嬉しそうにはにかむ越智がかわいらしい。「みんなの手が稲穂みたいに揺れていて、まるで魔法みたい」とその光景を語っている。
越智はMCの中で、今年の冬に新しいアルバムを出す予定であると発表。ファンが喜びを拍手に変えて送る。「9年ぶりに出れて嬉しい。幸せでした」と久しぶりのフジロック出演を語り、『Ambitioius』を披露。最後までエネルギッシュなステージを見せた。終演後、下手で10秒ほどの長いお辞儀をしてから、跳ねるように舞台袖に戻った越智。その真摯な姿勢と愛嬌のある仕草に心が持って行かれてしまった。
実はこのSuperflyのライヴ中に、グリーンステージの後方でドラマが起きていたらしい。PAテントの後ろあたりで、観客の一人が花束を手に彼女にプロポーズして大成功! その幸せムードの漂うなか歌われたのが『愛をこめて花束を』だったというのだ! なんという奇跡…! こんなドラマも生まれるのが、フジロック。いつも会場のどこかでは、何かが起きているのだ。
[写真:全5枚]