FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTGREEN STAGE7/28 SUN

HANGGAI

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Photo by 北村勇祐 Text by 若林修平

Posted on 2019.7.28 13:14

モンゴルと苗場を繋ぐ架け橋ロック

豪雨の2日目から一転して、若干の晴れ間が見える3日目の朝一グリーンステージ。あの男たちが7年ぶりに苗場へ帰ってくる。そう中国北部に位置する内モンゴル自治区出身の6人組バンド、ハンガイだ。彼らの音楽は、モンゴル民謡をベースにしたロック・ソングである。バンドの中心人物であるイリチは、北京に住んでいた頃にパンク・ロックをやっていて、故郷である内モンゴルへの訪問などをキッカケにしてルーツであるモンゴル伝統音楽に回帰し、ハンガイ結成に至ったという。そんな異色バンドの彼らがグリーンステージに立つ。

バックドロップに『HANGGAI』のロゴがあしらわれた巨大フラッグが掲げられる中、モンゴルの民族衣装に身を包んだメンバーが登場。彼らのライブでの編成は、イリチ(トップシュール※1/バンジョー)、フルジャ(ボーカル/アムネ・フア)、バゲン(モリンホール=馬頭琴※2)、ニウ・シン(ベース/ボーカル)、アイラン(ギター/モンゴル三味線)、モウタツ(ドラムス/パーカッション)、ホーン隊7人の全13人編成だ。

ライブはバンドの中心人物であるイリチの音楽体験歴史が垣間見れたステージとなった。ヴォーカルは基本的にモンゴル民族音楽の歌唱法“ホーミー”で歌っていて、その歌唱法とロック、モンゴル民族音楽が相まって、僕らにとって新鮮な音がグリーンステージに広がっていった。さらに驚くべきはその融合力の高さ。ハードロックから、ファンク調のロック、ジャジーなロック・バラード、アイリッシュ・パンクなどを、モンゴルの民謡音楽と自分たちの解釈でミックスさせ、見事な新しいモンゴル音楽を作りあげていく。最後“初升的太阳”が終わり、メンバー全員がオーディエンスに向かってお辞儀をすると、観客から自然と大きな拍手が起こっていた。

今日、彼らのライブを観て最後に思ったことがひとつある。それは「ピュアな民族音楽」と「ハンガイの音楽」の違いだ。僕らが初めてピュアな民族音楽を聴くとき「へぇ、こんな音楽があるんだ」という“発見”を得る。では、ハンガイの音楽からは何を得られたのだろう。それは「自分たちの知るロックが世界と繋がっている感覚」─そうそれは“繋がり”だ。

※1 トップシュール:モンゴルにおけるチェロのような楽器で、ヘッドの部分に馬の頭の形の飾りがついている。
※2 モリンホール(馬頭琴):弦が二本ある弦楽器のことで、モンゴルを代表する弦楽器である。 モンゴル語で「馬の楽器」という意味。

[写真:全10枚]

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7/28 SUNGREEN STAGE