LIVE REPORTWHITE STAGE7/26 FRI
スガ シカオ
想像をあっさりと超える、ファンクネスと歌心の融合
あのスガ シカオが、デビュー22年目にしてフジロック初出演!昨年「予想もしていなかったけど、MISIAがベストアクト」という声を口々に聞いたが、今年のその枠は彼になるに違いないと、大きな期待を胸にホワイトステージに向かう。結論から言ってしまうと、その期待は間違っていなかった。
円陣でもしたのかな?という威勢のいい掛け声の後ステージに現れた、見た目にも賑やかな8人組のバンドは、あの“夜空ノムコウ”をフィーチャーしたファンファーレで、集まったオーディエンスを盛大に迎え入れる。おお、これはさらに期待が高まるぞ。そして、リリース時にタイトルが大いに話題となった、あの“労働なんてしないで 光合成だけで生きたい”でいきなり全開のファンクネスをホワイトステージにぶつけるスガ シカオ。
3人のホーンセクションを前面に押し出した贅沢なバンドセットは、あのビーチェラ(2年前のコーチェラフェスティバルでのビヨンセのパフォーマンス)を彷彿とさせるような迫力のあるサウンドで僕らを圧倒する。
「あの」で大体通じてしまうくらいの彼だ。僕だって、彼の音楽はそこそこ知っているつもりでいた。しかし、生で体感する彼のファンクネスは想像を遥かに超えていた。身体が動いて仕方がない。ついに本降りになってきた雨も、なんならライティングに照らされてとてもキレイ。最高じゃないか。
でも、もちろんそれだけではない。誰もが口ずさめるキャッチーな歌心を持っているのもスガ シカオ。あの“Progress”では、思い思いに手を振り上げ感慨に浸る人々が、波のようになってホワイトステージを揺らす。ああ、もう当たり前なのだが、国民的歌手の力をまざまざと見せつけられている。稲葉浩志や桜井和寿なんかを彷彿とさせるような、スーパースター然としたMCの中でも、「フジロックマジで最高!」なんてポロッと出てきちゃう茶目っ気が愛おしい。僕らと同様に、彼も憧れだったというこのステージを存分に楽しんでいるのだろう。
後半は「ビートを感じて魂でのってくれ!」とさらにディープなファンクセッションに突入する。コーラスのマヤ・ハッチがメインボーカルをとる“I want take you higher”では、ボイスパーカッションのようなことを始めたスガ シカオ。僕は彼の一面しか知らなかったんだなと驚きながらも、やっぱり身体は動く動く。ホワイトステージのあちらこちらで、雨など物ともせず踊りふけっている楽しそうな姿が目に映った。
熱々のファンクネスと染み入る歌心を兼ね備えたスガ シカオのパフォーマンスは、ここに集ったあらゆる人の胸に届いたことだろう。
[写真:全3枚]