LIVE REPORTWHITE STAGE7/26 FRI
GARY CLARK JR.
オースティンが世界に誇る真のブルーズマンが帰ってきた!
開演予定時刻まであと5分となると、ステージ付近で座っていた人たちも椅子を片づけ始めた。温存した体力を爆発させる時がやってきたのだ。オースティンが世界に誇る真のブルーズマン、ゲイリー・クラーク・ジュニアが2014年のフィールドオブヘブンから時を経て、フジロックに帰ってきた。
ゲイリーたちがステージに現れると会場に所狭しと集まった人たちから歓声が上がる。ステージ中央には、ゲイリーの楽曲のテーマであるアメリカン・アフリカンをイメージさせるような、ペンキを塗りたくったような白と黒の画が映し出された。メンバー全員が一斉に楽器をかき鳴らした後、ゲイリーのギターリフから“ブライト・ライツ”が始まった。今回のステージ全編を通じて言えることだが、バラードなどはオリジナルよりもすこし遅めのテンポで演奏されていて、それがより身体の奥深くにまで音を響かせ、眉間にしわを寄せながら紡がれる渾身のギターソロには思わず目頭が熱くなった。ジミ・ヘンドリックスらギターレジェンドの正当な後継者とも称されるゲイリーのギターを、ここホワイトステージの最高のサウンドで聴けることを心底うれしく思う。
「今日は今年出した新しいアルバムから何曲かやるよ」と、“ホワット・アバウト・アス”を始まりに続々と新譜が繰り出された。“フィード・ザ・ベイビー”や“パール・キャデラック”の透き通ったファルセットには、ただただ驚くばかり。“ロウ・ダウン・ローリング・ストーン”のようなアップテンポのロックロールナンバーでも魅せてくれた。アメリカン・アフリカンの直面している現実を歌ったメッセージ性の強い楽曲“ディス・ランド”を歌うゲイリーが、睨むように遠くを見つめていたことも忘れられない。曲間では「アイ・ラヴ・ユー!」という観客の声に、ゲイリーが「僕もだよ」と返す場面も。
「フジロックでやりたい曲がもう一曲あるんだ。よかったら一緒に歌ってくれ」と始まったのは『カム・トゥゲザー』。そりゃ歌うでしょ!と、降り出してきた雨もなんのその、腕を高く掲げながらの大合唱がホワイトステージに響いた。曲の終盤、まだ終わりたくないとでもいうようにゲイリーと観客たちは「カム・トゥゲザー・ライト・ナウ」と何度も一緒に叫び、最高潮の盛り上がりで幕を閉じた。胸の前で両手を合わせながら「ありがとう」と感謝を伝えるゲイリー。ステージを去る際、観客に向かってギターを投げるそぶりを見せたりと、おちゃめな一面ものぞかせた。
[写真:全10枚]