LIVE REPORTWHITE STAGE7/28 SUN
SANABAGUN.
「唯一約束するとすれば 苗場で踊った時間かな」
前日の豪雨によりグリーンステージのエリア後方にできた小川を越えて、ホワイトステージに向かう。開演予定の40分前。ステージ前にはまだ一列ほどの人が並んでいるくらい。ステージには笑いながら楽しそうにサウンドチェックをするSANABAGUN.の姿があった。ほぼフルコーラスで2、3曲を演奏、PAテント前の中央真正面を陣取って聴くそのサウンドは最高だった。サウンドチェックの段階でこれだけ楽しませてくれるとは。本編への期待がさらに高まる。
開演が近づいてきて、人もどんどん増えてきた。そこにロング丈のスーツを身にまとったメンバーたちが現れる。まるでイタリアン・マフィアのようにキメたこの出で立ちは、初めてフジロックのステージを踏むことへの気合いの表れなのかもしれない。「平成生まれのヒップホップ・チーム。これがSANABAGUN.だ味わえー!」と自己紹介がわりに自身のテーマ曲をおみまいする。サックス、トランペットを含む6人のジャズ・グルーヴに、ヴォーカリストとラッパーが織り成すオリジナリティ溢れるリリックが融合した、新世代のストリート・ミュージックがホワイトに鳴り響いた。
岩間が観客の上空を指差し、高岩が観客に背を向けて立つ。しばらくの静寂の後、突如始まった岩間のボイスパーカッションを合図に“B-BOP”へとなだれこんだ。岩間がロングジャケットの裾を翻しながら一回転キックし始まった“居酒屋JAZZ”。ステージを自由に駆け回り、ストリート仕込みの躍動感あるパフォーマンスを繰り広げる。
「フジロック、初めまして!みんなが最高のフジロック最終日を過ごせるように、これだけは言わしてくれ…。『おはようございます!』」「路上から上がってきて、フジロックに来れて…、最高に『おはようございます!』」との掛け合いMCで、会場は爆笑の渦に。MCでも持っていくのはズルい…!
「俺らの後に続いてくれ」とコール&レスポンスをし、『フジロック』の声がホワイトステージにこだましてから“人間”に突入。「休みは働く為のものものじゃない」の歌詞に深く頷きながら、今ここで彼らの音楽に身を任せていられることに幸せを感じる。
そして「3・2・1、行くぞ、フジロック!」のカウントとともに、ラストの“FLASH!”に突入。突き抜けるようなスカの音が気持ちいい。オーディエンスと高速のハンド・クラップを繰り出す。「リリックもデートも適当な俺が唯一約束するとすれば 苗場で踊った時間かな」と岩間が歌詞を一部変えて歌えば、オーディエンスは絶叫。高岩がステージ下にマイクを落としてしまうほどに、息もつかせぬ勢いあるパフォーマンスで締めくくった。
ステージ終了後、メンバーが一列に整列。「集まってくれてありがとうございます。また絶対にこれより大きいステージで帰ってくるんで、応援お願いします! ありがとうございました、礼!」とオーディエンスに深々とお辞儀をして感謝するとともに決意を語った。今日彼らのステージを初めて観たという人たちさえも熱狂の渦に巻き込む圧倒的なステージングを披露したSANAGAGUN.。次に会うときも、最高に踊れる苗場での時間を約束してくれるはずだ。
[写真:全10枚]