LIVE REPORTRED MARQUEE7/26 FRI
SABRINA CLAUDIO
バンド×歌姫のケミストリー
お昼時で比較的入りも少なめのように見えるレッドマーキーだが、バンドメンバーが出てくるたびに歓声が湧き上がる。先日のコーチェラ・フェスティバルでも話題になったマイアミの歌姫、サブリナ・クラウディオの登場だ。
まず驚かされたのは、そのバンドサウンドだ。息の長いグルーヴを生み出すトリップ・カーターのベースに、アグレッシヴなプレイでガンガン攻め立てるデレク・レンフローのギター。ドラムだって、もっと抑えめでもいいはずなのに、これでもかと叩きつけてくる。音楽自体はチルな雰囲気を漂わせるR&Bなので、僕も含めユラユラ揺れている人もいるが、見渡せばガンガンのっている人もいる。シンプルだが、実に懐の深いサウンドだ。
しかし、そんな中にいてもひときわ輝いているのは、やはりサブリナ・クラウディオ。セクシーな衣装が目を引くが、それ以上に、センシュアルな歌声に乗せて、身振り手振りで訴えかけてくる訴求力と説得力が凄まじい。はじめこそバンドサウンドの予想外の激しさに圧倒されていたが、ライブが進行するにつれ、そんなこともつい忘れてしまうくらい彼女の一挙手一投足から目が離せなくなっていた。
彼女に魅せられ、曲が終わるごとに熱狂的な歓声を上げるオーディエンス。初めて日本に来たという彼女は少し戸惑いつつも、最後には「次が最後!もう一曲しかない!」と名残惜しそうにしていた。そして“I Belong To You”。僕ら一人一人に向かって手を差し伸べ、「わたしはあなたのもの」と投げかける。目が合ったような気がしたあの瞬間だけは、誰もが自分と彼女だけの世界に没頭したはずだ。
いやはや、侮っていたかもしれない。パワフルなバンドサウンドに乗せられた彼女の魅力に、気づいたら虜になってしまっていた。またどこかで会いたい。集まったオーディエンスの胸にそんな気持ちを残し、彼女といた夏はあっという間に過ぎ去ってしまった。
[写真:全10枚]