FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTRED MARQUEE7/27 SAT

ずっと真夜中でいいのに。

  • ずっと真夜中でいいのに。
  • ずっと真夜中でいいのに。
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  • ずっと真夜中でいいのに。
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  • ずっと真夜中でいいのに。
  • ずっと真夜中でいいのに。

Photo by 鳥居 洋介 (Official Photo) Text by 梶原綾乃

Posted on 2019.7.28 09:42

YouTubeからようこそ苗場まで。謎の新人、現る!

君は知ってるか?2018年にYouTubeで初投稿された楽曲「秒針を噛む」が、1000万回以上の再生を記録し、あれよあれよと大きくなっていったアーティストの存在を。どうやら、ACAねという女性のユニットらしいが、顔出しはしておらず詳しい正体も明かされていない。にもかかわらず、ボーカロイド・プロデューサーが共作に挙げられていること、動画のアニメーションや世界観も良くできていることなど諸々の要素が絡み合い、ロックファンやボーカロイドファン、ニコニコ動画界隈など、あらゆる層にヒットしている様子なのだ。その名は、ずっと真夜中でいいのに。だ!

舞台はここレッドマーキー。薄い幕がかけられていて、メンバーの顔が見えないようになっている。ステージの背景には、バンド名のロゴ文字がきらきら。両端には、大きなオープンリールデッキが2台あり、Open Reel Ensembleの3人が関わってるようだ。それ以外のパートはドラム、キーボード、ベース、ギター&バイオリンで計7人。ACAねは銀色に反射する法被のような服を着て登場した。

まずは“ヒューマノイド”で、音が鳴り始まると、はやくも大歓声!ACAねの歌声は基本的にハイトーンで、そのピッチをいとも簡単に上げていく。主旋律=歌声ともとれる彼女の楽曲は、会話をするように滑らかで心地よい。キーボードのジャジーなタッチと、万華鏡のように次々と変わる音の景色たち。それらは一見難解なのだが、ポップな芯が通っていてわかりやすく、ノリどころが掴めるのが嬉しいところ。あえて近しいものを挙げるならば、ゲスの極み乙女。のジャス感と、パスピエのお茶目な歌い回しだろうか。話題性においては、ポスト米津玄師と言ってもいい。ポップのツボをわかりきっているACAねの思惑に、ハマりっぱなしの観客多数だ。

でもやっぱり一番人気は、彼女がここに登りつめたきっかけの”秒針を噛む”か。隣の男性も、後ろの外人2組もノリノリで手を上げて踊っている。周囲を見渡すと、ステージにスマホを向ける観客がちらほら。YouTubeから飛び出した彼女をリアルに記録して、それをまたインターネットに収めて拡散させる…ずっと真夜中でいいのに。という存在は、ネットとリアルを行き来する新しいコミュニケーションのカタチなのかもしれない。

巧みなヴォーカル、演奏能力の高さで言うと、耳の肥えたリスナー向きでもあるが、若いリスナーも多く、間口が広い音楽なので、なぜフジロックに?とも思う。それはきっと、海外進出の身近な手段として、フジロックが最適だったからではないだろうか。再生ボタンひとつでつながれる世の中、彼女はどこにでも現れ、私たちに歌を届けてくれるだろう。

[写真:全7枚]

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7/27 SATRED MARQUEE