LIVE REPORTRED MARQUEE7/28 SUN
PHONY PPL
バカテクの嵐に観客たちの大歓声!一体感が更なる熱狂を作り出す
突然、広いステージを駆け抜けるチャリ。開始時刻はまだなのに、ステージにチャリが現れるたびに戸惑いながらも大きな歓声が上がる。ポーズを決めるバリ・ベース(Bass)にエイシャ・グラント(key)、マット“マフュー”バイアス(Dr.)。
マフューの「Make some noise!!」を合図に、背後のスクリーンの彼らの満月のようなマークが映し出され、エルビー・スリー(Vo.)とイライジャ・ローク(Gt.)。
まず演奏されたのは、“End of the niGht.”だった。ひとつひとつの音が重い。まるでのしかかるようなベースとドラムの低音に合わせ、ステージ上を自由に飛んだり跳ねたりするエルビー。マック・ミラーやプリンセス・ノキアなどの人気ラッパーたちのバックバンドに起用され、演奏力の高さに定評があるとは耳にしていたけれど、本当に想像以上。落ち着きがあり、ピアノの音を重点に置いた静かな印象を受ける音源とは全く異なり、ライブはアグレッシブそのもの。ステージからの図太いサウンドにこちらも熱くなる。
軽快なメロディーにギターのスクラッチが心地よい“Take a Chance.”と跳ねるようピアノのサウンドがロマンチックな演出をする“Either Way.”。演奏はもちろんだったけれど、演奏中にも、観客たちからは何度も何度も歓声が上がる。
確かに、PHONY PPLの5人は全編を通じて見ているこちら側を圧倒する、演奏をしていた。しかし、あのときのレッドマーキーの歓声は、まるでどこかもっと広いスタジアムにいるのかと勘違いしそうになるほど、すさまじいものだった。一体感があり、PHONY PLLを含めてその場にいた全員が楽しんでいたように思う。ライブは、アーティストだけではなく、観客がいなければ成り立たない。目の前の演奏に何十人、何百人が表情や態度、声などで反応を示し、そこに呼応するように更なる素晴らしい演奏をする。
観客たち一人ひとりの熱狂的な反応も含めて、あのときのPHONY PPLのショーが作られたんじゃないだろうか。
“something about your love.”や“Baby Meet My Lover.”では、手を広げ、ステージの端から端までを飛んだり跳ねたりするエルビー。各パートの凄まじいテクニックを披露するソロパートには思わずうなりながら大きな声を上げてしまう。バリの分厚いベースサウンドにマフューの破裂音のようなドラムの音、時に前に出て華やかなギターリフを聞かせるイライジャ。エイシャのセクシーなキーボードの音にもうっとりしてしまう。このバンドは、全員が主役なのだろうと思った。
エイシャとエルビー以外のメンバーが一度ステージからはけ、ムーディーなピアノの音に、ボイスパーカッション。そして、バリとマフューが愉快なダンスを披露する。「ドラムのマフューが踊っているのに、なぜドラムの音が聞こえるのだろう?」と思えば、イライジャが叩いていた。この5人は、本当に仲がよく、いつ何時だって心から楽しそうな演奏を見せてくれる。
そして、クラップ&ハンズの巻き起こった“Why iii Love the Moon.”は、ロマンチックで少しビター。繊細なピアノのサウンドが、月の光のようにキラキラときらめく。
「フジロック最高!」と言い、最後の“Before You Get a Boyfriend.”では、大合唱も起こり、手を左右に振る観客たち。最後の最後まで、熱気が尽きることはなかった。
[写真:全10枚]