LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN7/26 FRI
THE LUMINEERS
多彩な楽器さばきに飽きの来ない曲たち。さまざまな表情を見せ、終わっていくヘブンの1日目
苗場の夜が深まっていくなか、The Rolling Stonesの“gimme shelter”とともに登場するジェレマイヤ・フレイテス(Drum, mandolin)がドラムをゆっくりたたき出すと、ステージ上手から中央へと現れるウィスリー・シュルツ(Vocal,Guitar&Piano)。
まずはドラムとギターというシンプルな構成のなかでスタートした、1日目ヘブンのトリを務めるTHE LUMINEERS。歌いだすウィスリーを合図に、他のメンバー4人が観客の温かな拍手とともに出迎えられた。
1曲目は、“Sleep on the Floor”。田園風景や田舎を彷彿とさせるような爽やかでありながらもどこか懐かしいメロディーは自然豊かな苗場によく似合っている。ゆったりとしたテンポの曲から始まり、まずは肩慣らしとでもいうかのようであった。
手拍子が鳴り、ピースフルな雰囲気の“Cleopetra”のあとには、今年の9月にリリースされる新アルバム『Ⅲ』から“Life in the City”が演奏される。爽やかなメロディーに3つのタムに1つのスネアの重い音が響き、男たちの雄々しい掛け声が気持ちいい。
バイロン・アイザックス(bass,guitar,backing vocals)がベースからチェロへ持ち替え、シリアスな曲のなかでバイオリンとのサウンドと裏声が美しく響く“Leader of the Landslide”の演奏が終わると、6人のメンバー全員がステージの前に横並びになり、“Flowers In Your Hair”の疾走感あふれるイントロが流れる。
ギターとベース、そしてドラムがバスドラをテンポよく刻み、他のメンバーはパーカッションにコーラスとして曲に参加している。こんな風に演奏されている姿は珍しく、初めて見たという方も多いのではないだろうか?ときにはステージから降りてウィスリーが歌うこともあったし、さまざまな手拍子や掛け声もある。曲調もさることながら、ステージや楽器、使えるものをすべて工夫している姿は、見ているこちら側をまったく飽きさせない。
“HO HEY”では、曲通り「HO!」と「HEY!」の2つの勇ましい掛け声が、ヘブン中に響き渡っている。楽器の数が少ないからこそ、この場所にいるひとりひとりの声が楽器としての役割を担っているように感じられた。
“Big Parade”では、ステルス・ウルヴィング(piano, keyboards, accordion, mandolin, guitar, percussion, backing vocals)とバイロンがステージ上を笑顔で駆け回る姿がキュートだった。手拍子と歓声の起こる軽快な演奏のなか、突然演奏がストップ!スローモーションかのごとくゆっくりと演奏は始まるワンシーンは、思わずこちらも大盛り上がり!
そして、新アルバムから“DONNA”は、ジェレマイヤとローレン・ジャコブソン(strings, piano, vocals)のピアノにウィスリーの歌というシンプルながらも聴かせる1曲であった。各パートが入れ替わり立ち代わり、さまざまな楽器を演奏している。多彩だ。曲だけではなく、各メンバーが次の曲はどんな楽器を演奏するのだろうか?と期待しながらステージを見つめてしまう。
最後の曲“Stubborn Love”が終わり、アンコールはステージ前方に集まり、“Walls”。こちらも、ベースにアコーディオン、タンバリンという一見ユニークな楽器たちのどこか懐かしい音とともに、ゆっくりとした雰囲気のなかでフジロック1日目のヘブンは終わりを迎えた。
[写真:全10枚]