LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN7/26 FRI
SOUL FLOWER UNION
うたは自由をめざす!
時は2019年。揺らぐ日本の平和と未来、軋轢ばかりの政治と民意、いつ何かが音を立てて崩れてもおかしくないギリギリの世の中。玉城デニーが苗場にやってくるこの年に、彼らもまた苗場に現れた。その名は、ソウル・フラワー・ユニオン!8年ぶりの登場だというが、つまり前回は2011年。うたの力に励まされたあのときだ。あらゆる悲しみに包まれたとき、彼らは強い意志で歌い続けてきた。うたは自由をめざす。そう、うたはいつだって自由であってほしい。
「ソウル・フラワー・ユニオンの出るフジロック、これにて完成形!」と、中川敬のMCから始まった“踊れ!踊らされる前に”で、彼らの登場を待っていた観客たちが一気に踊り出す。曲中、中川が「奥野!」と叫ぶと、奥野真哉(key)のきらびやかなキーボード・ソロへ、さらに高木克(gt)のギター・ソロへも転換し、最初から気合はばっちり、サービス精神もたっぷりだ。遠藤ミチロウに捧げる“風狂番外地”、リクルマイ(Cho)と共コブシを挙げて叫ぶ「Anger is an Energy」が印象的な“グラウンド・ゼロ”と続き、ニューエスト・モデルのアニバーサリーコーナーへと突入する。“ソウルサバイバーの逆襲”の風刺的な歌詞が、発売から30年を迎えたいまでも、いや今こそ耳に響く気がして、背筋がひやっとした。お祝いは続き、本日生誕記念日を迎えたひで坊(伊丹英子)が登場。ブズーキを持って、“満月の夕”からゲスト参加した。7月26日というとショーケンやスタンリー・キューブリックらと同じ日だそうで、なかなか派手な日。おめでとうございます!
さっきまで過ごしやすい天気だったものの、ここで急にポツポツときて、わりと大雨になってきた。“風の市”に湧きあがるオーディエンスが踊り出すと、そのまま“海行かば 山行かば 踊るかばね”に!こんな土砂降りの中、びしょびしょで手を挙げ、カチャーシーのような真似をする。バカになって騒いで踊って、この時を祝おう。この雨は敵か味方かなんて、どっちかは分からないけれど、どんな苦難に打ちのめされても、どんなものを浴びても、強く生きていくことを肯定された気がして、嬉しくて楽しくて涙が出てくる。
最後は“続・うたは自由をめざす!”で、「自分に拍手!」という中川のかけ声とともに、拍手で幕を閉じた。最後に印象的だったのは、終演後も「ちらばって/うたは自由をめざす」とシンガロングがやまず、観客たちによってうたい続けられていったこと。ソウル・フラワー・ユニオンのいう「完成形」とは、観客が彼らの想いを受け取った、この瞬間だったのかもしれない。こんな世の中に「NO!」と言えるうたが、思いが、もっと自由に響き渡る世の中であってほしい。
[写真:全5枚]