LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN7/27 SAT
蓮沼執太フィル
Photo by MITCH IKEDA Text by 石角友香
Posted on 2019.7.27 14:30
初登場が信じられないヘヴンに似合い過ぎのアンサンブル
人が多過ぎず、暑過ぎず、風も吹いて、ステージ上は蓮沼執太フィルだなんて、ここは天国か。いや、冗談じゃなく、こんなにフィールドオブヘヴンが似合うアクトを久々に見た気分だ。
このポップ・フィルハーモニックのメンバーは、バンマスの蓮沼執太(conduct, compose, keyboards, vocal) | 石塚周太(Bass, Guitar) | イトケン(Drums, Synthesizer) | 大谷能生(Saxophone) | 葛西敏彦(PA) | 木下美紗都(Chorus) | K-Ta(Marimba) | 小林うてな(Steelpan) | ゴンドウトモヒコ(Euphonium) | 斉藤亮輔(Guitar) | Jimanica(Drums) | 環ROY(Rap) | 千葉広樹(Violin, Bass) | 手島絵里子(Viola) | 宮地夏海(Flute) | 三浦千明(Flugelhorn, Glockenspiel)
という、他にもソロで活動したり、セッションに参加したりしている、次世代バンドでは引く手数多な面々である。
蓮沼のキーボードのキーに合わせてチューニングをし、「初めまして、フジロック!おはようございます、フィールドオブヘヴン、雨に負けないぞ!じゃあ行きましょうか」とマリンバとバイオリン、ヴィオラが風を運んでくるようなメロディを奏でる“Earphone&Headphone in my Head-Play0”で、楽団は一つの生き物のようにゆっくり起き上がる。ちなみにツインドラムだが、昨日のKING GIZZARD & THE LIZARD WIZARDとは真逆な音像なことを思い出して笑ってしまった。
2曲目の“NEW”では、振ると笛のような音がする楽器が登場し、この楽器ならできるのでは?と、バンドに参加したい欲に一抹の希望を感じる始末。参加すると言えば、自然と体が動くグルーヴに、8の字で体をくねらせる人が、そこここに「発生」している。そうしているのが一番ラクなのだ。1曲ごと、見事にエンディングが決まると「おっしゃ!」とばかりにガッツポーズするバンマスは、非常に手応えを感じている模様で、すかさず「環さーん」と、おなじみの環ROYを呼び込み、“YES”へ。環ROYのラップ部分では歓声が上がり、「イエス!」のシンガロングが起こる。みんなリリックをよく覚えている様子だ。だんだん調子が上がってきたアンサンブル。バンマスを見ると、シビアに指揮しながらも、自分の演奏がない箇所では踊り、その足元はサンダル履き、隙あらば写ルンですでオーディエンスを撮影しているというカジュアルさ。
マリンバ〜管楽器〜スチールパン〜ドラムと、徐々に楽器が加わっていく構成の“ZERO CONCERTO”は、不規則なビートで展開していくが、プレーヤーは無駄な力が入っていない方が勝てる武道の名手のように、リラックスしているように見える。見えるだけですごく神経を使う曲なのかもしれない。スタッカートするベースが印象的な部分など、ポップ・フィルの特質を最大限に活かした演奏が見事にフィニッシュすると、拍手にかぶるようにバンマスが「良かったー!」という安堵の声を発した。
まだ音源になっていない新曲も披露し、たっぷり7曲演奏した頃には雨雲は去り、過ごしやすい薄曇りに。いやー、何時間でも揺れていられるな。でも、そろそろお昼たべよっかという声が随所で聞こえてくるようだった。
蓮沼執太(conduct, compose, keyboards, vocal) | 石塚周太(Bass, Guitar) | イトケン(Drums, Synthesizer) | 大谷能生(Saxophone) | 葛西敏彦(PA) | 木下美紗都(Chorus) | K-Ta(Marimba) | 小林うてな(Steelpan) | ゴンドウトモヒコ(Euphonium) | 斉藤亮輔(Guitar) | Jimanica(Drums) | 環ROY(Rap) | 千葉広樹(Violin, Bass) | 手島絵里子(Viola) | 宮地夏海(Flute) | 三浦千明(Flugelhorn, Glockenspiel)
[写真:全10枚]