LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN7/28 SUN
toe
マイクロレベルの余白を楽しめ
ライブ開始前、山㟢廣和(Gt)、美濃隆章(Gt)、山根敏史(Ba)、柏倉隆史(Dr)のメンバー4人が、普通にサウンドチェックに現れ、普通に去っていく。彼らにしてみればいつものことなのかもしれないが、初見のお客さんも多いフェスにおいては驚きの光景だ。
そんな彼らのライブはカオス(混沌)だ。言い換えると「目が離せない」ということである。そこにはライブでしか味わえない体験があって、そんなバンドがフジロックの空間に合わないわけがない。山嵜は「(2007年フジ初出演でホワイト・ステージは)暴挙だ」と言っていたが、実は暴挙でもなんでもなかったことは、今年で5回目の出演という実績が物語っている。
けたたましく鳴るサイレン音の中、メンバー4人とシンガーソングライターのコトリンゴが登場。この時点で察したファンから歓声が上がった。そう、1曲目は昨年リリースされたEP『Our Latest Number』の初回限定盤に収録されているブラック・サバス”WAR PIGS”のカバー。オジーとは180度違う声質のコトリンゴがサバスを歌っているわけだが、そこにtoeの演奏が加わると不思議とこの違和感に納得してしまう。そんなヴァースが終わると一気にカオスへ突入する。まるで狂ったかのように演奏するtoeのメンバー。しかも、4人が4人とも大概違う方向を向いて演奏している。「これどうやって合わせてるんだ?アイコンタクト?感覚?」。もはや理解不能な世界に彼らはいる。もちろんスタートはなんかしらのコンタクトをとってスタートするんだろうが、気がついたら微妙な“歪み”や“ズレ”などがあったりして、けれどそれすらも気持ちよく感じてしまう。
山㟢がインタビューで自身の嗜好性についてこんなことを言っていた。「ビシッとカッコいいものではなく、“ほつれ”とか“途中感”があるのがいい。“抜け”とか“余白”があるのが好みなのかも」と。その言葉を聞くと、toeの音楽に気持ちよさを覚えてしまうのに納得がいく。完璧ではないから、僕らはその間を埋める何かを求めるために想像し、toeの音楽を完成させる。
<セットリスト>
01 WAR PIGS feat. kotoringo (guest コトリンゴ)
02 Etude Of Solitude
03 Run for word
04 レイテストナンバー (guest JC)
05 Because I hear you
06 エソテリック
07 F_A_R
08 グッドバイ (guest コトリンゴ&JC)
[写真:全10枚]