FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN7/28 SUN

竹原ピストル

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Photo by Masanori Naruse (Official Photo) Text by 梶原綾乃

Posted on 2019.7.29 11:22

人生は戦いだ

竹原ピストル。ここ数年、その名を聞く機会が増えたと思っているのは、私だけではないはずだ。ミュージシャンとして、役者としての実りを迎えて絶好調の彼が、フジロックに初登場する。実は彼、2002年にフォーク・バンド「野狐禅」としてアバロンに出演した経験も。野狐禅でできなかったこと、フジロックでできなかったことを果たすべく、満を持してメインステージへ。竹原ピストル、タイトル獲得に向けリベンジ・マッチが今ここでスタートする!

その熱の入りようはリハーサルをする様子からもすでに伝わってきた。きっと彼には伝えたいことや歌いたいことがいっぱいあって、限りある時間を最大限に使って表現していきたいのだと、私には映った。

1曲目が”オールドルーキー”。タイトルからして明らかなのだが、ここ、フィールドオブヘブンに立つオールドルーキー・竹原ピストルの姿が歌と重なる。「積み上げてきたもので/勝負しても勝てねぇよ/積み上げてきたものと/勝負しなきゃ勝てねえよ」。そう歌う彼の言葉一つ一つを観客たちは、自身に受け止めた。生きろと叱咤激励される“live in 和歌山”や、献身的な愛を歌う日本語詞をあわせた“Amazing Grace”など、あらゆる曲たちがあって、ときに励まされ、ビンタされ、優しく抱きしめられたりする。混じりけのない直球メッセージに涙を誘われ、ハンカチで目元を押さえる観客もちらほら。

さらに驚いたのは、MCにおいても彼はとても丁寧で、びっくりするくらい腰が低いということ。手拍子が自然発生した曲の最後には「盛り上げてくださって、ありがとうございます」とか、盛り上がった曲には「嬉しかったです」などストレートな対応で、彼と観客、お互いに穏やかな気持ちになれる気がするのだ。また、CMソングでおなじみの“よー、そこの若いの”では、観客みんなが一緒に歌いだし、逆に彼の涙を誘うという場面もあった。

なんといっても素晴らしかったのが、“カウント10”。かつてボクシング部に所属していた竹原らしい1曲なのだが、ここに、彼の核ともなるワンフレーズが存在する。歌詞を簡単に解説すると、「カウント9までは神様が決めてしまう部分があるかもしれないが、10だけは、自分の諦めが決める」という内容。野狐禅の解散でカウント10を出さなかった、絶対に数えなかった竹原が今ここに立っているのは、自分との戦いに勝ったからなのかもしれない。

人生は戦いだ。常に自分に勝ち続けなければならない。勝負への決意と厳しさ、そして喜びを教えてくれる竹原ピストルは、私たちの中のチャンピオンだ。

[写真:全3枚]

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7/28 SUNFIELD OF HEAVEN