LIVE REPORTGYPSY AVALON7/27 SAT
GLIM SPANKY(Acoustic Ver.)
土砂降りが少年少女時代を色濃く蘇らせた時間
一向に止まない土砂降りの中でも多くのオーディエンスが集合したジプシーアヴァロン。みんなのお目当てはGLIM SPANKYのアコースティックセットだ。昨年はグリーンステージに登場し、昨日はROUTE 17 Rock’n Roll ORCHESTRAのフィーチャリングアーティストとして登場した。松尾レミ(Vo/Gt)はフジロックを愛する一人のオーディエンスとして、昨日は一人行動をしたそうで、レインウェアごとナポリタンをくるんで雨の中食べたと、ここで雨に打たれているみんなの共感を得ていた。
アコースティックセットとはいえ、亀本寛貴(Gt)はバリバリにエレキで、オブリやソロで豪快にロックンロールのエッセンスをぶち込んでくるし、キーボードの中込陽太を加えた豊穣なアンサンブルは普段とは違うが、バンド的な佇まいだ。中込とは今回が初めての顔合わせとは思えないぐらい、ビートルズに端を発するレジェンダリーなロックを説得力のあるサウンドとアレンジで聴かせることに成功している。
ふだん以上に松尾のボーカルがストレートに届くことが気持ちいい。GLIM SPANKYが持つ、古今東西の少年少女がギターを始める時の気持ちがダイレクトに響く“大人になったら“が描き出す苦味と甘酸っぱい10代の頃の気持ちは、シンプルなセットで心に温かな何かを灯してくれた。
松尾は何度も「みんな雨の中、ほんとにありがとう!」と感謝の言葉を述べ、亀本はステージの前方まで歩み出て、ギターが濡れようが自分が濡れようがおかまいなしで、五臓六腑を揺さぶるソロを弾く。「フジロック最高!みんな最高のロックキッズだよ!」という松尾の言葉。ここにいるオーディエンスは客というより仲間や同志という気持ちが強かったのではないだろうか。彼女のMCがその場を束ね、土砂降りの中から蘇生するように立ち上がる人が何人もいたように見えた。
新曲“Tiny Bird”、そして「思い切りサイケな夜にしましょう」という言葉とともに放たれたラストナンバー、“アイスタンドアローン”で、松尾も前方に歩み出てアコギをかき鳴らし、より歌が伝わる新しいスタイルの45分を存分に楽しませてくれた。松尾、亀本の二人が持つ人としてのたくましさと温かさを再認識したことは豪雨のフジロックとともに記憶に残ることだろう。
[写真:全5枚]