LIVE REPORTGYPSY AVALON7/27 SAT
Shohei Takagi Parallela Botanica
儚く美しく響くパラボタの音には、晴れより雨がよく似合う。
Shohei Takagi Parallela Botanicaは、フジロックでもおなじみceroのフロントマンを務める高城晶平が今年からスタートさせたソロプロジェクトである。
今まで、1月に行われた「カクバリズム presents Quiet Spark #3」にて大盛況に終わった初ライブと、5月に福岡で開催された「Circle」。この2つに出演し、今回のフジロックで、人前に演奏する機会は3度目となる。
生憎の天気ではあった。先ほどまでぱらつく程度だったのに、「パラボタ(と略すらしい)」の出番が近づくにつれて、どんどん強くなっていく雨足。しかし、音源も出しておらず、ライブの回数は少ないながらも、たくさん人が高城のソロプロジェクトに注目を集めているのだろう。アヴァロンの会場には所狭しと並ぶカラフルなレインコートが見える。
「こんな雨のなか、来てくれて本当にどうもありがとうございます。高城です。浸ってくれればと思います。」という高城の声の後に、ハラナツコ(Sax, Cho)の高らかなサックスと中山うり(Accordion, Tp,Cho)の懐かしさを覚えるアコーディオンの音、そして乾いたギターのメロディーが混ざり、ゆったりとしたテンポの1曲だった。秋田ゴールドマン(Bass)チェロの低い音も体内に響き、心地よく聴くことができる。
お次は、浮遊感を覚えつつも、ノスタルジックな1曲。儚く静かに終わっていく恋にもよく似た人の気持ちを歌っていたようだった。光永渉(Drums)の軽やかなドラミングにチェロの音がアクセントとなり、伴瀬朝彦(Key,Cho)のキーボードの音もキラキラと美しく響く。
途中のMCでも高城が「雨、いいですね。僕たちの曲は、晴れよりも雨の方が合いますからね」と言う。確かに、しっとりと奏でられる丁寧なサウンドに、ロマンチックな歌詞と歌声、情緒を大切にするのであれば、今日はぴったりだった。しかし、演奏をかき消すほどの雨の音がなければ!……いや、こんなに強くなければ、目の前の演奏にもっと浸ることができたのに!なんて、思ってしまう。
後半部分では、細野晴臣のカバーを折り混ぜ、どんどんひどくなっていく雨の中、ロマンチックかエロティックな雰囲気満載の曲たちを演奏したパラボタの5人。
「インディー音楽界のとっつあん坊や、高城でした。またどこかで会いましょう」と、最後の曲に入る。アコーディオンの音色とギターの音をしっとりと聞かせ、サックスのソロパートでは曲から感じられる切なさを更に表現しているかのようだった。
まだまだスタートしたばかりではあるけれど、ゆっくりペースで作品も作っていくという。もう少し小雨だったらよかった……!と、正直思わなくはない。しかし、パラボタの音楽は雨のなかでしっとりと聴き入るのがよく似合う。高城のソロプロジェクトということで、新な一面に魅了されたひと時であった。
[写真:全6枚]