FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTNAEBA SHOKUDO7/28 SUN

崎山蒼志

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Photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz) Text by 石角友香

Posted on 2019.7.28 20:12

高校の夏休みのフジロックデビューってどんな気持ち?

ギリギリに苗場食堂というか、オアシスと苗場食堂界隈に到着すると、目視で200〜300人はいるのでは?という人だかり。めくりの名前が「崎山蒼志」に変わると大きな歓声が起こる。高校1年の夏休みにフジロックに出演するってどんな気分だろう?いや、すでに様々なフェスに出演している彼にとっては、どこでもステージは全力で挑むもの、それだけかもしれない。

昨夜の豪雨が去り、小雨程度ならもはや涼しいと感じるが、かなり詰め詰めの界隈は、ついに生で崎山を見るという期待感に溢れている。「静岡県浜松市から来ました、崎山蒼志と申します」という礼儀正しい挨拶から、16ビートやボサノヴァを自己流に解釈し、歌のために奏法を作り上げた演奏が凄まじい。右手のカッティング、ブレイク、さらにギターのボディを叩くという、長年、ストリートミュージシャンに受け継がれてきたような奏法が崎山が弾くと、そのうまさに感動するとか、そういうレベルをいとも簡単に超えていく。オリジナルを作りたい欲求に、アコギで表現できる演奏法が必然的にスリリングなものになったという印象なのだ。

演奏も口あんぐりなのだが、崎山の個性は震える声やピッチがフラットする歌唱だ。そして現実から最速で逃避するような想像と、空虚を感じる鳥肌ものの歌詞も崎山の大きな魅力だ。夏でしかも山というシチュエーションで聴く“国”の情景喚起力のすごいこと。10代の天才ソングライターにしてギタリストというだけでは崎山を形容するには何かが足りない。

歌とギターを全身で連動させるスタイルだからか、歌いながら爪先立ちになったり、左足を跳ね上げたり、その自然なアクションも歌いたいことありき、音楽ありきなのだと思った。そういう動きに信憑性を見るタイプの音楽ファンには言おう、間違いなく彼にはその本質が備わっていると。

途中で薬師丸ひろ子の“Woman Wの悲劇”を丁寧に歌い、その相性の良さに納得しながら、あっと言う間の30分は“五月雨”で、本人も驚くほどのシンガロングを起こし、ようやく始まったばかりじゃないか!という思いのオーディエンスを残し、潔くフジロックのデビューライブは終了したのだった。

余談だが重要な関連があるので追記すると、今年のルーキーに出演した君島大空にしても崎山にしても、誰を参照するでもない歌を生み出す、新しい価値観のアーティストだ。苗場食堂に君島が登場することはなかったが、注目すべきシンガー、新しいタイプのソロ・アーティストは豊かな季節を迎えている。

[写真:全10枚]

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7/28 SUNNAEBA SHOKUDO