LIVE REPORTNAEBA SHOKUDO7/28 SUN
平賀さち枝とホームカミングス
3日間の疲れを吹き飛ばすような、癒しの歌声を聴いた
人が集まりだし、メンバーの顔がやっと見えるか、見えないか。音出しが終わり、「皆さん、よろしくお願いいたします。楽しんでいきましょう!」と言いながら、一度ステージ横へと捌け、苗場食堂お馴染みの出囃子と、Belle And Sebastianの“The Boy With The Arab Strap”のSEがかかると、温かな拍手とともに、再び現れる平賀さち枝とホームカミングス。
ゆったりとしたムードのなか始まったのは、“ヴィレッジ・ファーマシー”。落ち着きを払いながら奏でられる爽やかなギターのサウンド。掛け合いのように交互に歌う平賀さち枝(Vo.)と畳野彩加(Vo./Gt.)。サビの部分では、福田穂那美(Ba./Cho)のコーラスが加わり、透き通るような3つの声が響いていく。
続いて演奏されるは、“白い光の朝に”。サビの部分で手を目いっぱい挙げる平賀に、観客たちからはクラップ&ハンズが起こる。疲れた身体に2人の織りなすハーモニーが染み渡り、心地がよかった。夜が更けていく今の時間帯にぴったりだったように思う。
それから、昨日までの土砂降りだった雨と示し合わせたかのような、“雨の日”。こんな1曲が聴けるのならば、昨日までの雨も悪くないような気さえしてくる。今の環境にがっちりとハマった1曲に歓声と拍手が起こる。
平賀さち枝とホームカミングスは、2人のボーカルが存在しているのだけれど、平賀の声は優しく心に寄り添うような素朴な魅力があり、その一方で畳野の声は、しっかりと安定して伸びゆくような声である。曲のなかでお互いが重なっていくように歌われ、2つの異なる種類の声が対となり、気持ちがいい。
今年のフジロックのみで販売するという新たな音源から、スローテンポであり、平賀のタンバリンが印象的な“New Song”と曲のタイトル通り静かに輝くようなギターのサウンドの鳴る“かがやき”が演奏される。聴いていて、癒しの効果を得られるような2曲であった。MCでも言っていたのだけれど、こちらの音源はすでにほぼ売り切れてしまっているそう。まだ決まってはいないが、きちんとした形でリリースされるのだそう。心待ちにしていたい。
あっという間に40分間が終わっていく。最後に演奏されたのは、“カントリーロード”だった。軽やかなメロディーに飛び跳ねるようなドラムの音。観客たちは各々に身体を揺らし、音が鳴りやむまで、聴き入っているように見えた。3日間の疲れが吹き飛びそう。癒しを与えてくれた時間だった。
[写真:全10枚]