FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTNAEBA SHOKUDO7/28 SUN

TENDOUJI

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Photo by 白井絢香 Text by あたそ

Posted on 2019.7.29 01:39

ハッピー、そしてエモーショナルに!観客たちと叶えたひとつの目標

苗場食堂のステージからはお馴染みのイントロが聞こえる。NIRVANAの“Smells Like Teen Spirit”だった。まさかの選曲に観客たちは手を挙げ、一緒になって歌っている姿には、思わず笑ってしまった。音出しの時点で、掴みはバッチリ。会場が、すでに温かな空気の包まれていたように思う。

サッカーでお馴染み“WE ARE THE CAMP”がかかり、メンバーが登場すると、最前列の観客たちが「TENDOUJI フジロックおめでとう」と大きく書かれた紙を掲げる。
TENDOUJIの出演時間は、3日間の大トリを飾ったTHE CUREも終わり、越後湯沢駅までの終バスも過ぎ去ってしまった0時前。にも関わらず、ようやっとフジロックへの出演が決まったTENDOUJIを見るためはるばる新潟の山奥まで出向き、深夜に差し掛かるこの時間まで、通路を遮ってしまうほどの多くの人が苗場食堂の狭いステージに集まっている。これを愛と呼ばずに、なんと表現すればいいのだろう!

そんなことを思いつつ、ライブはスタート。まずは、“Killing Heads”と“Get Up!!”。ノリノリなギターサウンドと雄々しすぎるコーラスは聴いている人々を高揚させる。ギタリストにはさまざまなタイプがいるけれど、下手のアサノケンジ(Vo/Gt)は確実に顔で弾くタイプだ。観客たちが一生懸命に手を挙げ、更なるハッピーな空間を演出するかの如くリズムに合わせて飛び跳ねている。

印象的なギターリフにオオイナオユキ(Dr/Cho)の軽やかなドラミングが加わると、ワッとした声も上がる。“Kids in the Dark”だ。ときには、モリタナオヒコ(Vo/Gt)の裏声がメロウな雰囲気を演出し、ドッと爆発するかのようなサビ部分では、TENDOUJIのフジロック出演を祝福するかのようにダイブをする人を見ることもあった。本当に、色々な人から愛されているのだと思う。
ノスタルジックな雰囲気の“LIFE-SIZE”に、オオイとヨシダタカマサ(Ba/cho)の爆発するかのような低音に力強い歌声が印象に残る“D.T.A”と“Happy Bomb”。後方から見ていると、まるでライブハウスでのいつものワンシーンかのよう。

「初めて作った曲をやります」という発言を合図に、ゆっくりと“HAPPY MAN”の演奏が始められる。クラップ&ハンズも起こり、モリタのシャウトが夜の苗場に響き渡る。
TENDOUJIは、遅咲きのバンドだ。「5年前、まだバンドを組んでいなかった28歳の時に初めてフジロックに行き、どうしても出たいと思っていました。なので、遅いかもしれないけどバンドを組んで、今このステージに立てて本当にうれしいです。次も必ず戻ってきて、もっと大きなステージに出たいです」というモリタ。
ここ数年は、何度もフジロックの会場でTENDOUJIのメンバーを見ていたし、色々な人に「フジロックに出たい!」と触れ回っていたような気がする。あの会場にいた人たちは、目の前にいるTENDOUJIが一つの目標にしていたフジロック出演を目撃し、その中で初めて作った曲を演奏している。一体、どんな気持ちで曲を奏でているのだろう。染み入るギターの音を耳に残しながら、そんなことを考えてしまう。

最後の“GROUPEEEEE”では、各メンバーの気持ちがすべて乗せられたかのようなたくましく爽やかなサウンドに、観客たちも思いきり手を挙げ、TENDOUJIが全方位に放つポジティブなムードに応えようとしているかのようだった。最後には感極まったモリタが観客側へとダイブし、そしてマイクをしっかりと持ってすべてを振り絞るように力強く歌う。

TENDOUJIが作り出す幸せな空間に魅了された観客たち。今回、彼らが苗場食堂に立つことができたのは、もちろん本人たちの努力もあるが、このさまざまな人との関わりやつながり、そしてライブでの温かな一体感があったからこそだと思う。

次回はもっと広いステージで演奏を見せてくれるはずだろう。きっと、TENDOUJIの4人なら絶対にやってくれる。そんな確信を持てるようなライブだった。

[写真:全10枚]

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