FUJIROCK EXPRESS '21

LIVE REPORTGREEN STAGE8/20 FRI

SiM

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Photo by 粂井 健太 Text by あたそ

Posted on 2021.8.20 20:31

規制のなかでも魅せられた、SiMの充実した1時間に乾杯!

けたたましいサイレンの音や白いスモークとともに登場するSIN(Ba)、GODRi (Dr)、SHOW-HATE (Gt)の3人。ほんの少しだけ音を出しただけなのに、ひとつひとつの音圧に、すでに倒されそうになっている。

そんななか、MAH(Vo)がステージの中央にスタンバイし、「頭振れ!!!」という声とともに始められたのは“Get Up, Get Up”だ。ステージからかき鳴らされ、空気そのものが揺れているのがわかるほどの大きな音の圧に、SHOW-HATEとSINが楽器を振り回し、縦横無人にステージを暴れまわる。ステージ前方からは出血大サービスと言っていいほどの炎が出まくっている。もちろん、今回のフジロックには数々の制限はあるけれど、初っ端からかっ飛ばしている、こんなライブを見せられたら観客だって負けてはいられない。ステージの熱に負けないくらい観客たちも思いっきり頭を振り、ジャンプをし、腕を高く掲げる。

前回、SiMがフジロックに出演したのは7年前のWHITE STAGE。この頃はコロナのかけらもなく、ステージの前方はモッシュにダイブ、ウォールオブデスがあるわ、砂煙もあがって顔が砂だらけになるわで、まさにSiMの音楽や実際に体験するライブの楽しさを思いっきり煮詰めた地獄のようなライブだった(いい意味で)。しかしながら、今は状況が大きく変化し、いつもと同じように楽しむことができなくなったしまったわけで。
では、SiMはどんなライブをしてくれるのだろう?と正直不安もあったのだが、“CAPTAiN HOOK”、「炎が出るなんて知らなかったんだけど!」というMCのあとの“Blah Blah Blah”、モンキーダンスを楽しむことのできた“GUNSHOTS”の演奏を見ていると、それも杞憂であったなと思い知らされる。
鼓膜が破れるんじゃないかというほど大きな音に、自分の胃の位置がわかるほどの太い音圧。MAHはステージの端から端までを使いながら安定したデスボイスを響かせ、時にはSINのベースもうなる。観客を煽ることもあったが、もちろんルールからはみ出ることはない。つくづく彼らはエンターテイナーだな、と思う。このGREEN STAGEに立つまで、試行錯誤をしながらリアルなライブにこだわってきたことが感じられる。客もステージに負けじと、クラップ&ハンズやヘッドバンギング、ジャンプに拍手で応える。

ゆったりと聴かせる“The Sound Of Breath”のあとには、「最近、ライブでいい感じに盛り上がっているんですよ!」と黒いバッドを片手にステージを練り歩くMAH。”BASEBALL BAT”だ。ステージの後方に座る観客を気遣い、ときに煽る場面も見られ、あらゆる場所にいる観客を楽しませたい、ライブの魅力を知って欲しいという気持ちが感じられた。曲はもちろん、破壊力抜群!「お前の頭をこのバッドで叩き割りたい」という旨の曲だと説明していたが、バカでかいサウンドとカオスティックなステージにすっかり打ちのめされてしまったよ!

「一番有名な曲やります!」「この曲を2文字で表現すると“死ね”!」というMCとともに演奏された“KiLLiNG ME”のあとには、「めっちゃ時間があるんだよね!」ということで、本来のセットリストにはなかったが“Amy”が急遽演奏される。2014年のWHITE STAGEでも大いに盛り上がった1曲だ。こういう、予想外のうれしい出来事も生の現場、生のライブならではなのではないだろうか。
最後の“f.a.i.t.h”では「本来はこの曲中にウォールオブデスがあるけど、今はできないからみんな前髪を分けろ!」とMAH。我々は一体何をやらされているんだろう……と思いながらも、最後の最後まで楽しませてくれる。結局、ずっとひとつの場所で飛んだり跳ねたりしていただけなのに、終わる頃には汗だくになってしまった!

さまざまな制限もあるし、不安や葛藤もある。けれど、ライブは楽しむことは十分にできる。またライブハウスやフェスで100%の気持ちでSiMのライブを思いっきり楽しむことができる日が待ち遠しくなる充実のステージだった。

[写真:全10枚]

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8/20 FRIGREEN STAGE