FUJIROCK EXPRESS '21

LIVE REPORTGREEN STAGE8/20 FRI

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Photo by 粂井 健太 Text by あたそ

Posted on 2021.8.20 15:26

初登場!ミドルテンポが心地いい、yonigeがくれた贅沢な空間

初めてのフジロック出演にしてGREEN STAGEに立つ、yonige。2021年のフジロックのなかで、最大のステージで演奏する女性ロックバンドは彼女たちだけである。大抜擢と言ってもいいかもしれない。一体どんな気持ちなのだろう。他のフェスと比較すると、セットリストも1時間と少し長めになる。どんなステージになるのだろう。

そんな気持ちを抱えながら定刻を待つ。SEは何もなく、観客からのまばらな拍手で歓迎されながら登場し、落ち着きを払いながらステージに立つ4人。
牛丸ありさ(Vo./Gt.)の合図とともに、まず演奏されたのは、“11月24日”だった。土器大洋(Gt.)とホリエマム(Dr.)の軽やかなサウンドに牛丸のハスキーな声が混ざり合う。その様子を見ていると、ああこの人たちはどんなにステージが大きくても、お客さんがどれくらいいようと関係ないのだろうと思わされる。セットが中央に寄せられ、先ほどまでステージの大きさを感じずにはいられなかったが、徐々に上がっていくテンポとともに熱量を持つようになる演奏にごっきん(Ba./Cho.)の伸びるコーラスを聴いていると、GREEN STAGEが一瞬でyonigeの空気に変化していくのを感じ取れた。

“往生際”と“催眠療法”では、芯のある声に演奏をより引き立てるコーラスとyonigeの長所や魅力を存分見せながらも、パッドやループを使ったサウンドにバンドとして、ミュージシャンとしての新たな一面を垣間見る。
“私を見つけて”、“子どもは見ている”、“27歳”と、つい2日前の18日にリリースされたばかりのアルバム『三千世界』からの曲が続く。このアルバム自体もミディアムテンポでメランコリックな曲が多く収録されているが、大きな生の音で聴くのもたまらない。心地よい風に揺られ、曲の持つ少しの悲しみも感じ取りながら、多くの観客も身体を揺らして各々で聴き入っているようにも見える。
牛丸がアコースティックギターに持ち替えて演奏されたのは、“サイケデリックイエスタデイ”と“ピオニー”だ。あたたかなギターの音にアンニュイさを覗かせるどこか懐かしいメロディー。4人編成というシンプルな構成だからこそ、ひとつひとつの繊細な音にゆったりと耳を傾けることができた。

「yonigeです。初めてのフジロック、グリーンステージを見届けてくれてありがとう。」「体調に不安があるなら、各自で判断を!」「最後までよろしくお願いします。」というあっさりしたMCのあと、ラストは“対岸の彼女”と“最愛の恋人たち”だ。力のこもったボーカルに、ギターの音が心地よく響く。あっという間に終わってしまった1時間のステージだった。顔色ひとつ変えることなく、ひとつのステージをやってのけたのに、最後の最後でダッシュでステージを去っていくかわいらしい牛丸の姿も印象的でもあった。
大きなステージでも自分たちを大きく見せることはなく、等身大のまま、目の前のいるひとりひとりに向けられた1対1の演奏を、聴いているこちら側もゆっくりと余裕を持ったまま楽しむことができた。全体としてミディアムテンポな曲が多く、従来の「夏フェスらしさ」はなかったかもしれないが、ひとつのステージとして、充実した贅沢な時間を過ごせたのではないだろうか。

[写真:全10枚]

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8/20 FRIGREEN STAGE