FUJIROCK EXPRESS '21

LIVE REPORTGREEN STAGE8/21 SAT

ザ・クロマニヨンズ

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Photo by 柴田恵理(公式写真) Text by 阿部仁知

Posted on 2021.8.22 17:29

今日は最高!今この瞬間に全身全霊で挑むロックンロール

2016年のレッドマーキー以来5年振り、グリーンステージは2014年以来の出演。ザ・クロマニヨンズのパフォーマンスに、僕は「ヒロトだけはいつまでもヒロトだなあ」なんて感じたものだ。何も語らなくたって、ヒロトがヘラヘラしてるのを見るだけですごく安心するんだよ。ザ・クロマニヨンズは、「最高!」以上の感想を述べるのも野暮なんじゃないかと思うほどの、どこまでも前のめりなロックンロールをグリーンステージに刻みつけた。

開幕からいきなり“ナンバーワン野郎!”、“生きる”といった代表曲や、最新シングル“暴動チャイル(BO CHILE)”を連発して全身全開!ブルースハープを吹き鳴らしステージを奔放に動き回る甲本ヒロト(Vo)と、淡々とギターを掻き鳴らしながらもその佇まいだけで様になるマーシーこと真島昌利(Gt)の姿に僕らはただ魅了される。ヒロトとマーシーなんてレジェンドというべきロックンローラーなのに、はじめてアンプでギターを鳴らしたようなピュアな喜びが満ち溢れている。とにかく前に一直線のリズムを支える小林勝(B)と桐田勝治(Dr)も揃った4人のバンドサウンドは、無敵としか表現しようがない。

“エイトビート”に“突撃ロック”、「楽しい夏の思い出にしてください」と語りカラッとしたギターストロークが映える“グリセリン・クイーン”など、MCもほどほどに突き進むザ・クロマニヨンズ。1曲1曲「次は“ペテン師ロック”だー!」みたいに紹介していくのもまた気分があがる。THE BLUE HEARTSよりも↑THE HIGH-LOWS↓よりも更にソリッドで、余計な装飾もややこしい理屈もすべて削ぎ落としたバンドサウンド。例えば「グリセリン・クイーン」の言葉の意味など考えるのも野暮だろう。

それでも甲本ヒロトが希代の詩人なことは疑いようもない。だって「エイトビート」なんて簡素な言葉だけで聴衆を泣かせるやつなんて他にどこにいるんだ?「どん底だから あがるだけ」と繰り返す“どん底”だってそう言える根拠なんて別にないが、ヒロトの歌を聞いていると不思議とそう思えてくる。活動15周年を迎えた彼らのロックンロールには更に磨きがかかっているじゃないか。

今日は最高!今日は最高!最後は初期の代表曲“ギリギリガガンガン”と“タリホー”で、熱い魂を苗場の大地に叩き込む。そして「我々がザ・クロマニヨンズだー!」とマスコットのUMA・高橋ヨシオがスクリーンをジャックし、“クロマニヨン・ストンプ” で最後まで全身全霊で駆け抜けたザ・クロマニヨンズ。この一瞬にどれだけのめり込めるか。ロックンロールの衝動をグリーンステージに昇華させきった4人の姿に、僕らは確かな勇気をもらったのだ。

[写真:全3枚]

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