FUJIROCK EXPRESS '21

LIVE REPORTRED MARQUEE8/20 FRI

Vaundy

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Photo by 古川喜隆 Text by 三浦孝文

Posted on 2021.8.21 02:32

たった今、ここから未来に向かって

 フジロック2021の初日も22時半を過ぎ、終わりを迎えようとしている。本日グリーンステージの大トリのRADWIMPSのステージが終わり、かなりの人がレッドマーキーへと流れているのがうかがえる。これからVaundyが登場するのだ。着いてみるとすでに会場は人でぎっしりで、オーディエンスの年齢層も一段と若い印象。アーティストの登場を待ちわびる以前と変わらない熱いレッドマーキーの姿がそこにあった。

 現役大学生で齢20歳、作詞に作曲、アレンジまで全てを自分でこなす、かのLAUVからオファーを受けアルバムに参加、活動開始から2年程度にしてあり得ない再生回数を叩きだしているなど、話題満載の新進気鋭のアーティストの、しかもフジロックという気合十分でのぞむであろうステージを観ないわけにはいかない。

「VAUNDY」の白抜き文字がバックにドーンと映し出されると、スモークがたかれダークな青に切り替わった。ベース、ドラム、ギターの3名のバンドメンバーに続いてVaundyが登場。“不可幸力”が最初の一手だ。想像していた以上にステージを所狭しと動き回るVaundy。愛と皮肉たっぷりな詞で今の世界のイカレっぷりを的確に表現している。

 続きは“泣き地蔵”。グルーヴィーなベースといい、胸のど真ん中に届けられるVaundyの超強力にして真っ直ぐな声。好きですねぇ、こういうド直球なロック!オーディエンスへの感謝と緊張していること、たくさん拍手して盛り上がってほしいとのMCを挟んで、ギターを手にしてはじめたのは陰りと湿り気を含むインディーロック感がたまらない、“benefits”。前2曲から一転して鼻にかかった声でダルに歌い上げるのだ。

「新曲知ってますかね?こっからは熱くいきます!」と最新リリースのシングル“花占い”で割れんばかりのハンドクラップを受け、続いて投下した、名刺的一曲“東京フラッシュ”。蒼い歌詞の世界を想起させて余りある青白い光と煌めくミラーボールとともに繰り出されるフックに、フロアのオーディエンスは腕を振り上げ、ついつい声をあげてしまいそうになるほどに盛り上がっている。

「フジロックいけるか?いくぞ!」と矢継ぎ早に“怪獣の花唄”。全力で、今この瞬間に持てるすべてを出し切っているのが見て取れる。最後のロングトーンの発生といい、あの熱かった夏フェスの空間が戻ってきたような感覚に胸が熱くなってしまった。

「まだまだ戦いは続くけど、できないことを数えるのではなく、できることをみんなで数えていきましょう。フジロック、出させていただきありがとうございました!」と感謝の挨拶を終え、一筋の後光がVaundyを照らす中、ラスト曲の“しわあわせ”が静かにスタート。フックあるサビで場に一体感と感動を生み出し、爽快に締めくくった。

 Vaundyのライヴを体験して感じたのは、創作された楽曲と歌のほとばしるほどの才能はもちろんだが、彼のパフォーマンスや照明の使い方まで、自分の魅せ方に卓越しているということ。インタビューで「自分の多様性を見つけるために音楽を作っている」、「僕が今やっていることは、あくまでも「ヒット曲」を作るという趣向だけど、でも、その先に「名曲」を作らなければいけない」と公言しているVaundy。未来に向かってどこまでも、伸びしろ無限大のアーティストだ!

[写真:全8枚]

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8/20 FRIRED MARQUEE