FUJIROCK EXPRESS '21

LIVE REPORTRED MARQUEE8/20 FRI

Kan Sano

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Photo by 古川喜隆 Text by 阿部仁知

Posted on 2021.8.20 22:18

ムーディーにグルーヴィーに変幻自在に。Kan Sanoがいざなう苗場の夜

レッドマーキー、GAN-BANスクエアにオアシス、パレスオブワンダー…。それぞれの感情が弾けて自由なフィーリングが交錯し、クタクタの身体で朝焼けを眺める。深夜は僕のフジロックで一番好きな時間だ。今年は残念ながら日を跨ぐことはできず、21時過ぎに時間を移して開催された初日レッドマーキーの深夜の部、プラネットグルーヴ。各ステージのヘッドライナーが控える時間だが、熱心なファンはもとよりそれでもここを選んだフジロッカーは、僕と同じような気持ちを持った人が多かったに違いない。いまやキーボーディスト / プロデューサーとして引っ張りだこのKan Sanoが、バンドを引き連れて登場だ!

シャツにオーバーオールという出で立ちがすでに洒脱な雰囲気を醸し出しているKan Sano。ムーディーなピアノとハスキーな歌声が光る“Flaver”では、kanno so(Dr)のパッドと生音を織り交ぜたドラムがビートを刻み、はやくもフロアは惹き込まれていく。森川祐樹(Ba)が存在感を示す“Ash Brown”では、ミラーボールが輝きさり気なく夜のムードを演出するレッドマーキー。

そして、キャッチーなフックがクセになる“My Girl”。先程までフルートなどの管楽器を曲ごとに持ち替えていた石田玄紀(Flute / Gt / Sax)はここではギターを響かせている。かと思ったらKan Sanoはベースに持ち替え、森川はキーボードにパートチェンジ。マルチプレイヤー揃いのサポート陣に石田を加えた新体制は早速化学反応を起こしているようだ。

ジャジーに奏でるリズム隊がアダルティなムードを演出した“Sit At The Piano”に、しっとりとしたピアノ弾き語りからバンドサウンドに移行する“She’s Gone”。2019年の七尾旅人のサポートに続いて、ソロとしてのはじめてというフジロックをずっと楽しみにしていたとKan Sanoは語る。ここに集うことの葛藤に想いを馳せながらも、喜びを噛みしめるように彼はまた鍵盤に向かう。

“Think Twice”でグルーヴが更に深まっていくバンドサウンド。“DT pt.2”ではメロディをぶち壊すような狂乱のピアノソロを決めたかと思えば、Kan Sanoがドラム、kanno soと森川がキーボードにパートチェンジし、変幻自在なジャムセッションにフロアは身振り手振りで好きなように楽しむ。なんて素敵な時間だろう。

圧巻のドラムがポップな楽曲にアクセントを加える“Stars In Your Eyes”では再びミラーボールの光がフロアを優しく包み、最後は“Natsume”。サビの締めのフレーズ「月が綺麗ですね」でフロアと配信のカメラを指差す姿には思わずキュンとしてしまった。緊張と弛緩が寄せては返すバンドセッションを繰り広げたKan Sanoのステージは、深夜のあのなんともいえない情感を確かに今年のフジロックに持ち込んでいたように感じられた。またいつか深夜のここで会いましょう!

[写真:全10枚]

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8/20 FRIRED MARQUEE