FUJIROCK EXPRESS '21

LIVE REPORTRED MARQUEE8/22 SUN

CHAI

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Photo by 森リョータ Text by 梶原綾乃

Posted on 2021.8.24 00:47

成熟したCHAIの今

Gorillazの新作アルバムヘの参加や、SUB POPとの契約など、ワールドワイドに快進撃を続けるCHAI。もともと、ファンクとかブラック・ミュージックのニュアンスがあるバンドだとは思っていたが、最新作にいたっては打ち込みを多用してみたり、ヒップホップやR&Bなどもまるっと自分のものにしていて、その変貌ぶりには驚くばかりだ。今回はその勢いのままに、多角的なアプローチで成熟した彼女たちを垣間見れるステージとなっていた。

一足先に舞台上に上がったYUNA(Dr,Cho)のカウントから始まった“NO MORE CAKE”で、新生CHAIのフジロックが始まった。軽快な16ビートに合わせて観客が体を揺らし始めると、MANA(Vo,Key) 、KANA(Gt,Vo) YUUKI(Ba,Cho)の3人が舞台上を暴れだした。メンバーは皆ピンクのふわふわドレスにシルバーのポンチョを羽織っている。ドレスのボリューム感とは対照的な小さな体で、でっかい音をかき鳴らすKANAの姿がなんともカッコいい。続いての“クールクールビジョン”ではYUUKIがシンセサイザーを担当。「Everybody,We are CHAI ‼︎」という掛け声とともに、轟音でスペイシーなサウンドが炸裂した。どっしり構えた低音に、MANAのパワフルな高音ボイスという高低差にぐっときた。

ここからは、最新作のムードに一気に接近。“Nobody Knows We Are Fun”はしっとりR&Bな空気が漂っていたし、<ほくろはチョコチップかもね>というワードが巧みな“チョコチップかもね”も、耳元でささやくような声が気持ちよく響き化学反応を起こしていた。

シンプルに音楽性の厚みだけではなく、パフォーマンスの厚みもまた一段と増している。中盤、YUUKIとYUNAによるDJプレイが始まり、これが大盛り上がり。おなじみの自己紹介タイムでは、バンド全体を紹介するんじゃなくて、彼女たちひとりずつにスポットが当てられたものになっていた。ハイスクールミュージカルの“We’re All In This Together”に合わせ、自身の担当パートや好きなことを紹介していくあたり、もう世界のCHAIなんだなと実感する。

シルバーのポンチョを脱ぎ、フラミンゴのようなドレスの全貌が明らかになったところで、YUUKIとYUNAがヴォーカルをとる“UNITED GIRLS ROCK’N’ROLL CLUB”へ。マナ&カナはベースとドラムを担当。バンド全体でマルチなプレイを見せつけた。YMCKの8ビットサウンドがご機嫌に映える“PING PONG! (feat. YMCK)”でのポップさといったらたまらない。パラパラのようなマナカナの動きもまた楽しくて、ちょっとニューオーダーっぽい音がするのもまたいい。

これだけ幅が広くて愛の深いプレイができるんだから、彼女たちがいかに今日に賭けてきたのかは誰の目にも明らかだ。MCでも「私たちミュージシャンで、音楽は絶っっ対辞めたくなくて。ライヴがない人生は、ありえない!」と力強く語っていたし、終盤、YUNAが涙するという一面もあった。そして最後のナンバー、“フューチャー”は、いつも以上に特別な意味を持って鳴らされた。「私を止めるものは何もない!」と強く歌いきると、会場は希望と絶賛の拍手に包まれていた。

暗くて不安な世の中だけど、CHAIにはこの勢いで世界を駆け抜けていってほしい。楽しませてくれてありがとう。これからも最高にキュートなバンドでいてね!

[写真:全10枚]

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8/22 SUNRED MARQUEE