FUJIROCK EXPRESS '21

LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN8/21 SAT

Dachambo

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Photo by 古川喜隆 Text by 阿部仁知

Posted on 2021.8.21 21:03

知らなかった自分を掘り起こすような縦横無尽のジャムセッション

日も暮れてライトが幻想的な雰囲気を醸し出す19時過ぎのフィールドオブヘヴンにはDachamboが登場。2014年以来7年振りのフジロックで、過去5回のバンド出演はすべてヘヴンだというのだから、中には「ヘヴンのDachamboは間違いない」ということを体験しているフジロッカーもきっといるのだろう。初日のピラミッドガーデンに続いての出演となったAO YOUNG(Gt / Vo)が「フジロック楽しんでいこう!俺たちがDachamboだ!」とヘヴンに投げかけ、音楽の旅のはじまりだ。

この地までたどり着いた喜びを噛み締めながら、音だけで徹底的にヘヴンを煽っていく“stoned monkey”から、シームレスに移行する“never ever breaking down”。EIJI(Ba / Cho)とYAO(Dr / Per / Cho)がどっしりと構えるビートが下支えする中、AO YOUNGが軽快にギターを掻き鳴らし、OMI(Didgeridoo / Cho)もフリーキーにディジュリドゥを振り回す。そして、サイケデリックな音像を創り出すHATA(Machine / Motivation)のシンセに、エレクトリックなビートメイク。かたやフィジカル全開で奏でる4人と電子が煌めくHATAのサウンドが混ざり合って、まるで一つの生命のように迫りくる演奏に圧倒されながらも、ヘヴンに集った人々の身体がじりじりと開放されていく。

ギターの音が出なくなるトラブルもなんのその。それさえも演出かのようにグルーヴを深めていくDachamboの面々。スキャットで呼応するAO YOUNGは「でも音楽は鳴り止みませんよ」と叫び、この場で曲が完成していく様は、まさに“never ever breaking down”じゃないか。「しっかり準備をしてもこうなるのがDachambo」とEIJIと軽口を交わすAO YOUNG。結成20周年を迎える彼らのパフォーマンスは、スリリングだけどとてもアットホームな空気が流れている。

「音出たー!!」と待ってましたとばかりにギターを掻き鳴らす“can not biz”では、フロントの3人が身振り手振りを交えながら輪唱のように声を重ねていく様が印象的だ。声も楽器として奏でるジャムセッションは、さらに自由なフィーリングをヘヴンに創り上げていく。2005年にはじめてここに来た時から歌っているという“サルビア・オリビア”では手拍子とかすかなシンセの中、荘厳な雰囲気で延々と「サルビア」「オリビア」を繰り返す間のセクションに混迷のジャムセッションを挟み込む。どんだけいろんなフィーリングが飛び出してくるんだよフィールドオブヘヴン!

最後の“ピカデリア”ではジリジリと育ってきたグルーヴが頂点に達し、気づいたら一心不乱に踊っているオーディエンスたち。それでもちゃんとソーシャルディスタンスを保ちながら自分の踊りに没頭している光景のなんと美しいことか。知らなかった自分を掘り起こすような音楽体験をもたらしてくれたDachamboに最後はみんな惜しみない拍手をおくるが、これはDachamboだけじゃなくて、同じ時をともにした人々と自分自身を讃える拍手だ。そんなことを感じながらヘヴンの余韻にしばらく浸っていた。

[写真:全10枚]

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