FUJIROCK EXPRESS '21

LIVE REPORTPYRAMID GARDEN8/21 SAT

野田 洋次郎(RADWIMPS)

  • 野田 洋次郎(RADWIMPS)
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Photo by 粂井 健太 Text by あたそ

Posted on 2021.8.21 21:35

往年の名曲にセルフカバー、野田洋次郎の見せる新たな一面に癒され尽くす

日が落ち切り、ステージ上のキャンドルがきれいに揺れるピラミッドガーデンには、たくさんの人が演奏を待っている。
1日目のヘッドライナーを終え、充実した90分間のステージを見事に走り切ったRADWIMPS。そのフロントマンである、野田洋次郎のアコースティックライブが始まろうとしていた。

ステージの前方はほとんど座り、まったりとした雰囲気のなか野田が登場すると、パラパラとした拍手も起こる。「ゆるく楽しんでいってください」という声とともに、ピアノの音で演奏がはじめられたのは、“おあいこ”だった。この曲は、野田がハナレグミに楽曲提供をした一曲である。セルフカバーという形で、ハナレグミの永積崇とはまた異なる声の質でゆっくりと会話を楽しむように歌われる歌詞が、身体の芯にまで静かに染み渡る。

次に演奏されたのは、1日目にも演奏された“トレモロ”。「満天の空に君の声が 響いてもいいようなきれいな夜」という歌詞でこの曲は始まる。この日の天気はあいにく曇りで、決して「満天」とは言えなかったけれど、徐々に深くなっていく夜にはぴったり。バンドサウンドで激しくアグレッシブに奏でられた昨日の様子と対比できるのもうれしい。ピアノの繊細な音と野田の声のみというシンプルな構成で聴けば、また新たな表情を見せてくれるようでもあった。

ハナレグミの“光と影”、1日目出場した手嶌葵の“テルーの唄”とカバーが続く。「何歌おうかな?自分の曲がいい?カバーがいい?」と、お客さんにリスエストを聞く野田。MCをじっくりと聞いてみると、どうやらセットリストもきちんと決められている訳ではなく、その場で、ほとんどが思いつきみたいな形で演奏がされるらしい。これにはちょっと驚いたのだが、野田自身の人間性というか音楽性というか、まったりとした空間のなか、普段のライブでは味わえない新たな表情がうかがえるような気がした。

THE BLUE HARTSの“1000のバイオリン”に玉置浩二の“メロディー”。フジロックの意味や意義を加味しているとは思うが、野田がどんな音楽に影響を受けたのかが想像できる。どこかで耳にしたことのあるような名曲がピアノやアコースティックギターの柔らかな音に乗せられ、リラックスしたまま聴き入ってしまう。

それから、熱のこもったピアノと美しい高い歌声が印象的な“そっけない”、「今日、急遽やりたくなったんだよね!」と観客たちのクラップ&ハンズに合わせてロマンチックに歌われたFishmansの“いかれたbaby”。ラストは、セルフカバーという形で“週刊少年ジャンプ”が歌われる。

昨日とは打って変わって、まったりと、のんびりとした雰囲気。野田自身もPyramid Gardenの雰囲気が好きだと途中のMCで述べていたし、肩の力を抜き、終始リラックスしながらの演奏だったように思う。RADWIMPSや野田洋次郎のさまざまな表情を垣間見ることのできた1時間のステージであった。

[写真:全10枚]

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8/21 SATPYRAMID GARDEN