LIVE REPORTNAEBA SHOKUDO8/21 SAT
AAAMYYY
注目度の高さを実感した最新ライブ
初日のヘヴンでも大いに新しいファンを獲得したTempalay。2日目はつい先日、ソロ・ニューアルバム『Annihilation』をリリースしたばかりのAAAMYYYがリニューアルした苗場食堂のステージに登場した。のだが、早々に入場規制がかかり、枠の外から鑑賞するはめに……。まぁいまの彼女の人気や注目度から言えば少し手狭だったかもしれない。
バンドのときとはまた違うデザインの白い衣装で現れた彼女。サウンドチェックの段階から声が聞こえていたTENDRE(Key)はもちろん、ステージ上にはODD FOOT WORKSのTondenhey(Gt)や昨夜、TempalayをサポートしていたBREIMENの高木祥太(Ba)の姿も見える。今年のフジロックの一端を担う面々だ。後のMCでわかったのだがDJ Yohji Igarashiも参加していた。
これまで以上にグッとダークさと儚さを兼ね備え、パーソナルな部分も打ち出した新作直後のステージとあって、スペースに入りきれなかった人も間隔をあけつつと遠巻きに見ている。苗場食堂という決して大きなボリュームじゃない出音が繊細なAAAMYYYのボーカルにはフィットしている。1曲目の“Leeloo“を歌い終えた段階で、遠慮がちに「よろしくお願いします〜」と挨拶。そこにすかさずレゲエホーンのサンプリング音源だろうか。ミスマッチだが、場が和む。
照れつつ、ラップ的な表現も取り入れた“Takes Time“、ダークなUKのインディロックっぽさがギターサウンドで際立た“Fiction”など、グッと内面に寄ったテーマとアレンジ。これはニューウェーヴ好きにも、というかニュー・オーダー好きにもきっと刺さりそう。短いステージながら、なんとサプライズで昼間、グリーンのステージを見事に盛り上げたSIRUPが“不思議“の途中から登場。意表を突く展開に静かに湧く苗場食堂。
ソロ新作についてのMCは遠さと、サウンドクラッシュで聞き取れなかったのだが、ソロにより意欲的であることは伝わってきた。ラストには彼女の死生観が反映された“Afterlife“を披露。ヨーロッパ的なメロディやシンセの音色が少しゴスな印象もある曲だ。重いテーマでも、率直で決して情念ぽく聴こえないのがAAAMYYYがいま、同性のファンを多く獲得している理由のように思う。
M.I.A.の明確な物言いや表現が好きだというAAAMYYYには共通するものを感じるし、他には例えば必然的な意味でのダークさや浮遊感という意味でラナ・デル・レイなんかにも共通項がありそう。この時代のシンガーソングライターでもあり、クリエーターでもある彼女の最新型をいち早く見ることができたのは幸運だった。
[写真:全10枚]