FUJIROCK EXPRESS '22

LIVE REPORTNAEBA SHOKUDO7/29 FRI

KTYM

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Photo by 森リョータ Text by 石角友香

Posted on 2022.7.29 23:38

ロックボーカリストにもラッパーにもない個性の萌芽

22:10というほとんどの人がVampire WeekendかBONOBOを見ているか、小腹を満たしている時間にバッティングして、最初はほぼ人がいなかった苗場食堂。2018年に無期限活動休止となったロックバンドDroogのボーカリスト、カタヤマヒロキのソロユニットKTYMの初フジロックだというのに、少しさびしい状況だ。それでもカタヤマもメンバーもフジロックに出演できたことを心底喜んでいるようで、高いテンションで演奏がスタート。

ポエトリーラップとトーキングとボーカルを行き来するカタヤマの表現はロックバンドを出自にするアーティストとしては珍しいけれど、ロックも聴いているラッパーの視点で見ると、どう映るのだろうか。言葉の選び方はユニークなのだが、バンドサウンドに同期を組み合わせた音楽性は新しいとは言い難い。それでも、MAD CUPSULE MARKETSを想起させるデジロックに振り切ったビートのナンバーは面白い。あとはカタヤマのロックスター寄りのキャラクターをもっと際立たせる見せ方やバンドメンバーも含むカラーの形成が必要に思えた。この日は上下白のウエアで、カタヤマ自身はラッパーでもボーイズグループでもバンドマンでもないユニークなフィロソフィを醸し出していたので、引き続き磨き上げていってほしい。

キャラクターのことばかり触れて失礼なレポートになっているが、グラム要素のある“HATE THIS SHIT”は彼の強みが生きていると感じたし、“ギラギラ”と題されたナンバーはダークでシアトリカルなムードをまとったエレクトロニックで重いロックチューンで、ギリギリどんなカテゴライズにもハマらない可能性を感じる。

他にもラウドロック経由のEDMとも、ヤンクロックの風味も感じられる“阿修羅-ASHURA-”も面白い。この絶妙な混交をバンドスタイルでやるのか?トラックでやるのか?この日を見る限り、バンドスタイルのようだが、ぜひカタヤマにはさまざまなアプローチを試してみてほしい。ロックバンドともラッパーとも違う個性を持った楽曲を生み出しているのだから。

[写真:全6枚]

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