FUJIROCK EXPRESS '23

LIVE REPORT - RED MARQUEE 7/28 FRI

eastern youth

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Posted on 2023.7.29 01:56

鋭さを増す静と轟

フジロック初日の夕方。レッドマーキーは雨上がりで少し蒸し暑い。ステージ前はたくさんの人が集まっており、背中に『裸足の音楽社』とプリントされたTシャツを着た人が目立つ。5年ぶりにフジロックに戻ってきたeastern youthのライブが始まる。

熱狂的なオーディエンスの歓声とは裏腹に、ステージに現れた吉野寿(Gt/Vo)は極めて冷静な表情。ゆっくりとギターを手に取ると、静かに音を鳴らし始めた。中空を漂う音が徐々にメロディとなり、“夜明けの歌”のイントロが鳴り響く。静寂を打ち破る吉野の雄叫びと共にライブは幕を開けた。

eastern youthの音楽には、静かに語りかけてくるような音と、剥き出しの魂をぶつけてくるような轟音が同居している。その緩急が爆発的なエネルギーを生み、見る者の心を震わせるのだろう。ゆったりとした前奏から、ギターが激しく掻き鳴らされて、“踵鳴る”が始まると背後から人の波が押し寄せてきた。一音一音に全体重を乗せるように、体を大きく躍動させてギターを鳴らす吉野。村岡ゆか(Ba)の太く唸るベースと、田森篤哉(Dr)の力強く華のあるドラムが加わって、バンドが一気にドライブしていく。

「我々、eastern youthというバンドです。こんな大きなステージでやるような身分ではないんですけど、私たちに出番が回ってきましたんで精一杯やらせてもらいます」

吉野はMCでそう話したが、彼らが初めてフジロックに出演したのは1999年のこと。今回で8度目のステージとなる。さまざまな理由で続けられなくなるバンドがあるなか、メンバーチェンジを経ながらもひたすら自分たちの音楽を積み重ねてきたという事実が、eastern youthというバンドの強靭さを物語っているように思う。

続いて演奏されたのは“青すぎる空”。これまで何度もライブで聞いてきた曲だが、「いずれ暮らしの果てに散る」という詞がこんなにも力強く、切なく歌われることに感動せずにはいられない。そこから“素晴らしい世界”への流れで、「命かけて走れるなら 素晴らしい世界」という歌詞が飛び込んできて涙腺が崩壊した。我々はいずれ暮らしの果てに散るが、命をかけて走れるなら、それはきっと素晴らしい世界なのだ。

「私は誰かに許されて、ここに立っているわけじゃございません。誰かに許しを得なくてはならない、そういう人生っていうのはあるんでしょうか。別に俺は許しなんて請わないからな。何をやっても」というMCから、ライブは”ソンゲントジユウ”へと雪崩こむ。

「どんな俺だって俺は俺さ そうだろう」という吉野の叫びに、フロアからは無数の拳が突き上げられた。5年前のフジロックでは最新アルバムのリード曲という立ち位置だったが、今ではバンドの代表曲となったことを実感する。おそらくバンドにとっても簡単ではなかったであろう5年の時間を経て、更なる進化を遂げたeastern youth。こんなバンドが音楽を作り続けてくれていることは、自分にとって大きな心の支えだ。

[写真:全10枚]

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7/28 FRIRED MARQUEE