MOREFUN - AREA REPORT 7/28 FRI
【フジロック1日目周遊記 前半】
Posted on 2023.7.29 01:17
次代の大物を予感させる人たち
久しぶりにフジロックが戻ってきたのを実感させられた。初日のグリーンステージ1発目がハードに暴れるFEVER 333だったので、余計にそれを感じた。合唱やモッシュやクラウドサーフが気兼ねせずにできるようになった喜びがあった。
Blurの”Song2”のカヴァーをおこなってお客さんたちが一斉に声を上げたときはかつてのフジロックが戻ってきた感じがあったけど、ヴォーカルのジェイソンが客席を抜けてPA裏の照明用やぐらに登ったとき、それ以上のものをみせてくれたという謎の感動に包まれた。
レッドマーキーにでたAlexander23はギターとドラムのシンプルな編成で歌われるけど、豊かなニュアンスを受け取ることができた。Tears For Fearsの”Everybody Wants To Rule The World”をカヴァーして盛り上げさせたので、カヴァーというのは、過去の記憶を基にアーティストとオーディエンスを結ぶものなのかもしれない。
思い出野郎Aチームのファンキーな音楽を聴きながらところ天国で飲食の列に並ぶ。電波状況が悪くて、クレジットカードが使えずなかなか列が進まなくても楽しく待てた。フレディ・マーキュリーのモノマネの人も楽しませてもらった。
Sudan Archivesはとてつもない才能をみせつけた。ヒップホップにヴァイオリンというのも驚きだけど、強靭なビートにアイルランドを思わせる郷愁を誘う美しいヴァイオリン、彼女のラップや叫びや歌が溶け合って唯一無二の世界を作っていた。ヴァイオリンの弓を取り出すときにはシャキーンという音が鳴ったりすること、スクリーンにはセーラームーンとかアニメがちらっと映るし、彼女がおっぱいポロリするというのは、自己演出の一環で、能動的な女の子の理想を実現しようとすることなのかなと思う。最後には雷鳴が鳴り自然現象も含めて完璧なステージだった。
レッドマーキーに移動してYves Tumorも凄まじかった。水着にエプロンという格好も強烈だったけど、ロックとしか言いようのないサウンドを繰り出して満員のレッドマーキーを沸かせた。おそらく偉大な先達としてプリンスがロールモデルとしてあるのはわかる。思えば、2016年4月21日からずっとずっとプリンス不在の時間を過ごしてきたのである。ついにその穴を埋める存在が生まれていることを目撃でしたのではないか。
フォトピットや最前列の客席にいる時間がちょっと長かったんで、あまりみえなかった人もいるだろうけど、次世代のスター空気を感じられたのではないだろうか。ギターのChris Greattiとのじゃれ合いもデヴィッド・ボウイとミック・ロンソンを彷彿とさせた。
数年後、FEVER 333やSudan Archives、Yves Tumorがフェスのヘッドライナーを務めてもおかしくないと手応えを感じる1日目前半だった。