FUJIROCK EXPRESS '23

MOREFUN - AREA REPORT 7/31 - (AFTER)

昔のフジロックに満足していた自分が10年ぶりに復帰した理由、そして感じたこと

  • 昔のフジロックに満足していた自分が10年ぶりに復帰した理由、そして感じたこと

Posted on 2023.8.2 23:30

「今年エキスプレスのテコ入れをしたいのですが、近澤さん手伝ってもらえません?」

エキスプレススタッフの紙吉音吉(カレー好き) さんから突然こんな感じのLINEをもらったのが今年5月の頭のことでした。

「あ〜…、久々に行くのも楽しそうっすね〜…」

その場は濁しつつも、数日後に決心するまで、内心行くのはとても悩んでいました。

今年エキスプレスのスタッフに復帰となると実に10年ぶりぐらいではなかろうか。
確か前回、エキスプレスのスタッフと苗プリのホテルで朝、伸びたカップラーメンすすりながら、のんがまだ能年玲奈と名乗っていた頃の「あまちゃん」観てた記憶がある。

まず10年のブランクと体力の衰えを想像しビビりつつ、本心を言うと、自分は日常からそれほど音楽自体には夢中ではなく、結局2023年もステージ前で3曲以上曲を聞いたのはアラニス・モリセットぐらい。
他のエキスプレスのスタッフが音楽談義で盛り上がると全くついて行けないレベルだったり。
「音楽は酸素と一緒」なんてレベルの人だと、それは何をおいてでもフジロックには参加すべきだと思うけど、自分にはそれほどの魅力的要素とはならなかったりする。

なにより躊躇していた理由というのが、一旦自分のエキスプレススタッフとしての役目は2013年で終えていたと感じていたから。
2010年から参加し、前回よりも良いものを伝えようと工夫し、2013年で自らこの場でできる限界を感じてしまっていたんですね。
生真面目な性格かつもったいない病の罹患者なもので、2013年の終盤にはもうレポートマシーンと化していて、楽しむことより血眼でエキスプレスに記事をアップするのが最優先になっていました。

先ほどフジロックでさほど音楽を重視していないと自己紹介をしましたが、自分がこの偉大なフェスに魅力を感じていたのはそれ以外が主で、空気感や空気、人やそこで起きる物事が大好きだったのです。ただそんな好きなものも「レポートしなければいけないもの」や「ノルマ」の様に感じてしまうと、いつの間にか心から楽しめなくなってしまったのです。

自分の楽しみを犠牲にして、他の人の楽しさを伝えることなんて、本来あまり褒められたことじゃないかなと。
しかもモアファンなんていうカテゴリの記事担当なのに。
そう、少しだけ、気づけばフジロックでお腹がいっぱいになっていました。

また、2013年最後にまとめ記事なんて投稿してしまったのが一番キッカケだったかもしれない。ここで一旦一区切りがついてしまった感があったんです。

さて、そんな自分が今年参加を決心した理由はなんだろうか。まず考え方を変えてみました。
「何ができるか」じゃなくて「何をやりたいか」 古いエキスプレススタッフ内では自分は美女撮ってた人と認識されてるフシすらあるけど、当時と同じことをそのままやるのが令和のフジロックエキスプレスとして「どうかなー?」というのは、昭和脳の自分でもちょっと思うのです。
じゃあ他に何をやりたい?何を伝えたい? そう探っていると、オルグのインスタのリールがあまり動いていないことに気づいたんです。

「あ、ショート動画で現場レポートやれば楽しそう、楽しんでもらえそう」

自分の中のFUJIROCK EXPRESS 2023開幕の瞬間でした。

さて、昭和のおっさんの自分語りはこの辺にして、今年のまとめとして自分が投稿した記事の一部を紹介します。

前夜祭のゲートオープンの様子
前夜祭
花火
フジロッカーズオルグのボスの挨拶
YAZAWAの後
初日の個人的MVP
1日目まとめ
グリーンステージの様子
ボードウォークを歩く
2日目まとめ
シャボンの少年
楽しんでいる人のスナップ
焚き火
ピラミッドガーデン
Power to the people
3日目のまとめ

基本的には、取材や撮影をした直後、あまり時間をおかずに投稿するように努力しました。写真や文章とはまた少し違った臨場感を少しでも味わっていただけたなら、何より。

AI の発達により画像も動画も無限に生成できる時代になるとは、それこそ10年前には想像することすらできなかったのですが、リアルの現場にはリアルの魅力があるものだとは昔から思っているし、人間が生み出すものを人間が伝える、そうして繋がるにはフジロックという場はとても大事だし面白いと感じているのです。
「フジロックに来ている人はリアルを楽しみに来ているんだよな」というのは明らかで、なら、自分はなんらかの事情で苗場に来られない人に、どれだけ楽める情報を提供できるのか、それを楽しもうと思いました。

表現方法こそ少し変えましたが、現場に向かい、カメラを構え「そうだ、フジロックはこんなに楽しかったんだよ」と自分自身の中で、2013年以来に大事なことを思い出すこともできました。

そして全日の取材を終え、フジロック自体に感じたこと。

それはもう
暑かった!
そして
暑かった!!
ついでに
暑かった!!!
ということ。

これは参加した誰もが思ったことだと思うのですが、雨よりも晴れが良いに決まってるとはいえ、いくらなんでも太陽さん今年はパワフル過ぎたんじゃないですかね。

実はエキスプレススタッフとしての参加は10年ぶりなのですが、実際は2016年に別件でフジロックには来ていました。
そして、その7年前と比べての感想なんですが「(暑さを除けば)相変わらず、楽しい」という至って普通の感想です。

ゲート前で待つ人達の希望に満ちつつもちょっと落ち着かない表情も、オアシスエリアの砂塵舞うなかで友達と語らいながら食べる食べ物の美味しさも、グリーンステージの緑の広大さとそれを埋め尽くす人々も、キッズランドに響く子供の笑い声とそれを聴いて微笑む親御さんの笑顔も、ところ天国前で川に足を突っ込んだ瞬間の「生き返る〜」って感じの表情も、ボードウォークを踏みしめる木の鈍い音も、フィールドオブヘブンの「あ、フェスですね」って感じのゆるさも、常にチルい感じのピラミッドガーデン周辺も、ここには書き切れないその他のいろんな場所も、ほんと「相変わらず」でした。

さて、この「相変わらず」というのが今年は非常に重要で…。

私は昨年、そして一昨年の様子を直には知りません。噂に聞いた程度です。
確認のためにそれぞれにも参加していた今年のスタッフに聞いてみたのですが、みんな「以前の姿に戻ってほんと良かった」とか「感無量」と嬉しそうに語ってくれました。

なるほど。

6年前の姿と変わらない(むしろあの頃より来場者多いんじゃ?) と自分が感じられたことが、どれほど大事なことか。

変わっていないんじゃない、「取り戻した」んですね。

フジロックに限らずエンタメ業界が大打撃を受けてきたこの数年で失ったものを取り戻すべく、数多くの人が行った努力の成果を、僕は数日間かけて目の当たりにしていたのです。

さきほど「2013年でやれることはやった」などと満足気に偉そうなことを言いましたが、この2023年の現場のレポートを以前と同じ気持ちでやれたのはそれ自体がすごいことで、その「みんなで取り戻した努力の結晶」をレポートとして残せたことを、終わった今では、誇りに思います。
自分の中のフジロックを10年前で終わらせなくて本当に良かった。

2024年に開催が決定したという速報も行ったのですが、それに対する反響も多かったように思います。

みんな不安だったのでしょう。
けどきっと来年も大丈夫。
みんなで乗り越えてこられたんだから。

少なくとも私は今年の会場を巡り、レポートに向かい、カメラを向け、そう感じました。

けど、次はもう少し涼しいといいなあ…。

TAGS
7/31 - (AFTER)ALL AREA