FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - GYPSY AVALON 7/26 FRI

ZAKINO

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Posted on 2024.7.26 21:36

出会いに溢れたZAKINO、感謝のステージ

曇り空の中にもどこか夕焼けを感じる。ヒグラシが鳴いていて、とても涼しい。東京だと夏を感じる余裕がなかったけれど、フジロックでは夏を感じられている気がする。人々がゆったりと寝転がるアバロンの丘には、ドラマーでコンポーザーでもあるSeiichi Sakuma(SKM)のソロプロジェクト、ZAKINOが登場した。ステージ左側から金子巧(Kay)、佐久麻瞬太郎(Dr)、鈴木栄治(Bass)、ジョン中山(Key)が並び、中央には柴田鑑(Sax)が立つ5人編成だ。

サックスとダブルキーボードが切り裂くイントロから幕を空け、“Bedtime moments”へ。動き回るキーボードと、繊細なドラム、痺れるベースと熱いサックスが絡み合い、壮大なセッションで観客を圧倒する。まわりはいつのまにか暗くなってきて、ステージの照明がきらびやかに光る。アバロンの装飾と相まって、会場はネオアーバンな空気に包まれた。

SKMは「ゆっくり楽しんでいってね」と挨拶しつつ、そのまま“Bone Children Orchestra”へ。ごきげんにハイハットを鳴らし、サックスは切なげな泣きのメロディを吹き鳴らす。ベースがファンキーなラインをこれでもかと繰り出すと、ステージ前には多くの人が集まっていき、小さなダンスフロアが出来上がってきた。“Ripples”ではSKMと鈴木がアイコンタクトをしながらボルテージを上げていき、手数の多いセッション・プレイを繰り広げていたのが衝撃的だった。このバンド、どのメンバーもバカテクのヤバい人たちだということは重々承知しているのだが、特にSKMと鈴木は頭ひとつ抜けている気がする。手が止まることを知らない、鬼のようなセッション・プレイにぐっと酔いしれた。

お世話になったという矢部直さんの訃報に触れつつ、“愛の形”ではSKM自らがボーカルをとる。去っていった者たちへの思いと、たどり着いたフジロックという舞台への意気込み、遊びに来てくれた友人たちへの感謝。たくさんの気持ちを背負ったその姿と声に、ぐっときてしまった。

スペシャルゲストとしてNAGAN SERVERが招かれると、2曲立て続けに披露。とくに“It’s the cleaning lady again…”に合わせて乗せた彼のラップソロはドラマチックで、リリックに「不純物」というワードが出てきた時は、「ZAKINOって、不純物ないでしょ?」と会場に声をかける。音楽に真摯に向き合うZAKINOの純粋さをリスペクトした1曲に仕上がった。

「みんなもっと踊りたい?」というSKMの問いからそのまま“Wheel Spinning Mice”へ。原曲はどんぐりずをフィーチャリングに迎えているこの曲、とてつもない音圧の中、電子的なリズムと肉体的なドラミングが重なり合う、最高に踊れる1曲だった。いよいよラストに向けてブチ上がっていき、締めはJohn Nakayama Trio“Forest Of Darkness”。ジャジーなイントロを切り裂く明快なサックス、中山のソロの手捌きに応えてどこまでもぴったり沿うSKMのドラミングを堪能した。

ジャズをベースに、表現に限界を定めない彼らの音楽スタイルは、とても貪欲。「不純物はない」という話があったが、むしろ純粋すぎて生まれるカオスを垣間見た気がする。次はホワイトステージを目指しているようだが、凄腕なゲストを次々率いてフィールド・オブ・ヘブンに立つ姿もまた見てみたい。

[写真:全10枚]

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7/26 FRIGYPSY AVALON