FUJIROCK EXPRESS '24

LIVE REPORT - PYRAMID GARDEN 7/26 FRI

さらさ

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Posted on 2024.7.26 13:14

さらさトリオセットでのライブは彼女の新たなる可能性だった

「ブルージーに生きろ」この言葉をテーマに掲げ活動する25歳のシンガーソングライター、さらさ。このテーマは、人生における、悲しみや憂鬱、孤独などから生まれた音楽ジャンル“ブルース”が持つ「喜怒哀楽」との向き合い方に感銘を受けた彼女が、独自の解釈で立ち上げたテーマで、デビュー以来ずっと持ち続けているそのマインドは今も変わっていない。そして、この日のライブはテーマは変わらず、新しいクリエイティビティが表現されたステージだった。

これまでさらさは5ピースのバンドセット、さらさ1人でのソロセット、主にこの2パターンの編成でライブを行ってきた。しかし今回は、そのどちらでもなく、トリオ編成のステージでの出演だ。メンバーは、さらさ(Vo/Gt)、バンドセットにも参加しているオオツカマナミ(Ba)、そして今回初参加の梅井美咲(Key)。一体どんなライブになるんだろう?そんな期待感あふれる中、1曲目に選ばれたのはジャジーなイントロで始まった “朝”。マイクだけ手に取り歌う彼女の歌声は、以前にも増して程よい艶感が増している。そんなさらさのソウルフルなヴォーカルと合わさっていく、静かに優しく重なっていくオオツカのベースに、ジャズやクラシック要素が感じられる梅井のピアノ──それらのアンサンブルは、新鮮で《いい感じ》にグルーヴィーだった。極め付けは、そのアウトロで、梅井のドラマティックなピアノも含め、「さらさトリオセット」のお披露目には最高の1曲だったと思う。

その後も、ほのかにドリーミーなアレンジに様変わりした“このまま”と“ネイルの島”、間奏のステージ上を自由に舞うようなキーボードサウンドが印象的だった“温度”と続く、オーディエンスは身体を揺らさずにはいられない時間が続いた。“グレーゾーン”の前のMCでは
この曲に込められた「人間の思考や価値観は白と黒だけじゃなく、その間にはグラデーションも存在して、そこに人間らしさと価値がある」ようなことを語ったのだが、これはまさに「ブルージーに生きろ」に通づる部分だ。

中盤から終盤にかけては、9月リリースのセカンドアルバム『Golden Child』から2曲、新曲が披露された。ネオソウルとブレイクビーツがミックスされたようなグルーヴィーな新曲“roulette”に昨年の2ndワンマンライブで初披露され先日リリースされた“祝福”。次のフェーズに進んでいることを感じさせるこの2曲からニューアルバムへの期待感が一気に膨らんだ。ピラミッド・ガーデンでの約50分のライブは、彼女がリスペクトするグリム・スパンキーの松尾レミとのコラボ曲としても歌われた“火をつけて”で穏やかに終わりを迎えた。

さらさにとって、今回が2回目のフジロックでのライブだった。途中のMCで彼女は「最初に出演した時(2022年ジプシー・アヴァロン)は、デビューEP『ネイルの島』を出したばっかりだったし、5ピースのバンドセットもまだ慣れていなかったから大変だった。けど、今回は心から楽しみに来ました!」と言っていた。彼女の音楽性は間違いなくフジロックに合う。ジプシー、ピラミッド・・・と来たら次はヘブンだ。僕には彼女の音楽がフィールド・オブ・ヘブンのオーディエンスの身体を揺らす画しか想像できない。セカンドアルバム『Golden Child』のリリース、そして9月に行われる東名阪でのワンマンライブも含め、今後の彼女のさらなる成長に期待だ。

<セットリスト>

このまま
ネイルの島
温度
グレーゾーン
Amber
roulette(新曲/初公開)
太陽が昇るまで
祝福(新曲)
火をつけて

[写真:全10枚]

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7/26 FRIPYRAMID GARDEN